ひざ痛チャンネル編集部
2017-10-11

膝裏が痛い原因と対処法を医師が解説 〜実際の質問への返答も公開〜

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
膝裏が痛い原因と対処法を医師が解説 〜実際の質問への返答も公開〜

以前から膝裏が痛む。でも、特に対処せず痛みを我慢して過ごしている。そんな方、いませんか? 膝の裏には様々な組織が集中しています。そこが痛むということは、靭帯や筋肉などに異常が発生している証拠。放置してはいけません。

どんなシーンでどのように痛むか、それによって原因も異なると考えられるのが、膝裏の痛み。今回は、痛み方とそれぞれの原因にスポットを当てて解説。簡単にできる対処法もご紹介しています。あなたはどれに当てはまるのか、チェックしてみてください。ひざ痛チャンネルに多数寄せられた、膝裏の痛みに関する質問への医師の回答も、記事の最後に掲載しています。

伸ばすと膝裏が痛い原因

膝が伸びる姿勢になると痛みが生じる場合があります。膝裏の痛みを抱えている方に現れやすい症状ですが、安静にしていれば痛みが生じることは少なく、立ち上がりや歩行時などに痛みを覚えるケースが多いでしょう。膝が伸びる姿勢は基本的動作と大きく関係するがゆえに、痛みがひどい場合は日常生活に支障が出てしまうこともあります。

後十字靭帯損傷

膝の十字靭帯の図説

膝を伸ばすと痛い原因として、まず靭帯の損傷が考えられます。膝の裏にあって、太ももの骨とすねの骨を繋いでいるのが、後十字靭帯(こうじゅうじじんたい)。スポーツや交通事故などで膝を強く打ちつけてしまった際に損傷するケースが多いでしょう。

後十字靭帯は膝関節の後ろ方向への動きを制御する役割を担っているため、損傷によって膝が不安定になりやすく、膝を伸ばした際に痛みが生じることがあるのです。

反張膝

反張膝だと膝裏が必要以上に伸ばされるという説明

反張膝(はんちょうひざ)とは、膝が反対側に反ってしまっている状態のことを指します。逆側に膝が曲がっていることにより、必要以上に膝裏が伸ばされ、痛みが生じます。通常、膝は真っ直ぐ伸びているものです。しかし、以下の特徴がある方は膝が弓上に曲がってしまうことがあります。

①体重のかかり方が足裏の後方に偏っている
かかとに重心がかかりすぎると、バランスを取るために足指が浮きます。すると、ふくらはぎの筋肉が硬直し、膝が逆側に反ってしまうのです。

②膝を支える筋力が弱い
太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)と後ろの筋肉(ハムストリングス)の筋力バランスが崩れた状態も、反張膝へと繋がりやすくなります。

太もも前側の筋肉は膝を伸ばすときに、後ろの筋肉は曲げるときに使われます。つまり、太もも裏側の筋力が低下すると、膝を曲げたり、伸ばし過ぎないようにする機能も低下してしまうのです。常に膝は伸びきった状態となり、反張膝を引き起こす原因になり得ます。

③膝が反るような姿勢をとっている
例えばバレリーナが美しい姿勢をとるためやっている、つま先立ちで膝をピンと伸ばす姿勢。これは生物学的に、やや無理のある姿勢です。膝には大きな負担がかかっており、反張膝の原因となることがあります。

 

膝裏の筋が痛い原因

膝裏には様々な筋肉が集中しています。その中でも、ふくらはぎに繋がっている腓腹筋(ひふくきん;下腿三頭筋)が痛むことがあります。重心が前に傾くとこの筋肉が使われるため、正座や屈伸で痛みを感じやすく、歩行、階段の上り下りなどでも痛みを生じることがあるでしょう。

また、腓腹筋は立っているだけでも使われるため疲労が溜まりやすく、傷めやすい筋肉と言えます。特に、走る・跳ぶといった要素が多いスポーツでは、瞬間的に膝の裏を伸ばすため、大きな負担がかかり痛みが生じやすいのです。また、ボールが強く当たるなど、打撲が原因で痛めるケースもあります。

 

膝裏が腫れて痛い原因

膝の裏がポッコリと腫れて、膝を曲げるたびに痛みや圧迫感、違和感(つっぱるような感覚)を覚えることがあります。痛みは軽度であることが多く、安静にしていれば痛みが生じることは少ないでしょう。膝の裏側だけでなく、ふくらはぎや太ももの裏側にまで違和感を抱くのも特徴です。

これはベーカー嚢腫(のうしゅ)と呼ばれるコブが原因として考えられます。これは、膝関節を覆っている関節包(かんせつほう)という組織を満たす関節液が、異常に分泌されたもの。関節液は本来、関節のスムーズな動きを助ける役割を果たしていますが、過剰に分泌されるとコブのように腫れ上がり、痛みを生じさせることがあるのです。そしてその原因となるのが、関節包の内側にある滑膜(かつまく)が刺激されて起きる炎症。具体的には、下記のようなものが挙げられます。

激しい運動による炎症

激しい運動をするとき、膝には大変な負荷がかかっています。運動不足の方は特に要注意。膝を支える筋力が弱まっているため、急に膝を酷使してしまうと、それだけで炎症を起こしてしまうことがあります。炎症を起こした膝関節は、正常に関節液を作り出すことができず、過剰分泌された関節液によってベーカー嚢腫が生じるのです。

変形性膝関節症による炎症

膝関節は、太ももの大腿骨とすねの脛骨を繋いでいる箇所で、それぞれの表面は、軟骨という組織で覆われています。軟骨の大きな役割は、膝に加わる衝撃を和らげる、言わばクッション機能。この軟骨がすり減ってしまうと、その欠片が滑膜を刺激して炎症を起こし、関節液が異常に分泌されることがあります。これも、ベーカー嚢腫が生じる原因のひとつです。

このように、軟骨のすり減りや炎症が続き、時間をかけて徐々に膝関節が変形していく病気を変形性膝関節症(へんけいせいしつかんせつしょう)と言います。

[詳細] 膝の痛みは【変形性膝関節症】かも!3000万人が持つ疾患の正体とは?

関節リウマチによる炎症

悪い細菌やウイルスを排除するはずの免疫細胞が異常をきたし、間違って自分の細胞や関節を攻撃して炎症を起こす、関節リウマチも原因に挙げられます。この病気は膝に限らず、全身の関節に症状が出るのが特徴です。

[詳細] 発症後の2年がカギ!関節リウマチの症状と治療前の基礎知識

 

膝裏のリンパが痛い原因

膝の裏側には、老廃物を体外へ運ぶ機能を持った、リンパ節という器官があります。このリンパ節が膨れて(しこりと違い、膝裏全体が膨らむのが特徴)、痛みが生じることがあります。痛み自体は強くありませんが、膝を曲げる際の違和感が継続しやすいのが特徴です。

膝裏にあるリンパに痛みが生じるのは、循環不良による詰まりが原因。リンパは身体にとって不要になった老廃物や水分を排出するため、常に循環しています。しかし、冷えやストレス、運動不足によって流れが滞ってしまうことがあるのです。

 

セルフケア方法

膝のマッサージ風景

膝裏の痛みを和らげる、簡単な対処法を紹介します。しかし、これはあくまで痛みを一時的に軽減させるもので、根本的な治療ではありません。痛みが強かったり、治まらなかったりするような場合は、必ず整形外科を受診しましょう。

テーピングを貼る

膝裏の痛みを抑えるテーピング方法

出典:PIP SPORTS 簡単テーピングシリーズ

膝関節の伸びや、ねじれに対して安定性を高める効果があるテーピング。痛みを軽減させるのに役立つでしょう。

20cmほどのテープを2枚用意してください。1枚は膝下の内側から、膝裏の斜め上へかけて貼ります。もう1枚は膝下の外側から、同様に膝裏斜め上にかけて貼ってください。テープを貼る際は、テープを引っぱらないよう心掛けましょう。膝裏でクロスされたテーピングは、膝にかかる負担を軽減してくれます。

ストレッチで身体をほぐす

自分で簡単にできるストレッチも良いでしょう。適度なストレッチは筋肉を温め、柔軟性を高めます。また血流改善も期待できるため、リンパの痛みを覚えている方は積極的に取り入れていきましょう。ここでは、ふくらはぎの腓腹筋を伸ばす前屈のストレッチを紹介します。

まず立った状態で足をクロスします。そのまま身体をゆっくりと前へ倒していきましょう。両腕は地面に向かって伸ばします。上半身には力を入れません。このとき、膝裏をしっかり伸ばす意識を持ちましょう。

痛みが出るまでやってはいけません。気持ちが良い程度に伸ばしましょう。手が地面に着かなくても構いません。20秒ほど伸ばしたら、身体をゆっくりと起こしてください。足を逆に組み替えて、もう一度。これを3セット行うのが効果的です。

また、こちらの動画のようなストレッチ法でも、同じように腓腹筋を伸ばすことができます。注意点やポイントも解説しているので、併せてご覧ください。

 

万が一を考え、病院を受診するのが吉

あなたの膝裏の状態に当てはまるものはありましたか? もしそれが変形性膝関節症や関節リウマチといった病気によるものであったら、一刻も早く治療を始めなければなりません。ここでご紹介した対処法も、あくまで症状を和らげるもの。自己判断で放置はせず、病院を受診されるのがベストです。受診を迷っているという方は、下記のよくある質問も参考にしてみてください。

 

よくある質問への医師の回答

ひざ痛チャンネルに最も多く寄せられるのが、膝裏の痛みに関する質問です。いただいた質問から2つをピックアップし、医師が回答します。

長時間歩くと膝の裏が痛くなり、腫れや浮腫みを伴って数日間続きます

Q. 約2週間前から長時間(だいたい2時間以上)歩く度に膝の裏が痛くなり、一度痛みが出ると数日間続きます。寝てる時や動かさない時は痛くないのですが、歩くと少し痛みます。また、膝裏が少し腫れているような感じがあり、脚全体がかなり浮腫んでいます。骨や筋肉の痛みではないです。病院に行きたいのですが現在海外におりあと2週間病院に行くことができないので、何か考えられる原因や対処法を知りたいです。まだ20代前半ですし、今まで激しいスポーツをしてもこのような事がなかったので不安です。歩き過ぎているのでしょうか?

A. 膝全体が浮腫んでいるのであれば、関節液が溜まっているのでしょうか。炎症を起こしている可能性があります。また膝裏だけが腫れている場合は、ベーカー嚢腫といって、風船上の良性の嚢腫ができている可能性もあります。診察してみないとわかりかねるのですが、症状をお聞きする限りでは緊急を要する疾患ではないと思われるので、受診まではクーリングや湿布なのでしのぐか、サポーターを着用してみてもいいかもしれません。
いずれにしても帰国後は整形外科を受診してみてくださいね。お大事になさってください。(大鶴医師)

膝裏の痛みで正座ができません。時々つるような痛みが出て、歩くのがつらいです

Q. 左の膝が痛くなり整形外科を受診しましたが、レントゲン撮影では異常がありませんでした。痛み止めの薬を出してくれたのですが効かず、歩くにも痛みが出てきて、膝を曲げる事もできなくなってしまいました。半月板がずれているかもしれないという事で紹介してもらい、総合病院でMR Iを撮って貰ったのですが、どこも異常はなく、日にちも経っていたためか、診察を受けた時には足も曲がるようになり、車にも乗れるようになりました。
でも膝裏に痛みがあって正座は出来ず、時々膝裏につるような痛みで歩くにもびっこをひいています。本当にこのままで良いのでしょうか?わたしなりに膝の筋肉をつけなくてはとストレッチをしていますが、不安です。

A. 痛みは不安ですよね。MRIでも異常が見つからない場合、筋肉や腱が原因の場合があります。休息や正しいストレッチが必要になりますので、一度筋や腱も診察してくれて、ストレッチのアドバイスをくれる場所への受診をお勧めいたします。(服部医師)

SNSでもご購読できます。

ひざ関節症クリニック 運営クリニック情報

ひざの痛み専門無料でんわ相談

ひざ関節症クリニック

運営クリニック情報

ひざの痛み専門無料でんわ相談

フリーコール 0120013712

LINE お友達追加はこちら 閉じる

LINE お友達追加はこちら 閉じる