ひざ痛チャンネル編集部
2017-09-08

「ステロイド注射=副作用」は誤解?膝痛治療の選択肢

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「ステロイド注射=副作用」は誤解?膝痛治療の選択肢

変形性膝関節症や靭帯炎、腱鞘炎などといったひざの痛みの治療法のひとつ、ステロイド注射。ヒアルロン酸に並び、ひざ痛の温存療法として広く整形外科で提供されている治療です。しかしステロイドと聞くと、副作用を気にされる方も少なくないのでは? もしステロイド注射による治療を提案されていて敬遠している人がいたら、このコラムを読んでから判断してもいいかもしれませんよ。

 

変形性膝関節症でも選択されるステロイド注射とは?

変形性膝関節症の治療法のステロイド注射とは

よく耳にはする膝痛の治療法「ステロイド注射」ですが、一体なんなのか、実は知らない人も多いのではないでしょうか。

ステロイドとは、本来は体内で生成される副腎皮質ホルモンのひとつです。これと似た成分・作用になるよう人工的に合成した薬剤が、ステロイド注射に使用される薬剤になります。

 

膝の痛みに対するステロイド注射とヒアルロン酸注射との違い

膝関節の痛みを緩和する注射による治療で代表的なものと言えば、ヒアルロン酸注射とステロイド注射です。どちらも関節内注射による治療法ですが、違いは大きく分けてふたつ。注射の効果と頻度になります。整形外科医は検査や診察から得た情報で、どちらで治療するかを選択しているのです。

 

ステロイドとヒアルロン酸の違い1:注射の効果

ヒアルロン酸注射とステロイド注射の違い

ステロイド注射とヒアルロン酸注射の違いのひとつは、それぞれの作用の違いに関係します。期待する効果が違ってくるというわけです。

そもそも、ヒアルロン酸は膝関節のクッション剤としての役割を持つ関節液に含まれている成分です。主にはひざ関節への衝撃を和らげることでの痛み緩和を目的としています。変形性膝関節症の予備軍や、まだ軽度の膝痛のケースで選択される治療法と言えます。

一方のステロイド注射は抗炎症作用の他、鎮痛作用に優れています。炎症が原因で膝に強い痛みがある場合や水が溜まってしまったケースなどでは、いくらヒアルロン酸を注射してもなかなか改善が見られないことがあります。こういった場合、ステロイド注射が有効とされているのです。

 

ステロイドとヒアルロン酸の違い2:注射の頻度

膝痛のステロイド注射の頻度

副作用がないという安全面での安心感はあるのですが、ヒアルロン酸注射に長期的な膝痛改善の効果は期待できません。種類によっても異なりますが、日本の保険診療内だと1週間ごとに3〜5回継続して注射するというのが一般的。効果があれば、その後2〜4週間に一度の頻度で注射します。

ステロイド注射は膝の鎮痛効果が非常に高い反面、頻回な利用は副作用を引き起こすリスクを伴います。そのため、治療間隔や回数には医師の正しい判断が欠かせません。

 

膝痛のステロイド注射と副作用

ステロイド注射の副作用

膝の痛みを緩和する治療法としてステロイド注射を医師から進められたとき、やはり上記のように副作用をまず心配される方は多いのではないでしょうか。その背景にあるのは、1980年代に問題となった「ステロイド薬害」。安価なのに高い効果が期待できるステロイド剤は当時、副作用の認識が十分でないまま医療現場で頻回に使用されていました。その結果、重度の副作用に悩む患者が多発し、社会問題にまで発展したのです。

その教訓もあり、現在は使用の際に細心の注意が払われるようになっています。それでも「ステロイド=副作用が怖い」という当時のイメージは、そのまま根強く残っているというわけです。

 

膝痛へのステロイド注射の代表的な副作用とは?

副作用のリスクを熟知した医師が用法や用量を的確に判断すれば、「ステロイド薬害」のような重度の副作用の心配はまずありません。ただ、副作用のリスクがゼロとも言い切れないステロイド注射。代表的な副作用には、次の4つがあげられます。

 

副作用1:ステロイド性膝関節症

ステロイドの副作用で誘発された軟骨の損傷や骨粗鬆症による膝関節症です。主にステロイドの直接的な影響によるものを指しますが、膝の痛みがなくなったことで無理をした結果、まだ癒えていない膝関節へ大きな負担がかかった結果、引き起こすこともあります。

 

副作用2:感染性関節炎

注射針などから細菌が入り込むことで感染を引き起こします。ヒアルロン酸注射でも同様のことは考えられますが、ステロイド注射の場合、ステロイドの免疫を抑制する作用により体内が感染症に弱い状態に。つまり、感染する確率が高まってしまうのです(数千例に1件の割合と言われています)。

膝関節への注射後、ひざの腫れや発赤、発熱、痛みの悪化などの症状が気になったら、早めに整形外科を受診しましょう。

 

副作用3:精神障害

ステロイドサイコーシスという現象で、ステロイド注射を受けた数日後に気分が沈むなど、精神面でマイナスに働くことがあります。ただし、一過性で軽度のものが多く重症化するケースは少ないですが、場合により抗精神薬を使用することも。

 

副作用4:糖尿病

ステロイドの投薬によって血糖値が上昇することが分かっています。糖尿病を患っている人の場合は悪化したり、それ以外の人でも糖尿病を発症することが稀にあります。そのため、通常の糖尿病とは別に、ステロイド糖尿病と区別して呼ばれます。

 

正しく使えば副作用なく膝の痛みを改善できるステロイド注射

膝痛のステロイド注射は医師の適切な判断が大切

こういった副作用のリスクが考えられるステロイド注射ですが、先にも言ったように昔のような無謀な使用は現在行われていません。膝痛治療におけるステロイド注射は、3か月以上のスパンを開けて、年2回までの注射とした場合、軟骨や骨への悪影響なく高い効果が得られるという研究報告もあるようで、欧米では広く普及している治療法です。

つまりステロイド注射で大切なのは、医師が使用するべき症状かを見極めることと、用法のルールを徹底することだと言えるでしょう。

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