ひざ痛チャンネル編集部
2017-10-25

半月板損傷「手術するorしない」を決める要素とは

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半月板損傷「手術するorしない」を決める要素とは

スポーツ選手のニュースで取り上げられることが多いので、半月板損傷=手術というイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか。実際に診療を受けてみても、医師によっても言うことは様々でしょう。

結論として、すべてのケースで手術が必要というわけではありません。膝を切らずとも症状が改善したケースはたくさん報告されています。では、手術をするかしないかの目安はどこにあるのでしょうか? それぞれの3つの特徴をお伝えするとともに、半月板損傷に有効な手術以外の治療法もまとめてご紹介します。

 

半月板損傷とは?

手術が必要なケースを説明する前に、まずは半月板損傷について整理しましょう。基本的なことの中に、手術するかどうかの目安となるポイントが隠れています。

主な症状としては、

  • 痛み:階段の上り下りや膝を動かすとき。突然、激痛が走るケースも。
  • 膝の引っかかり:キャッチングという症状。曲げ伸ばしの際に違和感を感じる。
  • 膝が抜ける感覚:膝に力が入らず、ガクッと崩れるような感覚。
  • 腫れ:関節内の炎症で水がたまり、膝がブヨブヨに腫れることも。
  • 膝が動かなくなる:ロッキングという症状。半月板の破片がひっかかることが原因。

などがあげられます。

 

原因はスポーツや事故でのケガ、そして加齢

半月板の構造そもそも半月板とは、膝関節の大腿骨(だいたいこつ:太ももの骨)と脛骨(けいこつ:すねの骨)の間に存在する軟骨。半月状の板を模したこの軟骨は、関節の内側と外側の両方にあり、衝撃を吸収するクッションの役割を担ってのです。

そんな半月板が損傷する原因としては、2パターン考えられます。

ひとつは、スポーツなどによるケガです。膝はひねるような横の動きに弱い構造なのですが、接触プレーなどで強い衝撃とともに膝をひねったりすると、半月板が断裂します。また、急なストップや切り替えなどで痛める場合も。実際、スポーツ選手が半月板を損傷するケースは多く、中日ドラゴンズ・平田良介外野手のシーズン離脱や、大関・照ノ富士関の九月場所の休場などは記憶にも新しいところでしょう。

事故でおなじような負荷が膝にかかった場合も、半月板損傷は起こり得ます。

もう一つ考えられる主な原因は、加齢によるダメージです。半月板は主に水とコラーゲンでできています。加齢でこれらは減少してしまうので、半月板はもろくなっていきます。そうすると、膝関節への負担の蓄積やちょっとした衝撃でも損傷してしまうのです。特に40歳以上は注意が必要と言えるでしょう。

 

半月板の断裂には様々な種類がある

一言に半月板損傷と言っても、損傷の状態によって治療法選択なども変わってきます。病態として次のような種類があります。

  • 縦断裂:半月板が縦に亀裂
  • 横断裂:半月板が横に亀裂
  • 水平断裂:半月板の表面がめくれるように損傷。
  • 変性断裂:半月板がバサバサとささくれるように損傷

半月板損傷の種類

縦断裂・横断裂・水平断裂はケガが原因で起こることが多く、変性断裂は加齢の影響で生じやすい損傷です。

半月板の変性断裂はMRI画像を解説した動画もありますので併せてご覧ください。動画でご紹介している症例では膝の内側の後ろ側で変性断裂が起きています。変性断裂は後ろ側で起きる方が多いのですが、そうするとしゃがんだときに強い痛みが出やすくなります。

 

手術しなくても良いケースとは

半月板損傷の基本を理解したところで、具体的にどんな病態や症状だと手術以外の治療法で症状の改善が見込めるのでしょうか。言い切ることは難しいですが、下記のような特徴であることが多いようです。

 

損傷位置が半月板の外側

半月板の外側は血流が多い

半月板は主に血液から栄養を確保しています。特に血流の豊富な半月板の外縁は、自然治癒能力が高い部分。断裂の程度にもよりますが、手術以外の治療法でも改善が期待できます。

 

炎症がひどくない

関節内の炎症は進行具合のバロメーター。半月板損傷後、膝関節に炎症起こっていないなら、まずは手術以外の保存的治療を行うようです。

 

軟骨が損傷していない

関節のクッション剤でもある半月板が損傷すると、膝への衝撃が強まるため、軟骨が損傷もしくは変形することがあります。これも手術するしないのひとつの判断基準。軟骨に影響が見られなければ、膝関節への負担を軽減する保存的治療で、症状の改善が期待できるでしょう。

 

本当に手術が必要なケースとは

では逆に、手術の適応となるのはどんな病態や症状の場合なのでしょうか。実際に手術適応となるケースでは、次のような特徴があげられます。

 

損傷位置が半月板の内側

半月板の内側

血流の豊富な半月板の外側に対し、中央部は血流が乏しく血液から栄養を得ることが難しい状態。膝関節全体を覆う滑膜から栄養を得ているのですが、血液ほどの活性度は見込めません。そのため、この位置の損傷だと手術の中でも半月板縫合よりも術後の膝の負担が大きい、半月板切除の適応となることが多いようです。

 

ロッキング現象が生じている

ロッキング現象とはその名の通り、痛みとともに膝がいきなり動かなくなる症状。損傷した半月板の破片が膝関節に引っかかってしまい、動きを封じてしまうのです。この症状がある場合は、半月板損傷が重度ということ。手術で根本的に治療する必要があると考えられます。(ロッキング現象について、詳しくは「恐怖!! 膝のロッキング現象〜原因から治療法まですべて解説します〜」をご覧ください。)

 

何度も膝に水がたまる

膝にたまる水は関節液の過剰分泌によるものですが、その原因が膝関節の外壁とも言える滑膜の強い炎症です。そう、手術しない3ケースであげた「炎症」が顕著に現れているということ。

膝に水がたまったら水を抜けばいいのでは? と思うかもしれませんが、滑膜の炎症をどうにかしない限り水を抜いてもまたたまります。また、関節炎は半月板損傷が慢性化したときの症状でもあるので、手術が必要となることが多いのです。(「膝の水たまりは抜くだけじゃダメ!原因を知って正しく治療」でも詳細をご覧いただけます。)

 

手術しないで治療する半月板損傷の保存療法

半月板損傷で手術するかしないか、ご紹介したのはあくまで目安ですが、どちらにしても保存的治療は有効です。手術しないケースでは症状の改善が見込めるし、手術後はリハビリにも関係します。

そんな手術する前に試しておきたい手術以外の治療法について、詳しく見ていきましょう。

 

まずは膝の痛みを緩和することから

半月板損傷の痛みを取る治療法

半月板損傷の痛み、発信源は実は半月板ではありません。半月板は神経が通っていないので、ダメージを負ったからと言ってそれ自体が痛みを発するわけではないのです。ではどこかと言うと、周囲の組織。まずは、痛みの原因にアプローチします。

 

アイシング

ひとつに、冷やすという選択肢があります。ただ注意したいのは、アイシングはスポーツ後や膝が炎症を起こしている場合に有効ということ。膝が熱を持っているときに冷やすのはいいのですが、それ以外だと痛みを発している筋肉が萎縮し、逆効果になってしまうこともあるのです。

氷嚢(ひょうのう)がなければ、アイスノンなどの保冷剤でも代用できます。

 

湿布

アイシングと同じく、膝が炎症している際の治療法です。消炎鎮痛作用が得られます。だからといって、何枚も貼るのは皮膚炎などもリスクもあるためNG。1回につき1枚で十分です。

また、湿布の使用を「冷やすため」と解説している情報サイトもみかけますが、湿布に冷やす効果はあまり期待できません。その目的ならアイシングをおすすめします。

 

温熱療法

低周波や赤外線の機器を使った治療です。整形外科や整骨院などでも行っています。

目的は、患部を温めて筋肉をほぐしたり血流を良くすること。痛みを発している筋肉へのアプローチが可能なのと、血流増加で半月板の自然治癒力への働きかけにもつながります。

 

ヒアルロン酸注射

病院での膝治療としてはおなじみですね。ヒアルロン酸注射は関節液の成分であるヒアルロン酸を補充するため、クッション性がアップ。日常生活でかかる半月板への負荷を抑えられます。

通常、週1回の治療を5週連続。ただし、半月板損傷の治療だけだと、30歳以下は保険適応外です。また、保険審査の厳しい都道府県では2週に1回など独自の規定があったりします。

「【ヒアルロン酸注射の膝痛治療】デメリットやNG行動って知ってる?」も併せてご覧ください。

 

再生医療

膝の痛みに対して自由診療で行われている再生医療。再生医療を扱う当クリニックでは、変形性膝関節症についで、半月板損傷の患者さまもたくさん来院します。

治療法としては、血液に含まれている有効な成分や細胞を濃縮したものや、脂肪に存在する幹細胞を、膝関節内に注射で送り込むという方法が現在広がっています。高い抗炎症作用や細胞の働きによって長期的な効果の持続が期待できます。

自由診療のみでの提供で保険適応外ではありますが、「手術しないで痛みを解消しスポーツを続けたい」というニーズから、治療の選択肢として検討される方が近年増えてきているように感じます。

 

リハビリで半月板への負担を軽減

半月板損傷のリハビリ方法

痛みが和らいできたら、半月板をサポートする機能を強化しながら治療していきましょう。平たく言えば、ストレッチや筋トレといったリハビリ療法。血流を良くすると同時に、しなやかで強い筋肉を身につけていきます。

ただ、たくさん頑張ったからといって治療効果が高いわけでもありません。むしろ、やりすぎは逆効果。医師や理学療法士など、専門家の指示をあおぎながら行ってください。

 

サポーター

リハビリを行う際は、サポーターを使用しましょう。膝を固定できるので痛みの緩和になりますし、関節への負担が軽減されるので半月板の断裂進行を防ぐことにもつながります。

膝をしっかり固定したいならハードタイプがおすすめ。半月板損傷の原因から言っても、ひねる動作に強いサポーターを選ぶのがポイントです。保温したいのであればソフトタイプと、目的に応じて使い分けるのも良いでしょう。

 

テーピング

サポーター同様、膝を固定することで疼痛緩和につながります。曲げ伸ばしが常の膝に使用するので、伸縮性が高く固定力もあるエラスティックテープがおすすめです。

巻き方は様々ありますが、膝周辺を旋回するように内側と外側の両方から固定するのが比較的簡単。まず、膝下から膝裏を通るように、外側へ向かって太ももまで螺旋状に巻きます。今後は、同じくお皿の下から、内側に向けて太ももまで螺旋巻き。これで、膝関節が固定されます。

 

インソール

靴の中にクッションシートを入れることで、膝にかかる衝撃を緩和することが可能。この一手間だけでも、半月板損傷の慢性化予防につながります。生活スタイルやスポーツ、重心のクセなどでもモノが違ってくるインソール。どれが自分に合っているか、医師や理学療法士、シューフィッターといった専門家に相談してみましょう。

 

ストレッチ

半月板損傷を患う人の傾向として、膝周辺の筋肉が硬いという点があげられます。半月板の負担を軽減するために筋肉を鍛えてサポート力をあげることも大切ですが、筋肉を柔軟にすることも悪化や再発を防ぐ方法です。筋トレの前後にストレッチを組み合わせてみましょう。

例えば、大腿四頭筋(太ももの筋肉)のストレッチがあります。

 

トレーニング

いわゆる筋トレです。半月板損傷後は2週間で15%、1ヵ月では30〜50%も筋力が低下すると言われています。筋力が落ちるということは、膝関節への負担が増えるということ。そうならないためにも、リハビリで筋力をつける必要があるのです。

大腿四頭筋を鍛えるのがメインになりますが、チューブを使ったレッグプレスもそのひとつ。100均で売っているトレーニング用のチューブでも行えます。膝を曲げた状態で仰向けになり、手に持ったチューブを足裏にひっかけて斜め45度に蹴り出すというもの。チューブを足裏にかけた際、膝を90度に保つのがポイントです。

 

半月板損傷を完治させるための第一歩は?

半月板損傷は、他の疾患(損傷)との合併、運動量、生活様式などによってもどう治療するかが変わってきます。自己流に対処するのではなく、病院でしっかり診察や検査を受けましょう。今回ご紹介した判断基準はあくまで目安。医師に相談する上での参考知識とお考えください。

基本的に、医師も半月板損傷に対して手術推しというわけではありません。変形性膝関節症のリスクを高めないためにも、半月板はできる限り温存しようと考えます。たとえ手術が必要になったとしても、病態を診て、最善の手術法を選択するはず。半月板損傷が疑われる人も、慢性化してしまった人も、まずは相談することが完治への第一歩と言えるでしょう。

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