ひざ痛チャンネル編集部

【人工膝関節置換術を知る10のQ&A】手術方法や費用もまるわかり!

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【人工膝関節置換術を知る10のQ&A】手術方法や費用もまるわかり!

人工膝関節置換術を主治医にすすめられた、もしくは既に考えている。それはこの記事をご覧になっているご本人かもしれませんし、大切なご家族、あるいはご友人のことかもしれませんね。

結論からお伝えすると、人工膝関節置換術は安定した結果を見込める手術です。とある人工関節メーカーのアンケートでは満足度82%という結果も出ており、手術を受けて生活が変わったと喜ぶ人が多数。そう聞くと、人工膝関節置換術ってどんなときに適応となるの? 手術の方法は? 保険は適用されるの? などなど、内容がもっと気になりますよね。

そんな人工膝関節置換術に関するあらゆる疑問に、Q&A形式でお答えします。あなたの知りたい情報も、きっとあるのでは?

 

目次

Q:人工膝関節置換術にはどんな種類がありますか?

A:3つの手法があり、病態や患者の症状に応じて決定されます。

手術の最終手段と言われる人工膝関節置換術は、膝関節が大きく変形してしまった場合や、強い痛みで日常生活に支障がある場合に検討されます。そうした症状をもたらす疾患として最も多いのが、変形性膝関節症。膝関節の軟骨がすり減り、太ももの大腿骨とすねの脛骨が直接ぶつかり合う疾患です。その他にも、大腿骨内顆骨壊死(だいたいこつないかこつえし)という疾患が原因となることがあります。

人工膝関節置換術とは、膝関節を人工のものに置き換える手術のこと。膝関節を形成する太ももの大腿骨とすねの脛骨の損傷した部分を削り、そこへチタン合金、クロム合金といった金属や、超高分子量ポリエチレンなどの素材でできた人工関節(インプラント)を装着します。膝の痛みの緩和や、脚の変形を改善して歩行できるようにすることが目的です。この手術の手法には、大きく分けて、人工膝関節単顆置換術、人工膝関節全置換術、膝蓋大腿関節置換術の3つがあります。

「顆(か)」とは、骨の末端にある、丸いこぶ状の部位のこと。例えば、膝関節を形成している太ももの大腿骨(だいたいこつ)には、身体の内側と外側でそれぞれ内側顆(ないそくか)と外側顆(がいそくか)があります。すねの脛骨(けいこつ)にも同様に、顆が存在します。

 

人工膝関節単顆置換術(UKA※)

片方の顆のみ激しく損傷している場合、下記の条件を満たしていれば、主に人工膝関節単顆置換術(じんこうひざかんせつたんかちかんじゅつ)が行われます。

  • 膝にある4つの靭帯(前十字靭帯、後十字靭帯、内側側副靭帯、外側側副靭帯)が正常に機能している
  • 膝を伸ばすことに不自由がない
  • 膝関節の変形(O脚、X脚)が重度でない
  • 重度の肥満でない

片側の顆を人工関節に置き換えるため、自身の骨と人工関節とのバランスを取らなければなりません。手術はやや複雑なものになりますが、片側は自分の骨を温存できるため、術後に生じる違和感は比較的、少なく済みます。

所要時間は1時間半程度で、術後は3日ほどでリハビリを開始できます。入院期間はおよそ2週間程度が一般的です。

人工膝関節単顆置換術

※Unicompartmental Knee Arthroplastyの略

 

人工膝関節全置換術(TKA※)

単顆置換術の適応条件を満たしていない場合や、両方の顆を損傷している場合、人工膝関節全置換術(じんこうひざかんせつぜんちかんじゅつ)を行います。これは文字通り、膝関節全体を人工のものに置き換える手術です。

自身の骨や関節を温存できないため違和感が生じることがあり、身体への負担も大きくなります。しかし単顆置換術とは異なり、自身の骨と人工骨とのバランスを考える必要はありません。

手術の所要時間は約2時間。術後、歩けるようになるためのリハビリに時間を要し、入院期間も1〜2ヶ月と長くなります。

人工膝関節全置換術

※Total Knee Arthroplastyの略

 

膝蓋大腿関節置換術(PFA※)

膝蓋大腿関節置換術(しつがいだいたいかんせつちかんじゅつ)は、人工関節膝単顆置換術と同様の部分置換で、膝蓋骨(膝のお皿)と、それに面する大腿骨(太ももの骨)の一部を人工関節に置き換える手法です。膝蓋骨と大腿骨の変形(膝蓋大腿関節症)に対するもので、他の方法とは適応が異なります。また、積極的に実施している病院も多くは見受けません。

※Patello-Femoral Arthroplastyの略

 

Q:人工膝関節置換術は、昔ながらの手術方法で行われているのですか?

A: MIS法やナビゲーションシステムという、新しい技術も導入されています。

人工関節は、膝を切開して行う、比較的大掛かりな手術です。そのため、ある程度の身体への侵襲(しんしゅう:ストレスや負担)は避けられません。しかし、近年ではMIS法という、侵襲を軽くすることを目的とした技法を採用する病院や医師が増えてきました。また、ナビゲーションシステムという技術も、手術の安全性を高める役に立っています。

 

MIS法※

従来の手術方法と違う点は、その切開範囲。一般的な人工関節置換術では、関節内がよく見えるよう、膝の中央を縦に大きく、15〜20cmほど切開します。一方、特殊な機器を使うMIS法は、8〜12cm程度の切開にとどめられます。見た目の傷跡が小さくなることはもちろんですが、この手法のメリットは、皮膚の奥の軟部組織への侵襲を少なくできることです。ただ、これはあくまでテクニックのこと。どこを人工関節にするかという手術内容とは別の話になります。
※Minimally Invasive Surgeryの略

 

ナビゲーションシステム

コンピュータや赤外線カメラなどの技術を利用し、膝関節のあらゆる部位を総合的に分析するシステムです。膝の適確な位置に人工関節を設置するために、患者の骨をどのように切るか、靭帯をどのように調整するか、といった細かな部分まで計測できるのが特長。さらなる安全性・正確性のアップが期待できます。

 

Q:人工膝関節置換術のメリット(長所)は何ですか?

A:膝の痛みや変形の改善、歩行が可能になることです。

人工膝関節置換術の具体的なメリットは次のようなものがあります。

 

痛みの解消

痛みの緩和ではなく、解消が期待できます。

 

歩けるようになる

痛みの解消と膝の安定により、歩行障害が改善されます。

 

できることが増える

旅行やウォーキングなど、趣味を再開される方も多数。

 

姿勢が良くなる

足の左右差や関節の配列(アライメント)が整うことで、姿勢に良い影響をもたらします。

 

腰の負担が減る

膝をかばうことによって腰にかかる負担が減り、腰の疾患のリスクが軽減されます。

 

Q:人工膝関節置換術のデメリット(短所)は何ですか?

A:術後の痛みや腫れ、合併症といったリスクがあることです。

人工膝関節置換術を受けることでたくさんのメリットがありますが、痛みや違和感・デメリットもあります。具体的なものをご紹介します。

 

痛みや腫れ、違和感

人工関節が身体に馴染むまでは、痛みを始めとする違和感を感じることがあります。痛みは3〜6ヶ月で和らいでいくため、過度に心配する必要はありません。

 

感染症に弱い

感染が原因で、人工関節を再置換している例もあるようです。

 

合併症のリスク

術中・術後にじっとしていることで血流が悪くなり、血の塊が静脈内につまる(血栓)リスクがあります。

 

ゆるむことがある

人工パーツがすり減り、骨に合わなくなる可能性が考えられます。

 

できないこともある

アスリートのような本格的なスポーツへの復帰は難しいでしょう。

 

寿命がある

耐久年数が15〜20年ほどなので、入れ替え手術が必要となることがあります。

 

Q:人工膝関節置換術で、術後に必要な入院期間はどのくらいですか?

A:単顆置換術は2週間程度、全置換術は1〜2ヶ月程度です。

一般的には上記期間です。リハビリとの兼ね合いにもよるため、リハビリについてご紹介している次項も参照ください。

 

Q:人工膝関節置換術後のリハビリ内容はどんなもので、期間はどれくらいですか?

A:ベッドの上で、できることから始めます。

身体への負担が最も大きい全置換術の場合でも、早ければ手術当日、一般的には翌日〜4日程度でリハビリを開始。病室のベッドの上で横になったままできるものから始め、徐々に歩行訓練などの本格的なリハビリを進めます。入院中のリハビリ期間は手術前の病態や重症度によっても異なりますが、いずれにしても生活動作向上のためのリハビリは、退院後も自宅で継続しなければなりません。

 

一般的なリハビリの流れ(全置換術の場合)

  • 術後1日目……血液が血管につまる血栓症予防も兼ねて、足首を動かすなど、横になったままできるリハビリを開始します。
  • 術後3日目……血液が溜まらないようにするために挿入していたチューブ(ドレーン)がはずれるので、病室を出てのリハビリが始まります。膝の曲げ伸ばしや、膝へ負担をかけず筋肉をつけるためのトレーニングが中心です。
  • 術後1週間……平行棒につかまったり、杖を使ったりして歩けるよう訓練します。
  • 術後2〜3週間……階段の上り下りの練習を行います。
  • 術後1〜2ヶ月……膝の状態をみて、退院、もしくはリハビリ施設に転院します。

 

リハビリ内容の例

  • 横になったまま、足を垂直に上げる
  • 足を動かす、膝を曲げる
  • 平行棒を使用した歩行訓練
  • 杖を使って歩行の練習
  • 階段の昇降運動
  • 日常動作
  • 筋力トレーニング

 

Q:人工膝関節置換術後に注意すべきことは何ですか?

A:人工関節に大きな負荷をかけないよう、気をつけましょう。

日本人工関節学会が発表したデータによると、人工関節の再手術を受けた人の原因として、人工関節のゆるみや破損、感染症、脱臼などがあげられています。こういった点からも、日常生活においては次のようなことに注意したほうがいいと言えるでしょう。

人工膝関節再置換の原因

【出典】日本人工関節学会

感染症

細菌が血液に入り込み、人工関節が感染してしまう可能性があります。虫歯や水虫といった感染症に注意が必要です。

 

脱臼

激しいスポーツなどは控えましょう。人工関節に負荷がかかり脱臼する危険性があります。また、脱臼を繰り返すと人工関節がゆるんでしまうことも考えられます。

 

人工関節への大きな負荷

体重が増えると人工関節に大きな負担がかかり、破損や早期劣化に繋がります。特に、自分でコントロールが可能な体重の増加には気をつけましょう。

 

定期的な受診

定期的に病院を受診してレントゲンを撮り、人工関節の状態を確認するようにしましょう。ゆるみなどを確認できるためです。

 

Q:人工膝関節置換術は保険が適用されますか?手術費用はどのくらいですか?

A:単顆置換術、全置換術とも健康保険が適用され、同じ値段です。

手術にかかる費用は、1〜3割の負担で8万円〜24万円程度です。入院やリハビリにかかる費用は、別途支払う必要があります。

 

高度療養費制度で費用が補助される場合も

医療費が高額になった場合、健康保険には一定金額を超えた分を補助する制度があります。限度額は年齢や所得によって異なりますが、詳しくは「膝の人工関節置換術をすすめられた人は必見!手術後までの全ぼう解説」でまとめてありますので、参考にしてみてください。

 

生命保険の確認もしましょう

加入している内容にもよりますが、人工関節置換術も対象となることが多いようです。契約内容の確認をしてみてください。

 

Q:人工膝関節置換術に、年齢制限や条件はありますか?

A:年齢だけの制限は特にありませんが、条件はいくつかあります。

80歳であっても90歳であっても、術後のリハビリへの意欲と体力があれば、手術を受けられます。人工関節置換術を受けた成果は、術後のリハビリで決まると言えるからです。ただし心臓病や糖尿病などがあり、人工関節が体内に入ることで合併症が起こる可能性がある人や、認知症などでリハビリをスムーズに行えない可能性のある人には、手術を行うことができない場合があります。

人工膝関節置換術を受けた年代は、初回・再手術のどちらも70〜80代が最も多いというデータがあります。90代で初めて人工膝関節置換術を受けたという人も。そのため、年齢はあまり心配する必要がないでしょう。

人工膝関節置換術を受けた年代

【出典】日本人工関節学会

 

Q:人工膝関節の寿命はどのくらいですか?

A:一般的に、15〜20年ほどとされています。

近年、性能のよい人工器具が開発され、20年ほどの耐久性を持つようになりました。ただ、人工関節が劣化した場合はそれを取り外し、新たな人工関節を再置換する必要があります。その際は一回目の手術よりも複雑となるうえ、感染症や肺血栓塞栓症といった合併症のリスクも伴います。

人工関節には寿命があるため、置換術を受けた初回の年齢が若いほど、再置換率は、やはり高くなります。下図は海外のデータですが、50〜54歳で初めて人工膝関節置換術を受けた男性が、その後の人生で人工膝関節の再置換をした割合は約35%ほど。女性では20%程度です。

膝の人工関節の入れ替え率

 

 

人工膝関節置換術で望んだ結果を得るために、まずは医師と十分な意思疎通を!

手術や人工関節と聞くと、費用も時間もかかりとても大変、というイメージがあるかもしれません。しかし、人工膝関節置換術は保険の適用範囲。さらに、優れた耐久性を持つ人工関節が開発されたこともあって、安定した実績のある手術と言えるでしょう。末期まで進行した変形性膝関節症によって歩行が困難だった方でも、手術後に歩けるようになったというケースが多数あります。
望んだ結果を得るために、まずは医師との綿密な意思疎通が重要。納得して治療を受けるためには、回復の目標をどこに置くか、自分の考える「優先順位」をはっきりさせて、医師としっかりすり合わせましょう。

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