ひざ痛チャンネル編集部
2017-12-18

「膝の内側が痛い」原因から対処法・受診タイミングまで専門医が解説

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「膝の内側が痛い」原因から対処法・受診タイミングまで専門医が解説

長引く膝の内側の痛み。その原因が分からず不安な思いをされていませんか? そんな方はまず、この記事をご覧ください。直接的な疾患から根本的な要因まで、考えられる痛みの原因を解説しています。

病院に行くべきか分からないという人のために、受診すべきタイミングについても言及。どんな原因が考えられるのか、これまで分からなかったことが見えてくることで、もやもやした気持ちがスッキリするはずです。

膝の内側が痛い原因~疾患編~

膝痛の中でも特に多いのが、内側の痛みです。筋肉や靭帯、腱、骨や関節といった様々な要因が関係するため、考えられる疾患もひとつではありません。まずは、内側の膝痛が症状の特徴である膝の病気や、スポーツ障害について解説します。

動き始めに膝の内側が痛い「変形性膝関節症」

変形性膝関節症とは

50代以上の人の膝痛で内側の痛みが強いようなら、変形性膝関節症の可能性が高いでしょう。変形性膝関節症は、軟骨のすり減りによって関節内に炎症が生じる、膝の代表的な病気。厚労省発表のデータによると、50代以上の日本人のうち2400万人に発症していることが分かっています。

「高齢者に起こる膝痛でしょ?」と思っている人も安心している場合ではありません。スポーツを習慣にしていないのに膝の内側が痛いという場合、40代でも変形性膝関節症を発症している可能性は十分に考えられるのです。この疾患の初期症状としては、下記のようなものが挙げられます。

・動き始めるときに膝の内側が痛む
・階段の上り下りで膝の内側が痛む
・膝がこわばる

膝の内側の痛みと変形性膝関節症との関係については、サインは膝の内側の痛み。早めの治療が肝心な「変形性膝関節症」とはをご覧ください。

曲げると膝の内側が痛い「鵞足炎」

鵞足炎とは

膝の内側には、縫工筋、半腱様筋、薄筋という3種の太ももの筋肉と脛(すね)の骨をつなぐ腱が集まっています。この部分が、鵞足。集まった3つの腱の形がガチョウの足に似ていることから、そう呼ばれています。

鵞足炎の直接的な原因は、膝の曲げ伸ばしなどで生じる鵞足と脛の骨との摩擦です。鵞足の腱と腱が擦れるということもあります。ランニングでのオーバーユースでよく起こりますが、他にも関係する筋肉が硬いことも要因にあげられるでしょう。鵞足炎では、下記のような症状が現れます。

・膝の曲げ伸ばしで内側(の少し下)が痛む
・膝の内側を押すと痛い
・膝に腫れや熱感が見られる

膝の内側を押すと痛い「内側側副靭帯損傷」

内側側副靭帯損傷とは

膝の内側に位置する内側側副靭帯は、急な方向転換などでも膝が内側に動き過ぎないよう、大腿骨(だいたいこつ:太ももの骨)と脛骨(けいこつ:すねの骨)をつないで支えている組織。膝を内側に曲げて切り返す動作の多いサッカーやアメフト、ラグビーといったスポーツで起きやすいのが、この内側側副靭帯の損傷です。負荷の蓄積や、膝を内側に曲げた状態での接触など、強い衝撃が加わることでダメージを負いやすいのです。もしこの靭帯を損傷してしまうと、次のような症状が現れやすいでしょう。

・膝の内側を押すと痛い
・膝に腫れや熱感が見られる
・膝の不安定さを感じる

「膝のねんざ」と言われるほど、膝のケガとしては発生頻度の高いこの疾患。急性期(ケガをした初期)にしっかり固定するなど、きちんと処置すれば比較的治りやすいと言えるでしょう。ただ、放置したり処置が不適切だったりする場合、治療が難しくなってしまいます。ケガはだいたいそうですが、最初が肝心ということですね。

膝の水たまりの原因「半月板損傷」

半月板の構造

大腿骨と脛骨の間に存在する半月板。膝関節への衝撃を和らげたり、安定させる役割を果たしています。膝の外側と内側にそれぞれ1枚ずつあり、内側の半月板損傷で膝の内側に痛みが出ることがあります。

スポーツや事故などで膝に強い衝撃が加わることで、傷つくのがこの疾患の主な原因ですが、負担の蓄積や加齢で変性することなどもあげられます。そのため、変形性膝関節症や内側側副靭帯損傷など、他の疾患に合併して起こることも少なくありません。半月板損傷の症状としては、次のようなものが挙げられます。

・膝を曲げ伸ばししたときのひっかかり
・膝の裏側が痛いこともある
・膝に水がたまる
・膝のロッキング現象

膝で音がする「タナ障害」

滑膜ヒダと言われる膜に覆われている膝関節。その膜のうち、膝蓋骨(しつがいこつ:膝のお皿)と大腿骨の内側の間にある膜が棚状であることから、「タナ」と例えられています。これは、胎児のときに一時的につくられ、大きくなるにつれてなくなっていくものです。半数ほどがそのまま持って生まれてきますが、それは特に問題ではありません。これが炎症を起こすとタナ障害となって、膝の内側に痛みが生じるのです。この疾患の症状としては、下記のようなものがあります。

・膝の内側にひっかかり感がある
・「コリ」「パキ」など膝から音が聞こえる
・膝を曲げると内側が痛い

原因はオーバーユース。つまり、使いすぎです。スポーツなどで膝の曲げ伸ばしを過剰に行うと、タナが骨とこすれたり関節に挟まったりすることがあり、それによって炎症が起こるのです。細いものや厚みのあるものなど形状が様々ですが、特に厚みがあり太い(幅が広い)タナに多くみられる傾向があります。

膝で音が鳴る疾患について、さらに詳しくは【膝が鳴る】様々な音から考えられる疾患と治療法を医師が解説にまとめてあります。

鵞足炎と間違えることもある「疲労骨折」

疲労骨折とは、一度で骨折に至るような強い衝撃ではなく、小さな負担が蓄積されて骨にひびが入ったり、それが進行して骨折すること。スポーツでのオーバーユースもそうですが、筋力の弱さや筋肉の硬さも影響します。疲労骨折は、足の甲と指の骨をつなぐ中足骨(ちゅうそっこつ)に最も起こりやすく、整形外科学会の発表では37%。膝には関係ないと思われるかもしれませんが、実はすねの脛骨が27%と、中足骨に次ぐ好発部位なのです。次のような症状があれば、疲労骨折の可能性が考えられます。

・運動したときに痛い
・動いていないときは痛くないことが多い
・腫れることもある

レントゲンで骨折が確認できれば、疲労骨折と診断がつきます。ただ鵞足と位置がかぶるため、鵞足炎と間違って診断されるケースも。また、レントゲンは骨折線がはっきりしないと写らないことから、発症からレントゲンで確認できるまで2〜3週間ほど要することもあります。他の診断方法で言えば、MRI検査は水分量の変化を見ることができるため、早い段階での確認が可能です。

 

膝の内側が痛い原因~身体の歪み編~

痛みの直接的な原因はご紹介したような疾患ですが、根本的な原因は他にあるかもしれません。身体のクセや状態が膝の内側に負担をかけ、それによって痛みが生じていることも多いのです。

O脚

皆さんご存知の通り、内側のくるぶしを合わせて立ったときに、太ももや膝の内側がくっつかない状態がO脚です。O脚と言っても、どこに異常があるかで種類が異なります。例えば、太ももや膝はくっつくけれど、膝下に隙間があるタイプ。これは脛骨や腓骨(ひこつ)といったふくらはぎの骨の問題で起こります。また、股関節や足関節(足首の関節)が内側にねじれていることで起こるO脚も。

このように、股関節、膝関節、足関節の配列の乱れから膝の内側への負担が蓄積されています。その蓄積だけでも機能障害が起こることはありますが、この状態でスポーツすることで負担は倍増。膝の内側に痛みが生じる、何かしらの疾患が起こりやすいと言えるのです。

筋力不足

膝の痛みは内側に限らず、筋力と深い関係にあります。というのも、膝への負担を筋力でサポートして軽減しているから。つまり、筋力が低下するとそれだけ膝への負担は大きくなるということです。スポーツをしている人だと筋力不足ということは少ないかもしれませんが、加齢が要因となる変形性膝関節症やそれに伴う半月板損傷などでは、この関係が疑われます。

筋肉が硬い

筋力不足もそうですが、筋肉が硬いことも原因のひとつにあげられます。「”筋肉が硬いと膝痛が起こる”を防ぐ4つの実践ストレッチ」でも触れたように、筋肉が硬いということは、筋肉の収縮が続いているということ。そのため、筋肉と骨をつなぐ腱への負担が大きくなり、オーバーユースを起こしやすいと考えられます。

また、この筋肉の硬直によって通常よりも骨は引っ張られた状態に。これが続くことは、関節のアライメント(配列)不良、つまりO脚を引き起こすことにもつながるのです。

 

病院を受診するタイミング

膝の内側が痛いときは上記のような原因が考えられますが、内側側副靭帯損傷の説明でも触れたように、どれも早期治療がカギとなります。そのため、痛みを感じた時点ですぐに整形外科を受診するべきです。

もしかしたら、疲れなどからくる一時的な痛み(もしくはしびれ)かもしれません。ただ、原因が分からないと「なんで痛いんだろう?」と不安になりますよね。ストレスは痛みを感じにくくするドーパミンの分泌を抑制してしまうと言われているので、もしかしたら痛みが増してしまうかもしれません。大事ではなかったとしても、診察や検査で原因がはっきりすれば安心できるので、このストレスは除けるかと思います。

 

膝の内側が痛いときの応急処置

膝の内側が痛くなったからといって、すぐに病院を受診できない状況もあるでしょう。病院に行くまでの応急処置や、治るまでの痛みの緩和については、次の方法が有効です。

冷やす(温める)

膝が痛いときは冷やす

膝の内側の痛みの他に腫れや熱感を帯びているときは、氷嚢や保冷剤などで患部をアイシングしましょう。特にスポーツや事故で急に痛みが生じたケースなどが適応となります。

ただ、慢性化した痛みの場合は、冷やすのは逆効果。血行が悪くなり痛みが助長してしまう恐れも。こういうケースでは温めることが鉄則です。

湿布を貼る

膝が痛いときは湿布を貼る

同じく、膝の内側に腫れなどといった炎症の症状が見られる場合、湿布を貼ることも有効です。なぜなら、湿布には消炎鎮痛作用があるから。痛みの軽減が期待できます。

ちなみに、冷湿布と言えど、患部を冷やす効果はあまりありません。もし冷やす目的であれば、アイシングすべきです。

サポーター

膝が痛いときはサポーター

治療中やリハビリ中などに使用すると良いでしょう。膝が左右にブレたりグラついたりするのを防ぐ固定タイプのサポーターや、血行不良からくる膝痛を防ぐための温めるサポーターがあります。固定サポーターはどの疾患でも役立ちしますが、保温サポーターは慢性的な痛みの場合のみ使用しましょう。

サポーターで膝を固定すれば、内側の痛みは和らぐでしょう。ただ、それはあくまで膝を補助することでの効果。無理をすると悪化するので、注意が必要です。

テーピング

膝が痛い時に有効なテーピング

サポーター同様、膝を固定することで内側の痛みを緩和することができます。テーピングも色々な種類がありますが、膝は曲げ伸ばし動作が多いため、伸縮性のあるエラスティックテープが良いでしょう。

また、根本的な原因のひとつである筋肉にアプローチするキネシオテープもよく使用します。筋肉の動きを助ける効果があり、ひいては関節のサポートに。疲労回復にも活用できるため、ケガの再発や予防目的でも使えます。

足底板(インソール)

膝が痛いときのインソール

足底板(そくていばん)とは、靴の底にあてがう板のこと。平たく言うと靴の中敷きです。膝の内側の痛みには関節のアライメント不良が関係することがあげられます。関節のねじれや重心のバランスをこの足底板によって調整することで、膝の内側にかかる負担を軽減することができるのです。

足底板は、自分の足に合わせてオーダーメイドすることがベスト。病院によっては保険適応で作成することもできるので、一度相談してみると良いでしょう。市販のインソールを購入する場合に注意したいのが、合わないものを使って膝の痛みが悪化することです。一次的な応急処置であっても、シューフィッターなど専門家と相談の上で購入することをおすすめします。

ストレッチ

原因の項でも触れた通り、膝痛には筋肉の硬さが関係するため、ストレッチで張り詰めた緊張をほぐすことで、痛みを和らげる効果が期待できます。膝の内側が痛いときに有効なストレッチは様々ありますが、そのうちのいくつかをご紹介しましょう。

鵞足筋のストレッチ

鵞足炎に関係する筋肉、縫工筋・半腱様筋・薄筋のストレッチです。

①痛みのある足を45°に広げ、反対の足の膝を内側に折り畳むように曲げます。
②そこから、股関節を曲げて前に倒れていきます。この状態を20〜40秒間キープ。
③背中が丸まったり、伸ばした足が内側に倒れてしまわないようにするのがポイントです。

大腿四頭筋のストレッチ

変形性膝関節症などの慢性的な痛みの場合、大腿四頭筋(太もも前側の筋肉)のストレッチが有効です。

①立った状態で痛みのある方の膝を曲げ、足の甲を手で持ちます。
②手に持った足のかかとを、お尻に引き寄せましょう。この状態で20〜40秒。
③壁などに手を当て、バランスを安定させても構いません。

ハムストリングのストレッチ

関節のアライメント不良を改善するストレッチのひとつが、ハムストリング(裏ももの筋肉)へのアプローチです。

①たった状態から、痛みのある足を半歩前に出します。
②背筋を伸ばし、股関節から折り畳むように体を前に倒します。反対側の膝は少し曲げましょう。
③裏ももが伸びていることを感じながら、20〜40秒維持します。

 

まずは痛みの原因を確定しましょう

ご紹介した対処法は一般的なものなので、膝の内側の痛みの多くに適合します。しかし、やはり原因に対しては正しいアプローチをすべきです。なぜなら、先にも触れたように、急性期の対応がとても大切だから。それを誤り、治りにくくなってから後悔しても遅いですよね。膝の内側に痛みが出ていてまだ病院に行っていない人は、なるべく早くに整形外科の受診ををおすすめします。

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