ひざ痛チャンネル編集部
2018-05-01

【膝上の痛みをセルフケア!】考えられる5つの疾患と対処法

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【膝上の痛みをセルフケア!】考えられる5つの疾患と対処法

悩ましい膝上の痛み。好きなことをしていても痛みが気になってしまう。怖い病気だったらどうしよう……。

今回は、膝上に現れる痛みの原因と考えられる5つの疾患について取り上げました。さらに、自分でできる対処法もピックアップ。原因にしっかりアプローチして、痛みに負けない生活を送りましょう!

 

膝上の痛みに伴う症状

膝上の痛みに伴って、他にも様々な症状が現れるかと思います。こうした症状に心当たりはありませんか?

腫れ

関節などが炎症を起こすことで腫れが起きます。

水がたまる

水の正体は関節滑液という液体で、関節を覆っている関節包の中にあります。この関節包や滑膜が炎症を起こし、関節滑液を異常に分泌してしまうことを「水がたまる」と言います。

熱感

患部の組織が炎症を起こして、熱を持つことがあります。

発熱

膝上だけでなく、全身から発熱する(高熱が出る)ことがあります。熱感や発熱がある場合、細菌感染の可能性も考えられます。

 

膝上に痛みを引き起こす、5つの疾患

上記の症状は、これからご紹介する疾患と関係している可能性があります。その5つの疾患について、症状や原因を具体的に見ていきましょう。

①膝上の筋に痛みが出る「大腿四頭筋腱炎」

ジャンパー膝

膝上に痛みを伴う疾患として最も多いと思われるのが、大腿四頭筋腱炎(だいたいしとうきんけんえん)です。これは、太ももの大腿四頭筋を、膝のお皿である膝蓋骨(しつがいこつ)に結びつけている腱が炎症を起こしている状態。別名を「ジャンパー膝」とも言い、バレーボールやバスケットボールなど、ジャンプ動作の多い競技でよく見られます。ジャンパー膝は膝下に痛みが出ることが多いですが、膝上というケースもあるのです。

大腿四頭筋腱炎の主な症状

  • 膝上、膝前面の痛み

初期段階では、運動後に膝のお皿の上、膝の前面が痛みます。悪化すると、運動中や日常生活でも痛みを感じるようになってしまいます。

  • 圧痛がある

膝上を押すと痛みます。

大腿四頭筋腱炎の治療法

この疾患の原因として圧倒的に多いのが、オーバーユース(使いすぎ)。体力に合わない過度な練習を繰り返すことで、腱に大きな負担がかかり、炎症を起こしてしまったと考えられます。悪化してしまうと、腱の断裂という形になり、手術をしなければなりません。しかし、運動後に限って痛む程度であれば、適切な対処を施した上で無理のないように運動を続けることができます。まずは負荷を抑えて安静にし、ストレッチやマッサージで筋肉をほぐすなどの対処を行うのが効果的。おすすめのストレッチ方法も記事内で紹介していますので、ご参照ください。

②膝上が腫れることも「滑液包炎(膝蓋上滑液包炎)」

膝蓋上滑液包炎

出典:OSMOPATCH

滑液包(かつえきほう)は袋のような組織で、骨や筋肉、腱などが摩擦しないよう、衝撃を吸収する役割を果たしています。身体のあらゆる部分にある滑液包ですが、膝のお皿の上が痛い場合は、膝蓋骨のやや上にある膝蓋上滑液包が炎症を起こしている可能性があります。その状態が膝蓋上滑液包炎(しつがいじょうかつえきほうえん)です。

大腿四頭筋のオーバーユースによって刺激を受け続けることで、炎症を起こすことが多いとされています。まれに滑液包が細菌感染を起こしていることがあり、その場合は痛みに加えて赤みや腫れ、熱感が生じます。そういった症状があれば、速やかに病院へ行き受診してください。

膝蓋上滑液包炎の主な症状

  • 膝上が痛む

膝のお皿の上あたりが痛みます。

  • 膝上に赤みや腫れ、熱感がある(細菌感染の可能性がある)

膝の上周辺が赤く腫れ、熱を持ったように感じることがあります。

膝蓋上滑液包炎の治療法

膝蓋上滑液包炎もオーバーユースが原因であることが多く、その場合は運動量を抑えて安静にします。痛みが強ければ、NSAID(非ステロイド性抗炎症薬)という、消炎鎮痛作用のある痛み止めを使用することも。
細菌感染が原因で滑液包が炎症を起こしている場合は、ステロイド系の薬剤を関節内に注射して治療します。

③膝のお皿に違和感がある「膝蓋大腿関節症」

膝蓋大腿関節症

膝蓋大腿関節(しつがいだいたいかんせつ)は、膝のお皿である膝蓋骨と、太ももの骨である大腿骨からなる関節です。これらの骨が接している部分には軟骨があり、膝の曲げ伸ばしがスムーズに行えるようサポートする役割を果たしています。

膝蓋骨が正常な位置からずれたり変形したりすることで、この軟骨がすり減って、痛みや炎症が起きるのが膝蓋大腿関節症。スポーツなどによる衝撃で膝蓋骨が脱臼や亜脱臼を繰り返すことや、加齢によって膝蓋骨にかかる負担が増加し、骨が変形することが原因です。

膝蓋大腿関節症の主な症状

  • 膝上に痛みが起きる

膝の上部に痛みを感じます。階段を昇り降りしたり、椅子から立ち上がったりする動作で痛むことがあります。

  • 炎症がひどくなると、膝上に水がたまり、腫れる

水がたまって腫れることもあります。

  • 膝蓋骨の違和感

膝蓋骨が本来の場所から外れ、動くような違和感・不安定感を覚えます。

  • 膝の引っかかり

膝に何かが引っかかったような感覚がします。

  • 音が鳴る

膝を曲げ伸ばしたとき、ゴリゴリと音が鳴ります。

膝蓋大腿関節症の治療法

運動量を抑えて安静にすること、関節内へのヒアルロン酸注射、鎮痛剤の投与といった保存療法が基本です。それらで改善が見られなかったとき、軟骨がすり減って関節が変形してしまっているときなどには、人工膝関節置換手術が行われることが多くなります。

ちなみに、膝蓋骨の脱臼を繰り返すと、将来的に膝蓋大腿関節症の発症リスクが高まるため要注意。その場合も手術となる可能性があります。膝蓋骨脱臼については「膝の脱臼を繰り返したくない!癖にしないための治し方とリハビリ法」で詳しく紹介しているので、併せてご覧ください。

④「変形性股関節症」による放散痛

変形性股関節症

変形性股関節症は、股関節の異常で軟骨がすり減ったり関節が変形したりする、進行性の疾患です。「膝の痛みなのに、股関節!?」と思う方もいらっしゃるでしょう。実は、膝上が痛む理由として考えられるのが、変形性股関節症の「放散痛」なのです。放散痛とは、病気の原因となっている部位とは全く別の部位に生じる痛みのこと。変形性股関節症は、股関節から太もも、そして膝のあたりまで放散痛を及ぼす可能性があります。

女性に多く、この疾患の8割ほどが、股関節の形成不全といった子どもの頃の疾患が原因と言われています。加齢や体重の増加に伴って軟骨が傷みやすくなり、徐々に症状が現れます。

変形性股関節症の主な症状

  • 歩き始めの痛み(初期)

歩き出したとき、足の付け根やお尻に痛みやこわばりを感じます。

  • 股関節を使う動作がつらくなる(進行期)

和式トイレの使用、正座などができなくなります。

  • 視覚的に股関節〜脚の変形がわかる(末期)

左右の脚で長さが違う、脚が細くなるなど、視覚的にも疾患がわかるようになってしまいます。

  • 放散痛による膝上の痛み

放散痛によって、股関節だけでなく膝上にも痛みが出ることがあります。

変形性股関節症の治療法

症状が進行してしまった場合、骨切り術や人工股関節置換手術手術も考えられます。しかし、第一の選択肢は保存療法。自分でできることも多いです。痛みが強いときは安静にする必要がありますが、症状に合わせて少しずつ、ストレッチやウォーキングといった運動療法を開始します。医師や理学療法士による指導のもとで適切なリハビリを行えば、進行を遅らせることは可能です。

⑤膝で音がする「タナ障害(棚障害)」

タナ障害

出典:tulesion.com

膝関節の周りには関節包(かんせつほう)という袋のようなものがあり、膝関節を守る役割を果たしています。その関節包についているヒダ状の組織が、滑膜ヒダ(かつまくひだ)です。滑膜ヒダはいくつかありますが、膝の内側にあるものこそ、タナ(棚)の正体。関節内視鏡で見ると棚のように見えることから、そう呼ばれるようになりました。

タナは胎児のときにほとんどの人が持っており、出生時に半分の人から消失すると言われています。それが残存している人に起こり得る疾患ですが、存在自体が問題というわけではありません。

ではタナの何が問題なのかというと、膝蓋骨と大腿骨の間に挟まれたような状態になった場合です。スポーツなどで膝の曲げ伸ばしが繰り返されたとき、タナが膝蓋骨と大腿骨の間に挟まり、擦れて炎症を起こすのです。膝の内側に症状が出ることが多いですが、まれに膝上に痛みを感じることもあります。

タナ障害の主な症状

  • 音がする

膝を曲げ伸ばしをすると「カチッ」や「コリッ」と音がします。

  • 引っかかるような違和感

膝を曲げ伸ばししたとき、膝が引っかかったような感覚になるキャッチング現象が起こります。

  • 膝蓋骨周辺の痛み

膝蓋骨と大腿骨にタナが挟まれて関節や骨と摩擦することで炎症を起こし、痛みが生じます。

タナ障害の治療法

オーバーユースが原因となることが多い疾患です。そのため運動量を抑えて安静にし、抗炎症作用のある薬剤を投与して炎症や痛みを抑える保存療法を行うのが一般的です。保存療法で効果がなく、日常生活に支障が出るほど悪化してしまった場合に、タナを摘出する手術を行うこともあります。

 

膝上の痛みの緩和には、大腿四頭筋!

大腿四頭筋

痛みを緩和するためには、まず安静にすることが大切です。でも、「安静にする=何もしない」ではありません。適切なセルフケアを取り入れれば、痛みを和らげる効果がより高まります。

ご紹介した5つの疾患の中でも、大腿四頭筋腱炎、膝蓋上滑液包炎、タナ障害は、多くの場合でオーバーユースが原因と考えられます。オーバーユースは、大腿四頭筋をほぐしたり鍛えたりすることで対処・予防が可能。また、膝蓋大腿関節症や変形性股関節症についても、関節をサポートするという意味で、大腿四頭筋のトレーニングが効果的です。

そこで、大腿四頭筋のストレッチやトレーニング、テーピングといった手法で代表的なものをご紹介します。ただし、痛みや腫れがひどい場合は無理をしないようにしてください。

膝上の痛みを緩和するストレッチ

大腿四頭筋のストレッチには様々な方法がありますが、ここでは立った状態で行う方法をご紹介します。どこでも行えるストレッチです。

①ストレッチしたい足の膝を曲げて、足首を手で持ちます。
②その足のかかとを、グッとお尻に近づけましょう。太ももの前側が伸びているのを感じるはずです。
※曲げた膝が身体の前に出ていたり、腰が反ったりしていると、十分な効果が得られません。また、身体の負担になることもあるので注意が必要です。バランスが難しい場合は、壁や椅子、机等に手を添えて支えながらやってもOKです。

 

膝上の痛みを緩和するトレーニング

膝に負担をかけず大腿四頭筋を鍛えることができる、セッティングというトレーニングをご紹介します。

①トレーニングする足を伸ばして床に座ります。
②コンパクトに丸めたバスタオルを、伸ばした足の膝より少し上(太もも下)に敷きます(※1)。
③つま先を天井に向けて立て、タオルをつぶすように膝を伸ばします(※2)。
④この状態を5~10秒キープ。連続して5~10回程度、1日3セットを目標に行います。
※1:膝が伸びきらない人は、膝より少し下のふくらはぎあたりに敷きましょう。
※2:このとき、太もも前面の内側部分(内側広筋)に力を入れるよう意識するのがポイントです。

 

膝上の痛みを緩和するテーピング

膝上の痛みを抑えつつも活動的でありたいという方は、大腿四頭筋に沿ってキネシオロジーテープを貼るのも効果的。キネシオロジーテープには、筋肉に沿って貼ることで動きをサポートする役割があるためです。代表的な貼り方を見ていきましょう。

①太ももの真ん中あたりからすねの上部までの長さに、テープをカットします。
②片側の短辺の真ん中あたりから、テープ全体の半分くらいまで切り込みを入れます。
③切り込みを入れていないほうの先端が太ももの真ん中あたりにくるように、また、テープに入れた切り込みの分岐点が膝のお皿の真上にくるよう調整して貼ってください。このときテープを伸ばさず貼るのがポイントです(※1)。
④切り込みを入れて分岐させた2本を、膝のお皿の両縁に沿うように貼っていきます。このときも、テープを伸ばさないように貼りましょう。
⑤膝のお皿の真下の柔らかい部分で、その2本をクロスさせます。その2本の端をしっかりと皮膚に密着させたら完了です。
※1:テープにしわが寄って表皮が持ち上げられることで、血行やリンパ液の流れが改善され、痛みが改善されるためです。

大腿四頭筋にキネシオテープ

出典:Physical Sports First Aid

 

膝上の痛み、早期の対処が明暗を分ける

膝上に痛みが出る疾患の中でも、オーバーユースが原因となることが多い大腿四頭筋腱炎、膝蓋上滑液包炎、タナ障害は、安静にすることで症状が緩和されることもあります。しかし、膝蓋大腿関節症や変形性股関節症など、進行性の恐ろしい疾患が隠れている可能性も否定できません。安易な自己判断は控え、少しでも「おかしい」と思ったら、早めに整形外科を受診するようにしてください。今回は、ご紹介した5つの疾患に適用できる大腿四頭筋のケアをテーマとしましたが、診断が確定すれば、よりピンポイントなケアを指導してもらえるはずです。

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