ひざ痛チャンネル編集部

【変形性膝関節症を治療する3大手術】適応から費用までを徹底分析!

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【変形性膝関節症を治療する3大手術】適応から費用までを徹底分析!

一度患ってしまうと完治が難しいのがこの膝の病気、変形性膝関節症。痛みを鎮めるために薬を飲んだり注射を打ったりしているものの、あまり効かないと感じている人の中には、手術という二文字が頭をよぎっているのでは? でも手術による治療に二の足を踏んでいる……。それならこの記事をご覧ください。

医師が手術を進めるのはどんな人か、変形性膝関節症にはどんな手術があるのか、方法やリスクや治療費まで、具体的に解説します。きっとあなたを膝の痛みから救う情報になるに違いありません!

 

変形性膝関節症における手術の適応例

変形性膝関節症の手術適応

変形性膝関節症は膝関節にある軟骨がすり減ることによって、クッションの役割を担っていたものがなくなり、膝関節に障害が出る病気です。

この病気の治療法には大きく分けて、保存療法と手術療法があります。先に述べたように、まずは薬の服用や注射による保存療法をとるのが基本です(身体への負担が少ないため)。

では、どういった方が手術治療の適応になるでしょうか。

 

手術の適応① 保存療法を6ヵ月以上しても膝痛が改善しない

一般的に、保存的治療を開始して6か月経っても痛みが改善しない場合は、手術を勧める医師が多いです。痛みが持続するということは、軟骨がかなりすり減っており、骨と骨がぶつかり合っている重症のケースでしょう。痛みのせいで日常生活にも支障がでているはずです。そこまで進行している症状には手術による治療が必要と考えられます。

 

手術の適応② レントゲン検査で変形性膝関節症のグレード3以上と診断

また、変形性膝関節症の診断基準にはK-L分類(Kellgren-Lawrence)と呼ばれる、4段階のグレード評価があります。グレード2以上が変形性膝関節症と定義され、基本的にグレード3以上が手術の適応とされています。グレード2でも症状によっては手術を行うことがあります。

以下、グレードの具体的な内容です。

変形性膝関節症のK-L分類

 

グレード1

関節の隙間は保持されていますが、わずかな骨棘(こつきょく※骨がとげのように変形した状態)や軟骨下の骨硬化(骨と骨がぶつかり合い、硬くなってしまうこと)が見られる状態。変形性膝関節症の予備軍と呼ばれる初期段階です。

 

グレード2

関節の隙間が狭まり(25%以下の消失)、わずかな骨棘が見られるが骨の変形は確認できない状態。変形性膝関節症の中期段階です。

 

グレード3

関節の隙間が50%~70%消失。骨棘、骨硬化が確認できる状態。変形性膝関節症の進行期段階です。

 

グレード4

関節の隙間がほぼ消失(75%以上)。大きな骨棘や骨の変形が激しい状態。変形性膝関節症の末期段階です。

 

変形性膝関節症を治療するための手術

変形性膝関節症の手術の種類

変形性膝関節症を治療する手術にはどういったものがあるのでしょうか。それぞれの手術の適応症状、施行方法からメリット・デメリットにも着目して見ていきましょう。

 

関節鏡視下手術

内視鏡を用いた手術です。棒状の高性能カメラを使用して膝関節内部を観察し、処置を行っていきます。

 

関節鏡視下手術の適応

  • 骨棘(こつきょく)の切除
  • 炎症を起こしている滑膜の切除

などの処置で改善が見込まれる方が対象です(比較的軽度)。また、大きな手術(後述の2つの手術)に抵抗を感じる方が、まず関節軟骨評価のために行うこともあります。

 

関節鏡視下手術の方法

関節鏡の直径は4mmほど。まずは膝関節の周囲に3mmほどの穴を2.3ヵ所開け、関節鏡を挿入していきます。カメラの映像はモニターに映し出され、医師はそれを見ながら処置をしていくのです。

手術後は約1週間(早ければ2~3日)の入院をすることになります。

 

関節鏡視下手術のメリット・デメリット

この手術は切開する部位が小さいため傷跡が残りにくく、身体への負担も少ないのがメリットと言えます。しかし、膝の痛みを緩和させることが目的であるため、いずれの処置も関節軟骨を修復したり、変形性膝関節症を根本から治すものではないのです。

よって、症状が重度の方は手術後も効果を得られないことが有り得ます。また、時間が経つと元の状態に戻ってしまい、症状再発の可能性があることもデメリットと言えるでしょう。

 

高位脛骨(けいこつ)骨切り術

高位脛骨骨切り術では、脛骨(すねのほね)の一部分を切って骨の角度を修正し、人工骨やプレートを入れることで左右のバランスを整えます。

 

高位脛骨骨切り術の適応

主にO脚(がに股)、X脚(内股)による変形性膝関節症のための手術です。

O脚、X脚は、それぞれ膝の内側、外側に負荷が集中。その部分の軟骨が摩耗し痛みが生じるのです。

対象者は脛骨を矯正することで症状が改善される状態である方。また、自身の膝関節を温存できるため、重労働や膝を曲げることが日常的に必要な方には適切な手術です。そして、絶対的な条件として膝関節の外側(X脚の場合は内側)が損傷していないことが挙げられます。

年齢も大きな指標となっており、骨切り術の場合は50歳以下の方が対象となっています。それはもう一つの手術方法で取り付ける、人工関節に寿命があるためです(詳しくは後述)。

 

手術方法①(オープン・ウェッジ法)

オープン・ウェッジ法では脛骨の内側(X脚の場合は外側)から骨に切り込みを入れます。切った部分を広げて、その箇所に人工骨を入れてプレートで固定します。矯正角度に限界がありますが、手術後の回復が早く、人工骨の材質が改良されている現在では最も多く行われている方法です。手術時間は約一時間半程度。

変形性膝関節症の骨切り手術のオープンウェッジ法

 

手術方法②(クローズド・ウェッジ法)

脛骨の外側(X脚の場合は内側)から骨をくさび形上に切り取ります(長さを調節するために、同様に脛骨の後ろにある腓骨も切り取る)。そして、骨の断面をきれいに合わせてプレートで固定。オープン・ウェッジ法よりも切開範囲が広いですが、矯正できる角度も大きい手術方法です。手術時間は同じく約一時間半程度となります。

変形性膝関節症の骨切り手術のクローズウェッジ法

高位脛骨骨切り術のメリット・デメリット

この手術をすることで、重労働やスポーツなどの膝に負担がかかる活動も再開可能です。さらに持続効果も約十年間以上というメリットもあります。

手術後はリハビリを行いながら約3週間の入院。1~2週間ほどで松葉杖での歩行が可能となるでしょう。しかし、骨が完全にくっつくまでに数か月間を要するため、退院後もリハビリを続ける必要があります。

よって、若い方が対象とされているのが現状です。なおプレートは除去することもあり、その際は再手術が必要となります。また、骨がもろくなる状態、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)を患っている方には不向きな手術です。

 

人工膝関節置換術

人工膝関節置換術は、傷んだ関節部分を切除して人工の膝関節と入れ替える手術です。人工関節はチタン合金やポリエチレンなど、人体への影響が少ない素材で作られています。

人工関節を本来の骨に固定する方法は、骨セメントという固定剤を使ったセメント固定と、表面に凸凹の加工のある人工関節を骨に埋め込むセメントレス固定の2種類。セメント固定は手術当初はしっかり固定されているものの、経年で弛む可能性があり、セメントレス固定は時間とともに弛むことは少ないですが、しっかり固定されるまでに時間が必要です。手術方法で所要時間は変わるのはもちろんですが、この固定方法でも時間が多少違ってきます。

 

人工膝関節置換術の適応

この手術は変形性膝関節症が重症化している方。関節が大きく変形してしまっていて、痛みが強い方に対して行われる手術です。全身麻酔を使っての手術になるため、体力のない高齢の方には危険が伴います。現在では基本的に60歳以上の方を対象としているようです。

人工膝関節置換術には大きく分けて二種類の方法があります。

 

 

手術方法①(人工膝単顆置換術)

損傷激しい部分だけを人工部品に置き換える手術です。関節のすり減りが内側だけなら内側だけ、外側だけなら外側だけ人工関節と入れ替えます。自身の骨や関節を残せるため違和感が少なく、身体への負担も少し軽くなるでしょう。しかし、人工の骨と自分の骨とのバランスを取る難しさがあるため、手術の難易度が上がります。

手術時間は1時間~1時間半。入院期間は2〜4週間程度となっています。術後3日でリハビリが開始でき、約2週間で杖を使用しての歩行が可能となるでしょう。

人工関節部分置換術

 

手術方法②(人工膝関節全置換術)

関節全体を人工部品に入れ替えます。すべてを人工関節と入れ替えるため、人工膝単顆置換術と違ってバランス調整の技術は必要となりません。しかし、自身の骨や関節を残せないため違和感を覚えやすく、身体への負担も大きくなります。

手術は約2時間。入院期間は1〜2カ月に及びます。

人工関節全置換術

 

人工膝関節置換術のメリット・デメリット

人工の関節と置き換えることで骨がぶつかり合うこともなくなるので痛みは大きく改善されます。術後は普段の生活を送れるほどに回復するでしょう。

人工関節の耐久年数は約20年以上。耐久性を失った場合は、再び人工関節を入れる再置換術を行うことになります。さらに人工物を体内に入れるため、感染症を引き起こすリスクが高まります。よって最も体に負担がかかる手術と言えるでしょう。

 

変形性膝関節症を治療するための手術費用

変形性膝関節症の手術費用

手術と聞くと、かなり高額な費用が必要と思われるかもしれません。

しかし、紹介した手術は全て保険適用の手術です。

70歳以下の方なら全費用の3割が自己負担額となります。同様に70歳以上~75歳未満の方は1割(平成26年4月以降に70歳になった方は2割)、75歳以上の方なら1割です。ただし、70歳以上の方で、現役並みの所得(月額約28万円以上の報酬)がある方は3割が自己負担額となります。

 

関節鏡視下手術の費用

関節鏡視下の滑膜切除術が17,610点。1点が10円の計算です。つまり17万6100円。3割負担の方なら約5万3000円、1割の方であれば約1万8000円となります。

 

高位脛骨骨切り術の費用

高位脛骨骨切り術が22,680点(22万6800円)。さらに麻酔などの治療材料費(約10万円~15万円)がプラスされます。

3割負担の方であれば合計で、約10万円〜12万円。1割負担の方は3万円〜4万円となります。

 

人工膝関節置換術の費用

人工膝関節置換術にいたっては、37,690点(37万6900円)。これは部分置換術と全置換術で同様の点数です。治療材料費を合計して約80万円にもなります。

しかし、患者負担額は3割の方なら約24万円。1割の方は約8万円となります。

 

高額療養費制度

さらに高額療養費制度(年齢や所得に応じて、1カ月間に負担する医療費の上限が定められており、これを超える分が保険から支給される制度)を使用することで、負担上限額が約4万円~18万円となります。高額な手術を受ける際には、申請が必須でしょう。

上記には入院の際の差額ベッド代や食事代は含まれないので注意して下さい。

 

変形性膝関節症の手術は自分に合ったものを選択!

変形性膝関節症を治療するための手術は大きく分けて3種類。それぞれがメリット・デメリットを持っています。どの手術が最良なのか。それはあなたの年齢・症状・持病、そして「こんな生活をしたい」という目標によって変わってくるでしょう。

手術は大掛かりな治療ですが、その分効果も大きいです。あなたにとって最適な手術を選択することで、病気を回復へと導いてくれるに違いありません。

 

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コメント

  1. 永井裕二 says:

    こんにちは。膝の悩みでサイトを拝見させて頂き、メールさせて頂きます。
    私は岡崎市在住の
    52歳の男性です。両膝の変形性関節症と診断され、関節鏡視下手術の後に、高位脛骨(けいこつ)骨切り術まで実施する必要があると宣告されました。
    仕事や家庭の都合もあり、長期の入院ができるのか悩んでおります。実際の所、上記の手術を実施した場合の仕事や車の運転ができるまでの期間は、それぞれどれくらい必要でしょうか?
    本来通院している病院に相談すべきですが、細かな質問に応じてくれません。
    どうぞご教授のほど、宜しくお願い致します。

    1. ひざ痛チャンネル編集部 says:

      コメント機能をよく理解できておらず、お返事が遅くなり申し訳ありませんでした。
      服部医師からの返答をお伝えさせていただきます。
      ——
      高位脛骨骨切り術は、一般的には約2~4週間の入院が必要になることが多いです。左右どちらの足を手術なさるかによっても、仕事や運転の状態がかわってくると思いますので、そのあたりの詳細は担当の先生にご確認いただくのが良いかと思います。いずれにしても、行う前に質問内容をすべて明確にして、安心して手術をお受けいただくことをお勧めします。

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