ひざ痛チャンネル編集部
2018-09-21

【健康寿命を伸ばすため】変形性膝関節症の予防提案

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【健康寿命を伸ばすため】変形性膝関節症の予防提案

いつまでも健康でいたい。寝たきりになりたくない。多くの人が願うことかと思います。厚生労働省が今年始めに公表したデータによると、2016年の健康寿命(健康上の問題で制限されることなく生活できる期間)が男性は72.14歳、女性は74.79歳。年々伸びてはいますが、それでも長寿大国日本の平均寿命(2016年時点)と比べると、男性は8.84年、女性は12.35年の開きがあり、それだけ寝たきりの期間を介護を受けながら過ごすということに……。

この健康寿命には膝の健康が大きく関わっていて、自覚症状のない潜在的な患者数まで含めると約3,000万人にも推定される(厚労省報告)変形性膝関節症の予防はとても重要な意味を持ちます。

そこで今回は、変形性膝関節症を予防するためにこれまで『ひざ痛チャンネル』でご提案してきた情報を、整理してご紹介。危険な行動リストから、変形性膝関節症になりやすい女性のための予防法、その他にも、どんな運動が良いか、サプリや食事で予防できるのかなど、気になる内容をまとめました。変形性膝関節症とすでに診断された人にも役立つ情報です。

 

変形性膝関節症はこんな病気〜予防が大切な理由〜

変形性膝関節症とは、加齢や肥満などの影響で膝関節の軟骨がすり減ることで、周囲の軟部組織(滑膜など)に炎症を伴い、膝に痛みが生じる病気です。危険因子には上記の他にもあり、高齢者の全員が変形性膝関節症というわけではありませんが、50代以降に急激に有病率が増加することは事実。年齢を重ねることで筋肉や軟骨などが衰えることからも、加齢との関係は大きいと考えられます。

変形性膝関節症の有病率

変形性膝関節症は、高齢になるほどに増加する膝の代表的な病気

 

初期から末期の状態へと進行する変形性膝関節症

何も対処せずに放置すれば、どんどん進行していくのが変形性膝関節症。軟骨のすり減りが進行すれば、半月板が変形したり、滑膜の炎症が悪化したりして、膝の痛みが強くなるケースが多く見られます。末期になると、関節裂隙(かんせつれつげき:関節の隙間)はほぼなくなり、骨までも変形してしまうのです。

変形性膝関節症の進行

こうなってしまうと、歩行が困難になるなど日常生活への支障も大きく、健康寿命に大きな影響を及ぼすことになります。そのため、未然に防ぐことや進行を抑制することが、非常に重要な課題と言えるのです。

変形性膝関節症の基本的な情報については、「膝の痛みは【変形性膝関節症】かも!3000万人が持つ疾患の正体とは?」をご覧ください。

 

予防のために変形性膝関節症の原因を知ろう

先ほど、50代から有病率が急増するとお話しました。つまり、予防するなら40代がターニングポイントになると言えるかもしれません。変形性膝関節症の原因は2種類に分けられ、前出の加齢や肥満、筋力やO脚、性別などといった不明確な一次性のものと、スポーツや事故などのけがや病気が影響する二次性のものがあります。

なかでも変形性膝関節症を予防する上でも知っておいていただきたい危険因子は以下の7つ。予備軍になっていないかチェックする上でも確認してみてください。それぞれの危険因子についてより詳しく知りたい方は「【変形性膝関節症の原因】40代は必見!予備軍チェックと予防法」も参照ください。

1、生活動作
しゃがんだり、立ったり、階段の昇降などの膝に負担のかかる行動が多い人は要注意です。

2、遺伝子
遺伝的因子と環境因子の相互作用で発症し得るということは、理化学研究所も公にしています。

3、スポーツ歴
サッカーやバスケットボールなどを膝を酷使するほど行っている人は、予備軍かもしれません。

4、既往歴
関節リウマチや半月板損傷、前十字靭帯損傷などの既往歴がある人は、今すぐ予防のための行動を。

5、性別
日本整形外科学会によれば、変形性膝関節症の男女比は1:4とのことです。

6、肥満
膝には体重の2〜3倍もの負荷がかかっていると言われています。

7、筋肉量
膝周辺の筋肉には、膝の負荷を軽減する役割が。筋肉量が落ちれば、それだけ負荷が大きくなります。

 

こんな行動に心当たりはありませんか?

膝に負担のかかる生活動作についてですが、上記の他にも日常にはたくさん潜んでいます。例えば、次のような行動です。

● 満員電車での無理な体勢
● バッグをいつも同じ側の手で持つ
● 長時間のデスクワーク

変形性膝関節症に限らなければ、他にも多数あげられます。気になるからチェックしてみたいという人は「歩けなくなる前に!膝痛の原因となる15のNG行動」をご覧になってみてください。

 

変形性膝関節症になりやすい女性のための予防法

基礎代謝の季節変動

「基礎代謝の加齢並びに季節変動」大島寿美子ほか 栄養学雑誌 1972.11 30巻6号

冒頭の有病率のグラフや、変形性膝関節症の男女比が1:4ということから、女性の方がリスクが高いことはお分かりいただけたかと思います。なぜ女性に多いかと言うと、筋肉量が男性より少ないこと、男性より体重が増えやすいこと、O脚が多いこと、骨の健康に女性ホルモンが関係していること、出産などで骨盤が不安定になり歪みが出やすいことなどが、変形性膝関節症に関係するからです。

そのため、こういった女性ならではの原因を考慮した予防法も有効なのではないかと考えます。「変形性膝関節症の女性必見!予防の3アクションと具体的な方法を公開」で詳しくご提案していますが、例えば、効率良く脂肪を燃焼するために運動する場合、筋トレをしてからウォーキングなどの有酸素運動を行うといった工夫。他にも、カロリー制限で筋肉量が落ちるのを防ぐため、食事を見直す際には運動を前提にすることなども考えられます。そしてカロリーはきちんと摂取し、摂取カロリーの15〜35%はタンパク質をと心掛ける。ちなみに、基礎代謝は夏場に落ち込み冬にピークを迎えることという報告もあるので、アクションを起こすならこれからの季節がまさにチャンスと言えるかもしれませんね。

 

変形性膝関節症の予防に運動は大切という根拠

変形性膝関節症に対しての運動の有用性は、世界的にも周知の事実。運動療法という変形性膝関節症の治療についてではありますが、世界変形性関節症学会の診療ガイドラインにも明記されています。もちろん、日本整形外科学会の見解も同様で、変形性膝関節症の治療として運動療法を推奨。予防法としても、運動は有効であると考えられます。

「変形性関節症治療の国内外のガイドライン」川口 浩 日関病誌,35(1):1~9,2016

運動療法のエビデンスについては「【変形性膝関節症には運動を】その効果は薬レベルという研究報告も」でも詳しく解説しているので、興味のある方は合わせてご覧ください。

 

厚生労働省が推奨する介護予防の運動マニュアル

厚生労働省も運動器(体を動かしたり支えたりする組織や器官)の機能向上が、介護予防につながると考えているようで、膝の痛みや腰痛などの発症や進行予防を目的とした運動方法をウェブ上で公開しています。

その運動の流れは、まずウォーミングアップのため関節内の潤滑を良くする運動やストレッチを行ってから、筋トレなどの主運動に移り、最後はクールダウンとしてまたストレッチを行うというものです。厚労省のマニュアルでは紹介されているのは、21種目の運動あります。「【厚労省の膝痛予防マニュアル】要点まとめて教えます〜運動編〜」では、その中からまずおさえておきたい10種目を、当院で膝のリハビリを担当するメディカルトレーナーが運動の流れに合わせてピックアップ。動画も交えた解説しています。

 

O脚矯正は変形性膝関節症の予防につながる

変形性膝関節症の原因にもなり得る危険因子のひとつに、O脚があります。日本人女性だと8〜9割がO脚とも言われていますが、O脚で変形性膝関節症のリスクが高まるのはなぜでしょう? それは、下記の図説をご覧いただければ分かるように、体重などの負荷が膝関節の内側に集中してしまうから。これが、内側型(ないそくがた)の変形性膝関節症を発症させる引き金になりかねないのです。

O脚のアライメント

 

O脚を矯正におすすめしたい運動

そのため、O脚を矯正するための取り組みは、変形性膝関節症の予防にもなります。どんな方法で矯正できるかが気になるところかと思いますが、ポイントは3点。

・股関節が外に傾くことが関係するので、内に引き寄せる筋力を鍛える(内転筋のトレーニング)
・股関節が内側に回転しやすいよう、硬くなった筋肉をほぐす(ハムストリングスのストレッチ)
・O脚に多い膝のお皿とつま先の方向のズレを矯正する(正しい姿勢でのスクワット)

具体的な筋トレやストレッチ方法については「変形性膝関節症とO脚の負の連鎖を断ち切る!これが専門家の矯正法」で動画を公開中です。

 

予防+変形性膝関節症の危険度のセルフチェックも

チェック

予防法やその方法をご提案する根拠についてお話してきましたが、まずは変形性膝関節症の危険度がどのくらいか、目安を知るためのセルフチェックも行ってみましょう。なぜなら、変形性膝関節症の初期だと、症状が違和感程度だったり、痛みがあっても軽度だったりするので、病院を受診されない人も多いからです。「あなたの危険度は?膝関節痛セルフチェックとレベル別対処法」で紹介している15項目のうち、5つに該当する人は変形性膝関節症の可能性が考えられます。その場合は、まず整形外科を受診して、確定診断してもらうことが先決です。

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