ひざ痛チャンネル編集部
2017-12-13

膝の激痛「偽痛風」とは?症状や段階別の治療法を解説

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膝の激痛「偽痛風」とは?症状や段階別の治療法を解説

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ある日突然、膝に激痛が! 病院に行くと「偽痛風」という診断。そのまま治療をしているけど、効くのか不安になってはいませんか? この記事は、今受けている治療がどんなことを目的にしているのか、それを受ければどれくらいで良くなるのかなど、そんな方が知りたい情報をまとめました。さらに、治療が効かない場合の仮説とそのときどうすべきかについてもお話します。

記事を読んでも膝の痛みが消えるわけではありませんが、気になっているもやもやを晴らすことはできるはずです。

 

偽痛風とは?

まずは偽痛風の原因と症状について把握しておきましょう。

痛風と全く違う偽痛風の原因

偽と言うくらいですから、偽痛風の原因は痛風のそれとは全く異なります。痛風は、結晶化した尿酸塩が関節に沈着(石灰化)し、関節炎を引き起こすもの。そう、皆さんご存知のように、痛風には血液中の尿酸値が関係します。一方、偽痛風はピロリン酸カルシウムの結晶の沈着で関節炎を発症。ピロリン酸カルシウムの血中濃度はあまり関係なく、関節部分にたくさん存在することで結晶、沈着すると言われています。

また、その現象が起こる原因として、痛風はプリン体が関係していることが分かっていますが、偽痛風の原因は明らかになっていません。ひとつ分かっているのは、加齢が危険因子になるということ。実際に高齢者に多く見られる病気で、有病率が60歳は7〜10%、65〜75歳では10〜15%、80歳以上になると30〜50%にまで高まると報告されています。

偽痛風の有病率

【参考文献】
「偽痛風(ピロリン酸カルシウム結晶沈着症;CPPD)の病態と治療」益田郁子 Gout and Nucleic Acid Metabolism Vol.35 No.1(2011)

遺伝や腎機能障害との関係性

遺伝や、副甲状腺機能亢進症(ふくこうじょうせんきのうこうしんしょう)という副甲状腺ホルモンの異常で腎機能障害が起こる病気の影響で、55歳以下で若くして発症することも。

ただ、関節にピロリン酸カルシウムが沈着していても、必ず関節炎が起こるわけではありません。約半数ほどは、痛みや腫れなどの症状が現れないと言われています。

手術との関係性

半月板手術の術後に見られる偽痛風も多く、ケガや手術とも関係があると考えられています。

偽痛風の症状

偽痛風の症状

偽痛風であるあなたには、こんな症状が出ていると思われます。

膝の痛み(激痛)

偽痛風の症状が現れるのに、前兆のようなものはほぼありません。ある日突然、膝関節を動かせないくらいの激痛が……。膝のどこということはなく、全体的に痛みが生じます。

膝が赤く腫れ上がる

痛みと並ぶ偽痛風の代表的な症状が、膝の腫れ。こちらも急に、膝関節全体が赤く腫れ上がり、熱を帯びます。

手や足首が痛いことも

約70%は膝関節に痛みが現れますが、手や足関節に痛みが生じることもあります。

膝に水がたまる

偽痛風が進行すると、痛みだけでなく、膝に水がたまる「関節水腫」を起こすこともよくあります。

高熱

一般的ではありませんが、炎症の影響で発熱することがあります。

 

3段階に分けられる偽痛風の治療法

医療における治療には、原因に直接アプローチする「原因療法」と、症状を軽減することを目的とした「対症療法」の2種類があります。偽痛風で言うと、できてしまった結晶を取り除くことは困難ですし、その原因が分からないので痛風のように予防することもできません。

そのため、偽痛風という診断に対して病院で行われているのは、痛みの緩和や炎症を抑える対症療法。根本的な治療ではありませんが、具体的には発症後の期間や症状に合わせて、下記のような治療法が行われます。

基本の治療法

内服薬による偽痛風の治療

偽痛風は急に激痛が起こる病気なので、急性期(発症から間もない期間)に治療されることが多いのが特徴。その際の治療法は、下記が基本となります。

鎮痛薬の内服

最も初期段階の治療法は、ロキソニンやボルタレンなどといった非ステロイド性の鎮痛消炎薬を飲みながら安静にすること。これは痛風でも基本となる治療法です。

湿布・アイシング

初期段階の治療法としては、湿布を貼ったり、氷嚢や保冷剤などで膝を冷やしたりすることも有効です。湿布は冷やすというよりは、鎮痛消炎作用を期待して行われます。

痛み以外の症状が見られる場合の治療法

関節内注射による偽痛風の治療

基本の治療法が効かなかった場合や、膝に水がたまるなどの痛み以外の症状が出ているケースでは、関節内注射を行います。

ステロイド注射

痛みが生じている関節内に、抗炎症作用のあるステロイドを注射するというもの。非ステロイド性の鎮痛薬で改善が見られなかった場合の治療法で、膝に水がたまる症状が出ている場合は、膝の水を抜く関節穿刺と併せて行います。

ヒアルロン酸注射

偽痛風の関節内注射としてはステロイド注射が主流ですが、ヒアルロン酸注射を選択する場合もあります。炎症の抑制や、関節の負担を軽減する目的で行われます。

難治例における治療法

偽痛風を手術で治療

関節内注射を続けても症状が治まらない場合には、外科的手術でアプローチすることもあります。

関節内の洗浄手術

関節内を洗浄して、浮遊しているピロリン酸カルシウムの結晶を除去するという方法がひとつ。膝にメスは入れますが、傷跡は小さく、比較的低負担な外科手術と言えます。

人工関節置換術

炎症による痛みだけでなく、関節破壊によって変形が進行しているケースでは、膝関節をチタン合金やポリエチレンの人工的なものに置き換える手術を行うこともあります。

偽痛風の治療期間

偽痛風の治療期間

対象治療ではありますが、偽痛風による膝の痛みを解消する方法としては有効と言えるでしょう。そもそも、偽痛風の突発的な膝の痛みは、それほど長期的に継続するものではありません。だいたい10〜20日程度で消えていくことが多いのです。

また、症状が現れてすぐの急性期に処置すれば、1週間ほどで痛みを感じなくなることがほとんど。早ければ2〜3日で症状が改善することもあります。ただ、繰り返すことが……。基本的に突発的な関節炎の偽痛風ですが、2〜3回繰り返すことも少なくありません。

 

偽痛風の治療で良くならないケース

でも中には治療を薬を飲んでいるのに、注射を打っているのに、全然良くならないという人もいるでしょう。そういったケースでは偽痛風以外の可能性も検討する必要があります。

偽痛風の他にもあるピロリン酸カルシウム結晶の関節炎

ピロリン酸カルシウムの結晶沈着によって起こる関節炎は、実は偽痛風だけではありません。総じてピロリン酸カルシウム結晶沈着症(CPPD)と言われ、そのひとつが偽痛風というわけです。分類は6タイプありますが、大きく分けると2つの関節炎タイプがあげられます。

タイプ詳細
Type A急性偽痛風発作
Type B偽関節リウマチ
Type C偽変形性膝関節症(発作あり)
Type D偽変形性膝関節症(発作なし)
Type E潜在性、無症候性
Type F偽神経障害性関節症
その他 偽リウマチ性多発筋痛症など

【引用】Arthritis Rheum.19(Suppl3):275-85,1975

偽変形性膝関節症

ピロリン酸カルシウム結晶の沈着によって、変形性膝関節症のように慢性的な関節炎を発症するタイプ。進行すると軟骨だけでなく骨が損傷し、変形してしまいます。

偽関節リウマチ

こちらも慢性的で、数カ月という長い間、複数の関節に炎症が現れるタイプです。ピロリン酸カルシウムの結晶沈着が関係しない通常の関節リウマチとの区別が難しい症例も少なくありません。

他の原因で生じる関節炎

ピロリン酸カルシウム結晶の沈着が関係しない他の疾患でも、偽痛風と似た症状が現れます。

例えば、痛風。好発部位が膝ではなく足の指の関節という違いはありますが、同じような腫れや痛みが生じるため、きちんと検査して診断することが大切。また、細菌感染で痛みや腫れが生じる化膿性関節炎との区別も必要でしょう。

また、治療しても痛みがなくならない場合、実は慢性的な関節炎である変形性膝関節症や関節リウマチだった(もしくは合併している)ということも考えられます。

 

偽痛風の診断基準

偽痛風の診断基準

偽痛風を正確に診断するためには、血液検査や画像検査、関節液の検査を行います。

血液検査では、まず炎症や細胞破壊があったときに分泌される、CRPという成分の数値で炎症反応を確認。白血球が増加していないかや、痛風や関節リウマチ、副甲状腺機能亢進症などとの区別もしっかり確認します。

画像検査はレントゲンが主流です。ピロリン酸カルシウムの結晶が関節内の軟骨や半月板に沈着している場合、レントゲンではその石灰化が白く映し出されます。

もしそれらの検査で偽痛風を断定することが難しいときは、関節液を採取して検査。ピロリン酸カルシウムの結晶が確認されれば、偽痛風の診断となります。

レントゲン以外の画像検査は有効?

偽痛風の画像検査としてはレントゲンが主流ではありますが、よりピロリン酸カルシウムの結晶をはっきりと映し出す方法として、近年では関節エコーによる検査も普及してきています。これにより、レントゲンでは判別が難しいレベルの石灰化や結晶を見つけることができます。

ちなみに、関節の検査方法としてMRIもありますが、石灰化を調べるには不向き(判別しづらい)なので、偽痛風の検査にはほとんど使用されません。

 

偽痛風が良くならないならセカンドオピニオン

セカンドオピニオン

色々お話しましたが、早期に治療すれば、通常なら膝の痛みは短期間で解消されることが多い偽痛風。ただ、原因がわかっていないこと、因子が様々考えられることなどから、その鑑別が難しいのも事実です。もし治療しているのになかなか痛みが改善されないようなことがあるなら、一度セカンドオピニオンを求めることをおすすめします。

 

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