ひざ痛チャンネル編集部
2018-02-23

「膝がおかしい」様々な違和感の原因と病院を受診するタイミング

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「膝がおかしい」様々な違和感の原因と病院を受診するタイミング

痛みがあったりひどかったりするわけではないけど、膝の違和感が気になる……。実際、曲げ伸ばしにくさや音、力が抜けるなどなど、膝には様々な違和感が起こり得ます。こういった違和感は原因が分からないから不安になるもの。「病院に行くほどではないし」と思っている人は、どうして起こっているかを知ることから始めましょう。

そこで、膝の代表的な違和感をピックアップ。それぞれの症状に対して、考えられる原因を分かりやすく解説します。病院に行くかどうかの判断にもお役立てください。

 

①曲げにくい

膝が曲げにくい違和感

膝を曲げようと思っても昔のようにいかない。曲げにくいから動きづらい。そんな膝の違和感も、細かく症状を分けると、それぞれに次のような原因が疑われます。

 

膝が引っかかって曲げにくい

膝がロックされたように固まって曲がらないという症状は、しゃがもうとするときなどに多く見られます。

この膝の違和感からは、関節内が滑らかな動きの叶わない状態だと推測。進行すると、軟骨や半月板、骨、靭帯の損傷なども疑うことになります。例えばロッキング現象。損傷した半月板の破片が関節に挟まり、激しい痛みとともに、膝が動かなくなってしまう症状です。

 

筋肉がこわばって膝が曲げにくい

例えば、膝の曲げにくさから自転車がこげないようなときには、筋肉が関係していると考えれます。そもそも膝の曲げ伸ばしは太ももの筋肉の運動によるもの。しかし、筋膜の癒着や筋肉の短縮によってこの筋肉が柔軟性を失うことで、膝は可動域制限を起こしてしまうのです。

膝を曲げる動作の場合、大腿四頭筋(だいたいしとうきん:太もも前面の筋肉)が硬くなっていると予想されます。

 

皮膚がつっぱって膝が曲げにくい

傷跡や手術痕の影響で皮膚が固まったり、筋肉や筋膜と癒着してしまっているために、膝が曲げにくいというケースもあります。このような場合、階段の上り下りでも皮膚がつっぱって足をあげづらくなり、不自由を感じたり、つまづいて転倒しやすくなてしまうでしょう。

 

腫れの影響で膝が曲げにくい

膝関節で腫れが生じると、関節が圧迫されることになります。こうなると、正常な状態よりも膝の可動域が制限されることに。つまり、膝が曲げにくくなるというわけです。

 

膝の痛みで曲げにくい

このケースでは、正座ができないとお悩みの方も少なくありません。

膝の痛みの原因は2パターン。急性と慢性のものに分けられます。怪我などの外傷でなければ、筋機能のアンバランスによってアライメント不良が起こっているかもしれません。そんな状態で運動動作を行うと、痛みを感じる組織に常に刺激が入ってしまうのです。

強い膝の痛みが1週間以上続くようなら、半月板や骨、靭帯、筋肉などの損傷も疑われます。

 

人工関節の影響で曲げにくい

人工物と自分の組織との違いから、手術後は様々な違和感を覚えることがあります。そのひとつが、膝の曲げにくさ。特に、部分置換する人工関節単顆置換術の場合は、もともとの靭帯が残っています。そのため、この靭帯のバランスが手術の影響で崩れてしまうと、膝の曲げにくさが生じることもあります。

 

②伸ばせない

膝を伸ばしにくい違和感

曲げられない違和感があれば、もちろん伸ばせないという違和感もあるでしょう。

筋肉がこわばって膝が伸ばせない場合は、大腿四頭筋の硬さが原因。ひっかかりやロックがかかったような違和感では、膝関節の骨同士がぶつかっている、もしくは半月板や靭帯の損傷も推測されます。腫れが膝関節を圧迫して、可動域制限が起こっている可能性も。また、慢性的な痛みで膝を伸ばせない場合は、筋機能のアンバランスによるアライメント不良(骨や関節が正常な位置からずれてしまっている状態)がまず考えられます。手術を経験された方なら、手術痕が筋肉や筋膜と癒着し、皮膚がつっぱって伸ばせないということもあるでしょう。

 

③音が鳴る

膝で音がする違和感

しゃがんだとき、階段の上り下りで、椅子から立ち上がろうとしたときなど、「ポキポキ」「コキコキ」といった音が膝から聞こえ、不安という方も多いのではないでしょうか。膝の音は伸ばしたときと曲げたとき、どちらでも鳴ることがありますが、原因は次のようなことが考えられます。

 

膝関節の骨がこすれて音が鳴る

膝の音は、膝蓋骨(しつがいこつ:膝のお皿)と膝関節がぶつかり擦れるときに鳴ることがあります。なぜ骨がぶつかるのかと言うと、脛骨(けいこつ:すねの骨)や大腿骨(だいたいこつ:太ももの骨)を内旋または外旋させる筋肉のアンバランスさが原因。大腿骨や脛骨、膝蓋骨が本来動くべき方向に動いていないときに起こる症状です。

また音に関しては興味深い報告もあります。それが、変形性膝関節症の症状のない3,495人を対象に、膝のポキポキ音と変形性膝関節症の発症との関連を検討するような試験を行ったというもの。結果、膝のポキポキ音がまったくないという人に対し、まれにある人でも1.5倍、いつもある人では3.0倍も変形性膝関節症の発症リスクが高かったというのです。研究グループも「膝でポキポキと音がする症状は、変形性膝関節症のリスクを持つ人の識別や、発症の予測に有用」と、調査結果を評価しています。

【参考文献】
「Subjective Crepitus as a Risk Factor for Incident Symptomatic Knee Osteoarthritis: Data From the Osteoarthritis Initiative.」Lo HG他 Arthritis Care Res 2018 Jan; 70(1):53-60

 

④腫れる

膝が腫れる違和感

痛みや熱、赤くなるなどの症状を伴う膝の腫れ。この腫れによって、曲げ伸ばしができないというお悩みをよく耳にします。なかには、腫れと同時に、膝を伸ばした際に膝蓋骨がぷかぷかと浮いているような感覚を覚えることもあります。

 

炎症が原因で腫れる

膝が腫れる要因はいくつかあれど、ほとんどは炎症が原因。例えば、事故や怪我による急性炎症や細菌感染による炎症などがそれに当たります。

また、膝に水がたまると腫れが生じますが、これも炎症によるもの。膝蓋骨がぷかぷかと浮いているような感覚は、まさに膝の水たまりと考えられるでしょう。膝裏が腫れるベーカー嚢腫も、膝に水がたまって起こります。

 

物理的な刺激が原因で腫れる

物理的な刺激と言うと、強くぶつけるなどの衝撃による刺激をイメージするかもしれませんが、生活する上では他にも様々な刺激があります。例えば、高温や低温、紫外線、電気刺激などです。これらの許容範囲を超えた場合、膝に腫れが生じることがあります。

 

⑤力が抜ける

力が抜ける膝の違和感

「膝崩れ」と呼ばれる症状がこちら。ジャンプするときや着地したとき、階段を駆け上がるとき、歩き出すとき、立ち上がろうとするときなどに起こる違和感です。

 

踏み込むときに力が抜ける原因

違和感が現れるシーンを見ても分かるように、踏み込もうとするときに起きています。膝に痛みがないのであれば、筋力の低下がまず疑われます。他には、筋肉への神経伝達が何らかの要因で阻害され、脛骨の前方移動を制御できていないという原因も考えられます。

また靭帯や半月板損傷でも、踏み込みで膝の力が抜けることがあります。こういった疾患の場合、膝の痛みをイメージされるかもしれませんが、痛みが生じず膝崩れのみが症状として現れることも少なくないのです。

 

⑥カクカクする

膝がカクカクする違和感

力が抜ける「膝崩れ」にも通ずる、膝がカクカクするという違和感。特に足が地面に着いた時に、カクカクという不安定さを感じます。

 

靭帯損傷が原因で膝がカクカクする

靭帯は膝関節で面する骨と骨をつないでいる強い結合組織です。それが損傷すると、急に膝が崩れたり、カクカクするという不安定感を覚えることも。日常的な膝の動きには柔軟に対応できる靭帯ですが、例えばコンタクトスポーツや事故などで強い衝撃が加わると、後十字靭帯を損傷する可能性があります。また、衝撃がなくとも、無理な動きを続けることは、前十字靭帯損傷の原因にもなります。このような疾患で、膝がカクカクするという違和感が生じるのです。

 

半月板損傷が原因で膝がカクカクする

膝関節にかかる衝撃を分散させたり、関節の動きを滑らかにする働きを担う半月板。損傷すると、関節の動きが不安定に。足を着いたときに膝に力が入らなかったり、膝を曲げたときにはカクカクと引っかかるような違和感を覚えることもあります。

 

反張膝が原因で膝がカクカクする

反張膝(はんちょうひざ)とは、伸ばしたときに反り過ぎてしまっている膝の状態を言います。足全体を横から見たとき、本来であれば大腿骨と脛骨は一直線で結ばれる位置に存在します。それが反張膝では、逆くの字に。本来の膝の可動域を超えている状態であるため、膝が不安定になるのです。

膝がカクカクするといった違和感の他、悪化すると膝裏に痛みが生じることもあります。

 

⑦しびれ

膝がしびれる違和感

ピリピリやビリビリ、ジーンと熱いような感覚があったり、逆に膝に感覚がないという症状も見られるしびれ。これもお悩みの方が多い、膝の違和感ではないでしょうか。

 

圧迫が原因で膝がしびれる

しびれという違和感の原因には、圧迫が考えられます。神経や脊椎、筋肉などが圧迫されていると生じる症状だからです。この圧迫には、腰の疾患が関係することも少なくありません。

例えば、椎間板ヘルニア。長い背骨のクッションにもなっている椎間板の中の組織が外に飛び出し、神経を圧迫してしまう腰の代表的な疾患のひとつです。この影響は足にもおよび、痛みの他、しびれや感覚がなくなることがあります。

 

⑧歩きにくい

歩きにくいという膝の違和感

膝関節の動きがスムーズではなかったり、安定しなかったり、膝に力が入らなかったらり、痛みがあったり……。歩きにくいという違和感を覚える背景には、いくつかの原因が隠れています。

 

膝が曲がらず歩きにくい

膝の可動域制限によって、正常で効率的な歩行ができない状況と考えられます。

膝が曲げにくいという違和感の話でも触れましたが、可動域制限の原因のひとつは、筋膜の癒着や筋繊維の短縮による筋肉の柔軟性の低下。筋肉の他、皮膚や関節包(関節を覆う膜)、靭帯の柔軟性が失われることで膝が硬く曲げにくくなる、拘縮(こうしゅく)でも可動域制限は起こります。

 

膝に力が入らず歩きにくい

正常な歩行ができないほど、筋力が低下していることが推測されます。

膝関節と筋肉は、とても密接な関係。歩くときの膝を曲げるという動作は太ももの筋肉が担っていますし、膝関節への衝撃も筋力で軽減されています。加齢や運動不足で太ももやお尻、ふくらはぎなどの筋力が低下すると、膝に力が入らなくなり、踏み出したときなどに歩きにくさを感じるでしょう。

 

膝の痛みの影響で歩きにくい

歩くと膝が痛いので、それをかばうように歩かねばならず、正常で効率的な歩行ができないというケースも。

膝の痛みは他の違和感の項目でもあげているように、軟骨や半月板、骨、靭帯などの損傷といった、様々な原因が考えられます。

 

⑨ずれ

膝がずれる違和感

膝がずれるような違和感は、次のようなシーンで多いかと思います。歩行で片足をあげたとき、膝を曲げ伸ばしたとき、足を地面に着けたとき。これらには、大腿骨と脛骨の構造的な変位や、膝のお皿である膝蓋骨の位置の異常が関係しています。

 

歩行で片足をあげたときの膝のずれ

この場合の違和感は、ラテラルスラストによって起こります。ラテラルスラストとは、歩いているときに膝関節が外側に横ぶれすること。そしてラテラルスラストは、歩行周期における前に踏み出した足が地面に着いて反対側の足が離れたとき、つまり全体重が片側に乗った立脚中期(ミッドスタンス)のときに起こるのです。

原因はO脚です。O脚は大腿骨の外旋(外側に回転する動き)、脛骨の内旋(内側に回転する動き)によって、膝関節より下が内側に反っています。この状態で片足に全体重を乗せると、外側に向かって揺れ動き、膝がぶれてしまうのです。

さらに言えば、O脚には股関節の動きを司る内転筋群(ないてんきんぐん:内ももの筋肉の総称)や殿筋群(でんきんぐん:お尻の筋肉の総称)、足首の動きの前脛骨筋(ぜんけいこつきん:すねの筋肉)などが関係しているため、これらの筋力低下も膝の違和感に関わっていることになります。

 

膝の曲げ伸ばしのときの膝のずれ

これは膝蓋骨の位置のずれによるものです。原因はアライメント不良。アライメントとは”配列”を意味し、ここで言う不良とは、関節が正常な配列ではないことを指します。膝の曲げ伸ばしのときにずれるような違和感がある場合は、これが原因の可能性大。大腿骨と脛骨の内旋や外旋、内反(O脚気味)や外反(X脚気味)といったバランスの悪さから、膝を曲げたときなどに膝蓋骨が外側に引っ張られることがあるのです。膝蓋骨の亜脱臼(完全に大腿骨の溝を乗り越えてはずれるわけではないけれど、膝のお皿がずれること)の要因にもなり得ます。

 

足を地面につけたときの膝のずれ

アライメント不良の他に、筋肉の影響から膝蓋骨が不安定になることもあります。それが、足を着いたときに筋力をうまく発揮できないというもの。こうなると、膝蓋骨が不安定になってずれたような違和感を覚えるのです。

筋肉の影響というのは、足の内側の筋力低下(緩み)と外側の筋肉や靭帯が硬くなっていること(緊張)。具体的には、太もも前面の内側よりにある内側広筋(ないそくこうきん)の筋力低下や、太もも外側に位置する大腿筋膜張筋と腸脛靭帯や外側広筋(がいそくこうきん)の柔軟性が原因と考えられます。

 

⑩熱い

膝が熱い違和感

腫れが生じていると熱を伴うこともありますが、運動後に膝の周りが熱い、同じ姿勢が続くと熱いような感覚を覚えるなど、シーンによって感じることも少なくありません。

 

炎症で膝が熱い

運動後や怪我をした後、高温や低温、電気や紫外線を受けたあとに膝が熱い場合、原因としては炎症が考えられます。靭帯や筋肉、膝関節を包む関節包などの組織が、外的な刺激によって炎症すると、局所的に血流が増加。刺激を受けた部分が熱くなったり、赤くなったりします。

また、人工関節置換術を受けた後にも手術の傷の影響から熱感を感じることが少なくありません。ただ、この術後の熱感については、3ヵ月程で落ち着いてくることが多いようです。

 

感覚障害で膝が熱い

長時間、同じ姿勢を続けた後に膝が熱いような気がするなら、感覚的な障害が疑われます。同じ静止姿勢を長く続けると、脊椎や血管、筋肉、神経などにおいて、同一部位が圧迫される状態に。すると、感覚障害によって熱いと感じることがあるのです。

 

膝の違和感がどうなったら病院に行くべき?

膝の違和感の相談

ズバリ、ほとんどの違和感において、痛みを感じたときが病院を受診すべきときです。「そこまで痛いわけでもないし……」とためらう方もいるでしょう。確かに、悶絶するほどの痛みでなければ、すぐに病院に行く人は少ないかもしれませんね。ただ、様子を見るのも目安は1週間ほど。それ以降も痛みが続くようなら、ためらわずに病院に行きましょう。膝の音の違和感では具体的なリスクについて触れましたが、ここであげた違和感のほとんどが、変形性膝関節症の発症に関係し得るものですから。

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