ひざ痛チャンネル編集部

変形性膝関節症でも自力で歩く!痛みを緩和する装具の選び方

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変形性膝関節症でも自力で歩く!痛みを緩和する装具の選び方

変形性膝関節症の装具選びで迷っていませんか? 膝の痛みから歩くことが怖いと感じており、少しでも緩和できればと装具を探しているのではないでしょうか。そんな方に知ってほしい情報をまとめました!

変形性膝関節症の装具は治療のガイドラインでも推奨度が高く、痛みの緩和が期待できるとされています。ここでは、どんな種類の装具があるのか、その作用や選び方も合わせて解説。きっと、自分に合った装具を見つける助けになるはずです。

変形性膝関節症の痛みを緩和する装具療法

変形性膝関節症になると、日常動作にも膝の痛みが伴います。その痛みの緩和に効果的なのが、道具を身体につける装具療法。これは、変形性膝関節症の治療方針や効果を示すガイドラインでも推奨されています。「薬物療法のみの治療と比べると、膝に装具を使用した場合、膝の痛み改善に有意な効果があった」とする報告も。そんな装具の中で、あなたに向いているのはどれなのでしょうか。代表的なものとしては次のようなものがあります。

変形性膝関節症の装具

【参考文献】「Braces and orthoses for treating osteoarthritis of the knee.」Brouwer RW, 2005 Jan 25;(1):CD004020.

装具の役割は「変形性膝関節症の負のサイクルを崩す」こと

変形性膝関節症の悪循環

それぞれの装具について詳しく知る前に、なぜ変形性膝関節症に装具を用いるのか、目的をはっきりさせておきましょう。

膝関節の軟骨がすり減って痛みを感じると、身体を動かす機会が少なくなり、筋力は低下します。膝周辺の筋肉には、膝関節への負担を軽減する役割があるため、筋力が低下すると、膝関節にかかる負担が増えることに。そうして軟骨のすり減りに拍車がかかる、まさに悪循環……。変形性膝関節症が進行すると、治療方法は手術しか残されません。

では、どうするか。最善の方法は、膝への負担を軽減した状態で適度な運動を行うこと。変形性膝関節症に運動療法が効果的であることは、様々な研究から明らかになっています。装具はその補助的な存在。事実として、装具を使うだけでは変形性膝関節症は治りません。ただ、装具の使用で痛みを緩和させることはできます。それがきっかけとなり、運動療法に前向きになれるかもしれない―そうした二次的な効果が生まれる可能性も。そのために、装具に頼っても大丈夫。まずは身体を動かし、悪循環にくさびを打ち込むことが重要なのです。

 

変形性膝関節症に用いる装具の種類

変形性膝関節症の治療で用いられる装具の種類と、その作用や選び方を見ていきましょう。

杖は変形性膝関節症のどの段階でも効果が望めますが、初期〜進行期には特に効果を発揮するでしょう。

杖の選び方

杖には様々な種類があるため、自身の症状に合ったものを選択しましょう。

  • 一本杖……最もスタンダードな杖です。グリップ(握る部分)の形状でT字型、L字型、丸形といった種類があるので、どれが最も持ちやすいかを重視して選びましょう。長さの目安は、身長(cm)÷2+2〜3cmです。長すぎたり短すぎたりすると正しい歩行姿勢が取れなくなり、身体に悪影響を及ぼすため、選び方には注意が必要です。一本杖を使う場合、痛みのある膝と反対側の手で持つようにしましょう。痛む側の膝関節へかかる体重を分散することができ、痛みの緩和が期待できます。
  • 四点杖……一本杖からより安定感を高めるために、支えを4つに増やした杖です。設置している範囲が広いため、転倒予防にも効果は大きいでしょう。どこかへ立てかけておく必要がないので、家事をする際など、一時的に手を離しても倒れる心配がありません。その意味で、家の中での使用が適していると言えるでしょう。家事を行う女性には喜ばれるのではないでしょうか。
  • ロフストランドクラッチ……海外でメジャーに使われている、腕を通す輪のついた杖です。グリップ部との2点で体重を支えることができます。グリップだけでは不安という方は、検討してみてください。
  • 松葉杖……両膝に痛みがあるとき、歩行が難しい場合などは、松葉杖が推奨されるケースも。松葉杖にある2本の支柱は、非常に大きな負荷にも耐えられる設計になっており、安定感の高い杖と言えるでしょう。変形性膝関節症だけでなく、スポーツによるけがに対しても多く使われています。

歩行器

歩行器は、杖と同様に変形性膝関節症のどの段階でも効果は期待できますが、より大きな負荷をかけることができる歩行補助器具です。複数本の支柱により体重を分散させ、膝関節への負担を軽減する目的で使われます。中にはブレーキや足踏みレバーなどを備えているものもあり、それらは段差に対応できるのがメリット。

歩行器の選び方

患者の症状に応じて使い分けられるよう、歩行器にはいくつか種類があります。固定型、交互型、キャスター付きの3種類は、インターネットのショッピングサイトでそれぞれ1万円程度(ひざ痛チャンネル編集部調べ:2018年7月)。比較的、求めやすい価格で販売されていました。

変形性膝関節症に使う歩行器

  • 固定型歩行器……脚の筋力が低下している方に向いていますが、両手で持ち持ち上げて使用するため、ある程度の筋力が上半身に残っていなければ使用は難しいでしょう。起立時にも支えとして使うことができるため、家の中での使用に適しています。
  • 交互型歩行器……左右の持ち手を交互に動かせる歩行器です。左右が順番に動くためバランスが取りやすくなり、安定して歩くことができます。
  • キャスター付き歩行器……変形性膝関節症の多くは、膝の内側か外側どちらかの軟骨がすり減りますが、もし両側がすり減っているような場合はキャスター付きの歩行器を使うのがよいでしょう。こちらも1万円未満のものが多く、比較的求めやすくなっています。
  • モーター付き歩行器……平地・坂道など、道路の状況を検知する機能がついており、長時間の歩行が困難な方に適した歩行器です。操作方法をしっかりと理解しておかなければなりませんが、下り坂などでの動くスピードまで調節してくれるため、転倒する危険性はありません。こちらは10万円程度で販売されています。
モーター付き歩行器

【出典】あったかレンタル

足底板

膝が痛いときのインソール足底板(そくていばん)は靴の中敷きのことで、インソールとも言います。足底板に期待できるのは、地面からの衝撃を吸収する効果や、O脚・X脚といった状態を矯正する効果です。

日本人に多い0脚では、足底板の外側を厚くすることで傾きを調整。膝関節の内側にかかる負担が軽減され、変形性膝関節症の痛みが緩和される効果が期待できます。変形性膝関節症が進行するにつれ効果は薄くなりますが、初期段階では有用と言えるでしょう。

足底板の選び方

市販のものもありますが、足の形状や負担が集中している部位は人それぞれで全く異なります。そういった自身の特性に合ったものを使わなければ効果がない場合も。病院や理学療法士と相談して選びましょう。

靴型装具

靴型装具とは文字通り、靴の形をした装具のこと。患者それぞれの足の形や症状に合わせて作られます。歩行時の身体のバランスを整えることで、変形性膝関節症の症状を足から改善するのが目的です。外出用に支柱をつけて安定感を増したものや、内反・外反を矯正する目的でストラップと呼ばれる部品を取り付けるものもあります。

アサヒシューズの「アサヒメディカルウォーク」という商品を例にご説明しましょう。
正常な歩行では、足を前に出して踏み込んだとき、大腿骨に対して脛骨が外側へ回旋します。この正常な動きを誘発するのが、アサヒメディカルウォークに搭載された、SHM(Screw Home Movement)という機能。正しい歩行を促すと同時に地面からの負担も軽減してくれるため、膝の痛みが緩和されることが期待できるでしょう。かかとにSHM機構を取り付けた靴を6ヶ月間履いたところ、身体機能や日常生活動作の改善が見られたとするデータもあります。

アサヒシューズ「アサヒメディカルウォーク」

【出典】アサヒシューズ「アサヒメディカルウォーク」

靴型装具の選び方

人によって足の形は異なります。靴型装具を検討する際は自身に合ったもの、すなわちオーダーメイドのものを使うのがよいでしょう。

サポーター

変形性膝関節症と固定サポーターサポーターは、膝関節の変形の度合いによって付け方を変えられるのがメリット。バランス仕事や外出、スポーツなどを行う活動的な方で、変形性膝関節症が進行期の方には、支柱付きの軟性装具が向いています。

サポーターの選び方

装着感、膝関節の安定感から判断しましょう。変形性膝関節症が進行し膝関節が変形している場合は、膝蓋骨(膝のお皿)が出る前開きのものを選ぶことが推奨されています。安定感を高めるために支柱がついているタイプものは、支柱が硬すぎると快適に装着できないため、注意が必要です。

ニーブレース

CBブレース

【出典】 佐喜眞義肢「CBブレース」

ニーブレースは軟らかい素材でできた軟性装具と、金属・カーボンなどの硬い素材を含む硬性装具に分けられます。変形性膝関節症の進行期に使われることが多く、膝関節をしっかり安定させる効果が期待できるでしょう。中でもCBブレースは、装着感がよく効果も感じられやすい、優れた装具です。

ニーブレースの選び方

しっかりと膝が安定するものを選びましょう。装着感が強いため、高齢者に向いているとはあまり言えません。支柱付きのものは主に男性向きで、スポーツを希望する方は、スポーツを行うときのみ装着するのが望ましいでしょう。

【参考文献】「膝痛 こだわりの保存治療」宗田 大

 

変形性膝関節症の装具にかかる費用は?

費用装具を新たに使い始めたり、取り替えが必要になったりすると、どれだけ費用がかかるのか……。と心配になりますよね。結論から言うと、病院から処方されたものであれば、保険が適用されることが多いでしょう。「装具を使用したい」と医師に申し出れば処方してもらえるケースもあるため、気になる装具があれば医師に相談してみることをおすすめします。

 

変形性膝関節症の装具の選び方まとめ

今回ご紹介した装具の選び方をおさらいしておきましょう。

フィット感がよいもの

合わないものを無理に使い続けることは良くありません。身体に悪影響を及ぼすこともあるため、自分の身体にフィットしているものを使うようにしましょう。

付けていて動きやすいもの

活動を助けるためのものが装具です。「付けると動きにくい」では逆効果。しっかり動けるものを選びましょう。

効果があると実感できるもの

装具にかかる費用を考えても、効いているのかわからないものを継続するのはナンセンス。痛みが緩和されているかもしれない、と感じられるものを続けてみましょう。

 

変形性膝関節症の装具に頼っても「歩く」ことは大切

変形性膝関節症でも自力で歩く!装具で変形性膝関節症を完治させることはできません。しかし、自分にあったものを正しく使うことで、膝の痛みを緩和する効果は期待できます。

冒頭でもお伝えした通り、筋肉が使われずに衰えることは変形性膝関節症の進行に繋がってしまいます。大切なのは、自力で歩いてみること。たとえ装具に頼ったとしても「歩けた」という気持ちを持つことこそ、その後の治療への第一歩となるのではないかと考えるのです。

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