ひざ痛チャンネル編集部

PRP療法の効果は?受けられる病院は?治療情報の総まとめ

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PRP療法の効果は?受けられる病院は?治療情報の総まとめ

来シーズンからMLBのLAエンゼルスでプレーすることが決まった大谷翔平選手が受けていたことが報じられたPRP療法。「プロのスポーツ選手がやる治療法でしょ?」と思っている人も多いのではないでしょうか。実はそんなことはありません。読めば、膝痛に悩むあなたの選択肢にもなることがお分かりいただけるはずです。

この記事では、まず治療を受けた選手のその後から効果を検証。適応や効果の理由、知っておきたい術後のことから、どんな病院で提供されているかなど、PRP療法の情報を一挙公開! これからもっと身近になるかもしれない治療法のことを、一足先に知ることができます。

 

大谷翔平選手も気になる? PRP療法のその後

PRP療法の効果

日本ではここ数年で知られるようになったPRP療法ですが、「プロアスリートも支持する膝治療”PRP療法”に迫る」でも紹介してように、アメリカでは2009年にアメリカンフットボール選手が治療を受けたことで認知が広がりました。それが、ピッツバーグ・スティーラーズのエースWRのハインズ・ウォード選手です。スーパーボウル開幕1ヵ月前、試合中に右ひざを負傷しましたが、PRP治療を受け早期復帰。スーパーボウルではチームを3年ぶりの優勝へと導きました。

また、陸上のウサイン・ボルト選手もPRP経験者。過去、右膝にPRP療法を行っていたことが報じられています。このように、プロアスリートが治療したニュースは耳にするけれど、その後についてはあまり触れられていません。そこで、まずPRP療法を受けた選手を何人かピックアップ。膝痛だけに限りませんが、その後を見てみましょう。

肘にPRP療法を受けた田中将大選手の場合

日本人にPRPを認知させたのは、彼と言っても過言ではないでしょう。MLBのNYヤンキースの投手、田中将大選手。彼は2014年7月、右肘靭帯の部分断裂を診断されました。MLBで肘の靭帯断裂の治療法と言えば、メスを使った靭帯再建手術「トミー・ジョン手術」が主流でしたが、これは復帰までに1年以上を要する治療法。きっと、こういった背景や肘にメスを入れるリスク、部分断裂だったことなどを考慮したのでしょう。田中選手はPRP療法を選択。そして7月14日に治療を受け、9月21日に復帰しています。

その後も安定した活躍を見せ、今年9月のオリオールズ戦では150勝をマークしました。

膝にPRP療法を受けた糸井嘉男選手の場合

田中選手がPRP療法を受けた翌年、NBLでもこの治療法を選択した選手がいました。それが当時オリックス・バッファローズで活躍していた糸井外野手(現阪神タイガース)。2014年までは打率3割を6年続けてキープしていましたが、2015年には.262とそれが途切れることに。そのオフシーズンに痛みに悩まされていた左膝の古傷にPRP治療を行いました。そして次シーズンには、史上最年長での盗塁王獲得、7度目もゴールデングラブ受賞など、輝かしい成績を残しています。

糸井選手の場合、PRP療法と合わせて、オフに内転筋や腸腰筋の強化を徹底したとのこと。膝に負担のかかりにくい体づくりを同時に行ったことも、膝痛改善の要因のひとつとして考えられるでしょう。

肩にPRP療法を受けた岩隈久志選手の場合

PRP療法も、すべてを治療できるわけではありません。2017年に治療を受けたMLBの岩隈久志投手(シアトルマリナーズ)のケースがそうでした。

右肩炎症で故障者リスト入りした岩隈選手は、抗炎症作用のあるコルチゾン注射とPRP療法を7月に実施したとのこと。ただ、期待していた効果は得られず、9月には手術を行ったという報道がありました。肩関節には壊死した部分があったそうで、思っていたよりも重症だったようです。このように、ダメージの程度によっては、組織修復や痛みの改善効果が得られない場合もあります。

 

PRP療法の効果が期待できる疾患

PRP療法の適応

選手情報は報道を参考にしているので野球に偏ってしまいましたが、PRP療法は他のスポーツでも治療に取り入れられています。また、スポーツ障害以外に、関節炎の治療報告も。どんな疾患に有効なのか、まとめてみました。

PRP療法の適応1:スポーツ障害

靭帯や腱の炎症治療が主な対象です。膝の疾患では、ジャンパー膝やランナー膝など、その他の部位だとテニス肘やゴルフ肘、肩腱板の炎症、アキレス腱炎などに応用されています。こういった炎症治療にはステロイド注射が主流でした。ただ、例えばテニス肘に対しては痛みの緩和に加え、2年間の追跡調査においてもステロイド注射よりも高い機能改善が得られたという報告もあります。

また、冒頭であげたスポーツ選手の実例でも分かるように、軽度であれば靭帯損傷のケースでも効果が得られることは少なくありません。肉離れや筋挫傷でも応用が見られます。

さらに、半月板損傷の手術のひとつ、半月板縫合術に併用することで縫合部分の修復が早まるかなどについても研究されています。

【参考文献】
「Ongoing positive effect of platelet-rich plasma versus corticosteroid injection in lateral epicondylitis: a double-blind randomized controlled trial with 2-year follow-up.」Gosens T, Peerbooms JC, van Laar W, den Oudsten BL. Am J Sports Med. 2011 Jun;39(6):1200-8.

膝蓋靭帯炎を治療した37歳男性の体験談

保険のきかない治療のため不安がありましたが、海外では有名だったので、もっと早く行っておけばよかったと思いました。
効果が出るまで時間がかかると思っていましたが、1週間で実感することができて良かったです。

PRP療法の適応2:変形性膝関節症

膝の関節炎の代表格とも言える変形性膝関節症においても、PRPに期待を持てる臨床試験結果が報告されています。どんなことで期待できるかと言うと、まず膝関節内のヒアルロン酸が増加していたこと。その反面炎症に関係する物質は減少していたそうです。

ヒアルロン酸注射と比較した試験でしたが、24週までの経過を見て、4人の報告者のうち3人はPRPの有効性を示唆しています。

【参考文献】
「変形性膝関節症に対する多血小板血漿関節内注射治療」吉岡友和ほか 整・災害 57: 91001-1009; 2014

変形性膝関節症を治療した71歳女性の体験談

整形外科の医師から人工関節に置き換える手術の提案を受け、リスクを考え手術しないで治す方法を探していた結果こちらに辿りつきました。副作用が全然なくて人工関節置き換え手術を受けなくても現状症状を維持できています。

 

PRP療法の効果のメカニズム

PRP療法は自分の血液から抽出した、血小板の濃縮液です。血小板に止血作用があることを知っている人は多いと思いますが、実はそれだけではありません。同時に様々な成長因子(グロスファクター)を分泌。種類によって、コラーゲンをつくったり、血管や皮膚をつくったり、骨細胞を刺激したりと役割は違いますが、細胞の増殖を促進する作用で自然治癒能力が発揮されています。

血小板を濃縮したPRPに含まれる成長因子は、なんと通常の3〜5倍! それらの作用で、組織の修復やダメージの治癒がなされ、痛みが抑制されるというわけです。

PRP療法で分泌される成長因子

 

PRP療法の治療で知っておきたい4つのこと

PRP療法を受けたからと言って、治療後に何か制限が出るわけではありません。生活もいつも通りでOKです。ただ、事前に知っておきたいことが4点あります。

PRP療法後、3〜4日は痛みがある

PRP療法後の膝の痛み

PRP療法は自己修復を促すことが目的ですが、これと同時に痛みの反応を引き起こすことがあります。ときには、腫れが生じることも。副作用が特にないPRP療法において、気になる点をあげるとすればこの点でしょう。

痛みは治療後から少しずつ強まり、翌日にがピーク。徐々に治まっていきますが、3〜4日ほどは気になるかもしれません。そのため、体を歩いたり重労働な仕事の人は、可能であれば1〜2日はお休みすることをおすすめします。ただ、日常生活であれば、処方されるであろう鎮痛薬を服用することでコントロールできる範囲なのでご安心ください。1週間ほどで痛みは和らぎ、1ヵ月もすれば思い通り体を動かせるようになります。

この痛み、修復過程で起こるものとは言われていますが、白血球の含有や塩化カルシウムの添加が関係するという見解も。そのため個人差の他、PRPの種類によっても痛みの程度が違ってくると考えられます。

余談ですが、冒頭で紹介した糸井選手は、膝に40本(!)ものPRPを注射したそうで、「あの痛みはやった人でないと分からんっすよ」と、その痛みをマスコミ陣に語っていました。でも、通常はそんなに打つことはありませんから、痛みも許容範囲内とお考えください。

PRP療法後の痛みが消えたら、積極的にリハビリ

PRP療法後のリハビリ

痛みが治まる1週間後くらいから、少しずつ体を動かすことも治療の一貫と言えるでしょう。動かしながらの方が、早い機能回復が期待できるからです。もしずっと安静にしてしまうと、関節が拘縮(固まること)し、動きづらくなるリスクも考えられます。

スタートは軽いストレッチから。それに体が慣れてきたら、少しずつ運動の強度をアップしていきましょう。

完治するには2~3回PRPを注射することも

複数回

話題の治療法なのだから、1回で完治すると思っている人もいるでしょう。確かに、扱っている病院では、1回での完治を目指していると思います。1回の治療でも、ダメージを負った組織が修復すれば、効果が切れてまた元に戻るようなことはないので、完治となります。

ただ、組織の損傷の度合いや範囲によっては、1回で修復しきれない場合も。そういったケースでは、症状を見ながら追加注入するか、医師が適宜判断。完治させるために1回どのくらいの量のPRPを注入するかの判断も関係してくると考えられます。

保険が利かないPRP療法の費用は自己負担

PRP療法は保険適応外の治療法です。そのため治療における費用は、自己負担10割。料金も扱っている病院によってばらつきがあり、数万円から何十万までの幅があります。いくつかの病院の料金表を見てみたところ、5万円~10万円前後で提供している施設が多いようです。ただし、PRPの注射を1回の治療あたり何本打つかによっても料金が変わってきます。

 

PRP療法が受けられる病院

PRP療法は、どの病院の整形外科でも受けられるという治療法ではありません。保険適応外の自由診療(費用が100%自己負担)ということもありますが、2014年に厚生労働大臣に許可を得ないと提供できないという法律が施行され、PRP療法がその対象となったからです。

PRP療法と「再生医療等安全性確保法」

PRP療法は自由診療ということで、以前までは医師の裁量で扱うことが許されていました。ですが、2014年に施行された「再生医療等安全性確保法」という法律の対象になったことで、許可なく提供することが違法となったのです。この法規制で、PRP療法を行う病院は減ったかもしれません。ただ、専門委員会の審査を受け、厚生労働大臣の許可を得た病院のみに絞られたことで、安全性は確保されました。

PRP療法を正式に扱う病院の見つけ方

整形分野だけでなく歯科分野や美容分野の医療施設も含まれますが、許可を得た病院かどうかは、厚生労働省の専門ページで確認できます。申請は3つに種類に分類。腱や靭帯、筋肉といった皮下への注入を目的とする場合は第三種、関節炎や半月板を対象とした関節内への注入なら第二種となります。
※PRPをさらに濃縮するPRP-FDという治療法もありますが、こちらは再生医療法の対象外なので、扱っていてもこちらのサイトに病院名は掲載されていません。

 

どう応用するかは医師の判断に委ねられるPRP療法

PRP療法は良い結果を得られた症例も多数見受けられ、先進的な治療法のひとつではあります。ただ、具体的な治療法とそれで得られる治療効果はまだ定まっていません。田中投手が所属するヤンキースの主治医も、当時こう話しています。「PRP療法が機能することは知っているが、いまだ我々が掴めていないのは、どういった量が適切であるかだ。1回の注射で十分なのか? 2回の方がいいのか? 3回は多すぎか?」。そう、注入量や回数で結果が変わる可能性もあるということ。法律でPRPの安全性は確保されていますが、その効果については、やはりまだ医師の知識や経験に委ねらる治療法と言えます。

【参考文献】
「田中将大が受けているPRP療法って何? ヤンキース主治医がその効果を語る」ベースボール専門メディア Full-Count

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コメント

  1. 田中 says:

    早く保健適用に成って欲しい。長年ヒアルロン酸注射や痛み止め薬を続けていますが、いっこうに改善しません。
    無駄な治療が費やされているようです。一日も早く保険適用になれば、保険制度財政赤字を少しでも補えると考えられます。

    1. ひざ痛チャンネル編集部 says:

      こんにちは。
      服部医師からのコメントをお伝えいたします。
      ——-
      難しい問題ですね。現在、保険適応になっているヒアルロン酸でも、治験を重ね
      保険適応となるまでに30年以上かかっているそうです。
      PRPも仮に保険適応となるとしても、かなり先になるのではないでしょうか。

  2. 人生破綻 says:

    今までスポーツだけが生き甲斐で生きてきました。34歳で、膝の手術は三回しました。
    スポーツできるようになると言われ、半月板が再生しにくいのにも関わらず縫合だけして莫大な手術費と長い時間を無駄にしてきました。それでも良くなるわけもなく、膝関節変形性関節症だと今更言われ、骨きりしたほうがいいと言われました。
    しかし筋肉は手術で無くなる一方。この治療にすがってみたいと思います。保険適用外なのが本当に残念です。

    1. ひざ痛チャンネル編集部 says:

      こんにちは。
      大鶴医師からのコメントをお伝えいたします。
      ——-
      お話お伺いしました。これだけ若い年齢でしっかり関節鏡手術も受けており、それでも効果が薄いという状況ですね。
      おそらく、手術の効果が出にくいのは何らかのストレスをかけていることが考えられますが、いかがでしょうか。一般的にはスポーツなどの運動量、仕事の内容、通勤の形態、大腿部の筋委縮、体重のコントロール不良が考えられます。
      今後どんな治療を行うにせよ、前述の要素がうまく調整できないと治療効果が出にくいことをご承知ください。
      メール内容を考慮すると、その先生と同様、我々も高位脛骨骨切り術が第一選択と考えます。

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