ひざ痛チャンネル編集部
2018-06-08

「寝たきりにさせない」変形性膝関節症の親を持つ人の心得

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「寝たきりにさせない」変形性膝関節症の親を持つ人の心得

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親が変形性膝関節症と診断されたけど、数年後、元気にいられるのだろうか……。膝の痛みで病院に通ったり、つらそうに生活したりする姿を見ていると、どうにかしてあげたいという気持ちと同時に、将来に不安を覚えるのも無理はありません。ただ、変形性膝関節症と診断されても、楽しく余生を送っている人はたくさんいます。なかには、一度は人工関節を覚悟したけれど、自分の膝で元気に生活している人も。そんな未来にしたいとこの記事を開いたあなたに、今からできることをお教えします。

変形性膝関節症と寝たきりの関係やそのリスクも知った上で、子どもとして、どう親の変形性膝関節症に向き合っていくか、考え方と具体的なアドバイスをお届け。親も自分も楽しく人生を送るために、ぜひ参考にしてみてください。

 

変形性膝関節症と寝たきりの関係は深い!

介護が必要になる原因には様々ありますが、多いのが脳卒中や認知症。それを聞くと「変形性膝関節症」はそれほどでもない?と感じるかもしれませんが、実はこんなにも関係している疾患なのです。

 

【原因データに見る】寝たきりを始めとする介護への変形性膝関節症の影響

愛護が必要となった原因

【出典】内閣府「平成29年版高齢社会白書」

こちらのデータをご覧ください。介護が必要になった理由を、厚生労働省が平成25年に調査した結果をまとめたものです。その中で「関節疾患」が原因となっている割合は、男性が4.7%、女性ホルモンの影響から関節疾患を起こしやすい女性は14.1%となっています。確かに、寝たきりを始めとする要介護の直接的な原因としてはこの数値かもしれません。ただ、変形性膝関節症は他の原因への影響も大きいと考えるのです。

例えば「骨折・転倒」。膝が思うように動かなかったり歩行障害が出たりすることで、このリスクは高まります。また「認知症」は、歩けなくなることで急速に進行します。このような関係があるため、国も「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」として、そのあたりを関連付けて考えています。つまり、変形性膝関節症が介護に及ぼす影響は、この数字で見るよりも大きいと言えるでしょう。

 

変形性膝関節症は進行性の病気という怖さ

変形性膝関節症は、何もしなければどんどん進行していく厄介な病気です。膝の軟骨がすり減ることで関節内で炎症が起き、さらに進行すれば骨も破壊され、関節が変形するまでに至ります。最初は膝のこわばり(動きにくさ)といった症状ですが、痛みが現れ徐々に強くなり、O脚や歩行障害を起こすことも少なくありません。大きな事故や膝のけががなければ、加齢や肥満や筋力低下など原因は様々ありますが、これらに対して何かしらのアプローチをしなければ、車いす生活や寝たきり生活の可能性も十分考えられるのです。

変形性膝関節症の進行

 

寝たきり介護の実態……変形性膝関節症で起こり得る未来

もし、親に介護が必要になったら……。一般的にはどういったことが起こっているか、このデータをご覧ください。先にお話ししたような要介護と変形性膝関節症の関係を考えると、変形性膝関節症を患う方とご家族の未来と言えるかもしれません。

 

社会問題にもなっている介護離職

介護離職とは、親を始めとする家族の介護や看護を理由に仕事を辞めることを言います。以前は増減を繰り返す形でしたが、平成23年10月〜24年9月までの統計ではついに10万人超。平成29年にその後の調査が行われたようですが、このときにも社会問題として注目を集めました。介護離職を減らすため、介護休業制度や時短勤務、介護休業給付金など国が様々な取り組みを行っていますが、仕事との両立が厳しいという実態は否めません。

介護・看護を理由に離職した人数

【出典】内閣府「平成29年版高齢社会白書」

 

今や介護費用は800万円以上の時代

介護が必要になった場合、現実的な問題のひとつになるのが、かかる費用ではないでしょうか。内閣府が全国55歳以上の男女に、こんな質問の調査を行っています。「子どもに介護などの世話を受けたり、老人ホームに入居したり、在宅でホームヘルプサービスを受けたりする場合の費用をどのようにまかなうか?」回答では「特に用意しなくても年金等の収入でまかなうことができると思う」や「その場合に必要なだけの貯蓄はしていると思う」などの意見が多かったようです。

この記事を読んでいるみなさんは、実際にどのくらいの介護費用がかかるのか、ご存知でしょうか? 家計経済研究所が2016年に行った調査結果によると、介護サービスの利用料や医療費、おむつなどまで含めると、1ヵ月の在宅介護にかかる費用の試算は、一人当たり6万9千円とのこと。日本は世界でもトップクラスの高齢社会国家。平均寿命と元気に日常を送ることのできる健康寿命との差が、約10年もあると言われています。つまり、単純計算にはなりますが、介護費用は総額828万円にも及ぶことになるのです。

平均寿命と健康寿命の差

平均寿命:厚生労働省「平成25年簡易生命表」より算出
健康寿命:構成労働省「平成25年簡易生命表」「平成25年人口動態統計」「平成25年国民生活基礎調査」、総務省「平成25年推計人口」より算出

 

親を寝たきりにさせない変形性膝関節症3ポイント

辛い親の姿は見たくない。いつまでも元気で人生を楽しんで欲しい。そういった願いはもちろんのことでしょう。加えてお話したような実態があることから、介護中心の生活を迎えないよう、健康寿命を脅かす変形性膝関節症に向き合っていく必要があります。そのために意識したいのが、次の3つのポイント。それぞれ理由も踏まえてご紹介していきましょう。

 

その① 行動を制限しないようサポート

膝蓋骨骨折のリハビリ

足が痛くて動きづらそうな姿を見ると、どうしても助けてあげたくなるのが心情というものです。もちろん変形性膝関節症の場合、膝に負担をかけることは良くないので、サポートすることは悪いことではありません。ただ、サポート内容に注意しましょう。

変形性膝関節症と言っても、安静にし過ぎることはNG。動かないことで関節組織や、膝周辺の筋肉がどんどん硬くなってしまいます。また、筋力が落ちますから変形性膝関節症もより進行することに。行動や行動範囲はできるだけ制限しないよう、今やっていることが続けられるような方法を考えてみてください。寝たきりなど要介護となる原因のひとつに「転倒・骨折」があり、歩行に支障が生じる変形性膝関節症にも関係が深いということは冒頭でお話した通り。特にそのあたりをサポートしてみてはいかがでしょうか。

 

変形性膝関節症は特に環境面での転倒予防に気遣いを

高齢者の転倒場所の調査報告によると、各場所の割合としては「庭」が一番多いのですが、それに続くのは「居間・茶の間・リビング」「玄関・ホール・ポーチ」「階段」「寝室」「廊下」「浴室」。屋内にも多くの転倒の危険性があると言えます。配線コードやカーペット、敷居などにつまづくことも、膝がこわばり痛みのあるような、変形性膝関節症患者には大いにあり得ること。この場合、動かなくていいようにする選択ではなく、改めて転倒の要因を探し、なくしておくことで予防に取り組んでみてください。

配線は少なく、カーペットや浴室の足ふきマットには滑り止めのあるものを、小さな段差ならその段差をなくすか、気づきやすいよう目印をつけるなどなど。家のリフォームまでいかなくても、できることはたくさんあります。

 

変形性膝関節症におすすめの階段の歩き方

階段の上り下りは膝への負担が大きいので、変形性膝関節症ならエレベーターやエスカレーターを使用したいところ。ただ、家の中など、どうしても階段を使わざるを得ないこともあるでしょう。そういった場合、手すりを設置するというのももちろんですが、階段での歩き方を工夫するのもひとつの方法です。

具体的には、階段を上るときは痛む足を後から、下りるときは痛む足から先に出し、足を揃えながら一段ずつ歩きます。体重を痛みのない方の足でカバーするという、階段での膝の痛みを軽減する方法です。歩きやすくなることから転倒予防にもつながるでしょう。また、階段を上るときはお尻に手を当て、降りるときは手を前にするというのも、階段を歩きやすくする方法です。

些細なことかもしれませんが、階段だと体重の3.2〜3.5倍もの負担が膝にかかっています。転倒や骨折以外に、少しでも膝をいたわり、変形性膝関節症を進行させない目的でも意識すると良いでしょう。

 

その② 運動には小さな目標をたてる

運動には小さな目標を

高齢者が転倒する理由には、内的要因と外的要因の2つがあります。外的要因は先にお話したような環境面。そして内的要因は、主に加齢です。視力低下でちょっとした段差などに気付きにくくなるということもありますが、バランス力の低下や股関節から下の筋力低下が、変形性膝関節症には特に関係の深い要因でしょう。

老化による平衡感覚の衰えに加え、変形性膝関節症の膝の痛みから歩行が不安定になりやすいのです。また、股関節より下の筋力が低下すると、つま先や足自体を上げる動作が難しく、すり足になるため転倒する恐れが高まります。視力や平衡感覚を鍛えるのは簡単ではありませんが、筋力であれば動かして鍛えることが可能です。ただし、膝に負担がかからない方法を選ぶ必要があるでしょう。具体的な方法は「【厚労省の膝痛予防マニュアル】要点まとめて教えます~運動編~」で動画を交えてご紹介しましたが、運動を続けるためには目標を持つことが大切。最初は少しずつ、できる範囲での目標を立てましょう。なぜなら「できるんだ」という成功体験が得られ、より運動への意欲が高まるからです。

 

変形性膝関節症では歩く速度もひとつの目標に

成功体験には「できるんだ」もそうですが「効果があるんだ」という感覚も重要。そのため、目標は数値化できるものがより良いでしょう。そのひとつとしてあげられるのが、歩行速度です。測定する具体的な方法と数値の目安をご紹介しておきましょう。

方法はTUG(Time Up & Go)テストと呼ばれるもの。本来は運動器不安定症を診断する指標のひとつで、高齢者の身体機能を評価するときに広く用いられています。当クリニックでも、治療前後の身体機能の改善を評価するために取り入れているテストです。

スタートは、椅子に座った体勢から。手を太ももの上において、両足を床に着けておきます。椅子から立ち上がり、3m先のコーンを折り返して座るまでの時間を測定するというテストです。日常で杖などの装具を使っている場合はそれもOKですが、椅子から立ち上がる際には、手を使わないようにする必要があります。

歩行タイムの目安はつぎの通り。掲載している動画は当クリニックでの治療前後なので、運動療法ではこれほど劇的な効果は得られません。ただ、0.数秒だったとしても、効果を可視化してやる気を引き出す点が大切なのです。

  • 日本整形外科学会の基準……11秒
  • 正常な運動機能……10秒以内
  • 日常生活で介助が必要……20秒以上
  • 歩行障害あり……30秒以上

 

その③ 治療が効いていないときは理由を探す

治療が効かない理由

変形性膝関節症には、様々な治療法があります。「飲み薬から再生医療まで!変形性膝関節症の治療法がここで見つかる」でも多くの治療法をご紹介しました。ただ、治療していても効果が見られないということもあるでしょう。その場合、理由を考えて早めに対応しなければ、その間も変形性膝関節症は進行してしまうかもしれません。原因としては、主に次の4つが考えられます。

 

生活習慣が治療開始前と同じ

変形性膝関節症の原因はひとつではありません。日常生活で膝に負担となる行動をとっていれば、せっかくの治療が台無しになることも。

例えば、重いものを持ったり、階段の上り下りを頻繁にしていたりといったこと。買い物にはキャリーを使う、エスカレーターやエレベータを選択する、階段しかないところでは先にお伝えしたような歩き方をするなど、工夫をしてみましょう。また、運動不足や運動のし過ぎ。どちらも膝への負担となるので、適度な運動を心掛けてください。肥満体型の人なら、食事面での摂生も意識が必要。ただし筋肉を落とさないバランスの良い食事が基本です。

 

治療を受ける間隔が開き過ぎ

ヒアルロン酸注射やリハビリ施設での運動療法に言えることですが、正しいスパンで治療を受けなければ、本来の効果を得るのが難しくなります。

ヒアルロン酸注射なら、週1回を3〜5週間連続というのが基本。リハビリも、やるのであれば週1、2回のペースは担保したいところです。間隔が空いたり不定期だったりすると、効果が得られず足が遠のき、今度はきちんと続けても効果が出なくなってしまう恐れも考えられます。

 

診断が間違っている

確率としては低いと思われますが、疾患の鑑別が間違っている、膝の状態を正しく把握できていないといったことも、可能性としてはゼロではありません。

関節リウマチや偽痛風、化膿性関節炎など、同じ関節炎であっても根本の原因が異なるため、変形性膝関節症の治療だけでは良くならないことが。また、変形性膝関節症の進行度はレントゲン検査で診断されることが多いですが、半月板の状態や膝の水たまり、骨の内部のダメージなど、レントゲンだけでは分からないこともあり、それが治療に影響しているということも考えられます。

この診断のずれが気になった場合は、まず医師に相談。もし担当医に相談しにくかったら、セカンドオピニオンを利用するのもひとつの方法です。

 

変形性膝関節症の末期で手術しかない

最後にあげるのは、すでに受けている治療では改善できないレベルまで進行してしまっている場合。手術するにはまだ若いという年齢的な理由から、医師が積極的に手術をすすめない、すすめられないケースも考えられます。ただ、割合としては、手術に抵抗があって踏み切れないからヒアルロン酸注射を打ち続けているという人が多いのではないでしょうか。

ただ、どちらにしても、効果がほぼ得られない治療を続けても仕方ありません。何かしらのアクションが必要です。ひとつは、手術についてよく知ること。もうひとつは、新しい治療法を検討すること。今では再生医療というのもひとつの選択肢になりつつあります。変形性膝関節症で受けられる再生医療は、保険診療ではなく自由診療なので、治療費の自己負担が少なくはありません。ただ、当クリニックにも娘さんや息子さんの紹介で、再生医療を受けにいらっしゃる患者さまはたくさんいます。受けるかどうかはさて置き、選択肢の幅が広がるので、知っておいて損はないでしょう。

 

親のためにも自分のためにも先手を打とう

親の変形性膝関節症を治療

変形性膝関節症は、健康寿命を脅かす疾患です。歩けなくなれば、楽しみは減ってしまいます。親のそんな姿、見るのはつらいですよね。それだけでなく、寝たきり介護は介護者への負担が多大……。そうならないためにも、今回お話した3つのポイントを参考にしてみてください。治療や生活改善によって膝の痛みをなくし、余生を謳歌している変形性膝関節症の患者さまも確かにいますからね。

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