ひざ痛チャンネル編集部

人工関節置換術は本当に怖い?5つのメリット・デメリットから考える

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人工関節置換術は本当に怖い?5つのメリット・デメリットから考える

変形性膝関節症の手術としてメジャーなのが、膝の人工関節置換術。でも、「膝関節を人工物に置き換えるなんて、怖い!」と思っている人も少なくないようです。ただ、漠然とそう感じている人も多いのでは?

人間、よく分からないものには恐怖を抱くもの。メリットはもちろんですが、デメリットもきちんと知ることで、最善の選択ができるようになるはずです。

 

膝の人工関節置換術とは?

膝の人工関節の説明

損傷した膝関節を、金属やポリエチレン製の人工物に置き換える手術が、膝の人工関節置換術。日本では年間8万件以上も行われているほど普及している治療法で、2005年からここ10年程でその手術数は2倍以上に増えています。ただ、日本はこれでも人工関節を受ける患者割合が少ない「人工関節後進国」で、例えばアメリカだと、日本の約4倍以上の割合で人工関節置換術が行われています。

 

人工関節置換術の手術方法

膝の皮膚を10cm〜20cmほど切開し、骨を削って形を整えてから人工関節をはめ込み、固定します。大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)の内側(または外側のいずれか片側)だけを人工関節にする部分置換術と、全体的に人工関節にする全置換術があり、どちらにするかは関節症の進行具合や日常の活動状況で判断します。

手術そのものは1〜2時間と、意外と短時間で終わります。

人工膝関節置換術の手術方法

 

人工関節置換術後の入院期間

通常、階段の上り下りができるくらいまでの回復が退院の目安とされています。2〜6週間と個人差はありますが、多くのケースは1ヵ月ほどで退院できるようです。

 

人工関節置換術後の膝のリハビリ

膝関節を置き換えるという大きな手術なので、術後にはリハビリが必要です。ただ、リハビリで膝を積極的に動かすことにより、スムーズな膝の動きや筋力アップを図ることができます。

人工膝関節置換術後のリハビリ内容

 

リハビリ内容

人工膝関節置換術後のリハビリは、早くて手術当日、一般的には翌日からスタート。まずは病室やベッドの上でできることから始め、手術した部位の痛みや体の状態に配慮しながらリハビリ室へと移行します。一週間後以内には、杖を使えば自力で歩けるようになる人がほとんどだと言われています。

具体的には、以下のようなことを行います。

  • 平行棒につかまって歩く
  • 杖をついて歩く
  • 階段の昇り降り
  • 日常動作などの練習
  • 筋力トレーニング など

 

リハビリ期間

入院中はもちろんですが、退院後もリハビリは必要となります。人工膝関節と長く付き合うためにもリハビリは続けた方が良いので、いつまでというのは限定しづらいものがあります。ただ、2〜3ヵ月もたてば、散歩やウォーキング、買い物など、膝が痛み出す前のような日常生活を送ることができると言われています。

 

膝の人工関節置換術のメリット

人工膝関節置換術の一番のメリットは歩けるようになること。これまで我慢していたことができるようになる喜びですが、改めてご紹介します。

人工膝関節置換術のメリット

 

人工関節置換術のメリット1:痛みの解消

損傷した膝関節を人工関節に置き換えるということは、痛みの根源が取り除かれるということ。手術後は膝関節の痛みが大幅に改善されます。

 

人工関節置換術のメリット2:歩けるようになる

膝の人工関節置換術を受ける方は、車いす生活を余儀なくされているか、その直前であることがほとんどです。そういった状態から安定した方向を取り戻すことができます。

 

人工関節置換術のメリット3:できることが増える

歩けるようになることで行動範囲が広がります。いままで諦めていた遠方への旅行などを楽しまれる方もいらっしゃいます。その他、ウォーキングや登山など、趣味のスポーツを再開することも可能です。

 

人工関節置換術のメリット4:姿勢が良くなる

膝関節のダメージは両脚とも同じとは限りません。そのため、変形性膝関節症では脚の長さがまちまちになり、姿勢も悪くなってしまいます。こういった左右差や、O脚にひどく変形していた膝関節がまっすぐ伸びることで、姿勢にも好影響が現れるのです。

 

人工関節置換術のメリット5:腰の負担が減る

膝に痛みがあるとかばってしまい、どうしても他の関節に通常以上の負担がかかってしまいます。特に腰への負担は多大。膝の痛みや変形が解消されれば、特に腰への負担も軽減されるため、二次的な疾患のリスク回避が期待できます。

 

膝の人工関節置換術のデメリット

では、本題である膝の人工関節置換術のデメリットについてお話しましょう。

人工膝関節置換術のデメリット

 

人工関節置換術のデメリット1:細菌感染に弱い

人工関節の最大のリスクとも言えるのが、細菌感染すると爆発的に増えてしまうということ。もし感染して細菌が急増してしまうと、人工関節を取り除き、感染している場所を洗い流す治療(持続洗浄やセメントビーズ留置)を行わなければなりません。そして感染が落ち着いた時点で再度、人工関節置換術となります。

細菌は傷から入るだけでなく、虫歯や胃潰瘍などから血液に入り込み、人工関節に届いてしまう事も。そのため、普通の方以上に、細菌へ注意をはらう必要があります。ただ、細菌の爆発が起きる確率は、1000人に2人~3人ぐらいと言われています。

 

人工関節置換術のデメリット2:血栓症のリスク

膝関節の手術なので、術後もすぐには脚が動かせません。そのため、脚の血の流れが悪くなり、静脈内に血のかたまり(血栓)ができることがあります。

このリスクの予防策として、脚に空気ポンプを装着したり、着圧ストッキングを履いたり、血栓予防の薬を処方したりと、通常は病院で対策されています。一般的に翌日からリハビリを行うのも、予防策のひとつと言えるでしょう。

 

人工関節置換術のデメリット3:ゆるむことがある

人工関節は膝関節の骨を削って接合します。そのため、何年も動かしていると人工関節の一部がすり減ってしまうことも。これにより、最初はがっちりと接合していた骨との間に隙間が生まれ、人工関節がゆるんでしまうのです。人工関節が壊れてしまう可能性もあります。

一般的な日常生活に関しては問題ないでしょうが、膝に負担がかからないようリハビリで正しい動きをクセづけたり、極端な負荷がかかるようなことは避けたりという配慮は必要でしょう。

 

人工関節置換術のデメリット4:できないこともある

膝の痛みが大幅に改善される人工関節と言えど、できないこともいくつかあります。そのひとつが、体がぶつかり合うようなスポーツ。それほどの衝撃には耐えられないので、人工関節にすることで激しいスポーツは完全にできなくなります。趣味のハイキングや登山、水泳やゴルフ程度の運動などは問題ありませんが、アスリートのような本格的にスポーツを行っている人にはデメリットになり得るでしょう。

 

人工関節置換術のデメリット5:寿命がある

人工物なので、永久的にそのままでいられるということはありません。手術を受けた患者さまの状態によりますが、人工関節の寿命、つまり耐久年数は平均15年~20年ほどだと言われています。

入れ替えの必要がある点ではデメリットですが、20年ものの人工関節。はたしてその寿命は短いでしょうか?

 

膝の人工関節置換術は適応の判断が重要

膝の人工関節置換術によってQOLが高まると言われていますが、大切なのは誰に適応するか。その判断を誤ることで、手術の満足度は変わってきます。

例えば、人工関節手術の総患者数が日本の4倍であるアメリカでは、近年、人工膝関節全置換術の適応が拡大されたことが問題視されています。現在の適応全体のQOLに対する利益は小さいけれど、重症患者に適応を限ることでもっと有意義な手術になるという調査報告も。つまり、デメリットも考慮した上で、どういったケースに行うべきかを医師側がしっかり判断すれば、満足度はとても高い治療法と言えるのです。

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