ひざ痛チャンネル編集部
2018-09-14

【専門家が考える】変形性膝関節症に悪い体操と良い体操

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【専門家が考える】変形性膝関節症に悪い体操と良い体操

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健康のために毎日体操をしている。この記事を読んでいる人の中には、そんな人もいるのではないでしょうか? でも変形性膝関節症を患う人や高齢者の方は、膝の健康にとってはどうなんだろう? と不安に思ったりもしていませんか?

そこで今回は、膝の診療を毎日行っているメディカルトレーナーや整形外科専門医が、変形性膝関節症と体操について考えをまとめました。体操の代表格とも言えるラジオ体操と膝の関係から、変形性膝関節症の場合はどんな体操がおすすめかなど、知っておきたい情報が盛りだくさん。

体操が日課の人もそうでない人も、これからどんな体操をすべきかきっと明確になるはずです。

 

ラジオ体操は膝の健康にも良いのか?

ラジオ体操の風景

ラジオ体操と言えば、国民の誰もが一度は行ったことのある体操の代表格と言えるでしょう。全国ラジオ体操連名のホームページを見ても、登録されている全国のラジオ体操実施会場は本当に多数。そして参加人数は、10人程度から300人規模の会場まであります。確かに「いつでも、どこでも、だれでも」と連名がスローガンを掲げるのもうなずけますね。まずは、そんなラジオ体操は膝にとってどうなのか、という点について考えてみましょう。

 

ラジオ体操の目的と効果

全国ラジオ体操連盟のホームページによると、ラジオ体操は「人間の体をまんべんなく動かすために必要な運動の組み合せ」とのこと。その目的には、次に内容があげられています。

  • 生活の偏りや加齢による体のきしみを取り除く
  • 人間が本来持っている機能を元の状態に戻す
  • その状態を維持する

どういういことかというと、体を動かすことで血行が良くなったり、筋肉の弾力性が出てくるなどの効果が期待できるそう。実際に連盟には「風邪をひきにくくなった」「血圧がさがった」「座骨神経痛が軽くなった」などの声が寄せられているそうですが、ラジオ体操が直接的に関与したのではなく、症状の緩和は前述のような効果が得られた結果だろうということです。

 

高齢者の膝にラジオ体操が負担となる理由

ラジオ体操には本当に様々な動きが盛り込まれていて、膝の屈伸や跳躍など、下肢(脚部)に関係のある動きももちろん含まれています。ただ、高齢者ともなると、痛みや違和感などの症状から、膝に不安を感じている人も少なくないはず。そいうった方は、正しい動きができず、逆に変に負荷がかかるような動きになっていることも……。『ラジオ体操は65歳以上には向かない』(太田出版)の著者である戸田リウマチ科クリニックの戸田佳孝院長も、着地時の転倒への恐怖から、膝を軽く曲げて飛んだだけの動作をする人が多いが、この動作は膝の靭帯に良くないと指摘しています。

 

高齢者の膝を配慮した座位のラジオ体操も。ただ……

Eテレのラジオ体操

【NHK】ラジオ体操第1~テレビ・ラジオ体操の動画より

だからといって、ラジオ体操が否定されるわけではありません。例えば、NHKのEテレで毎朝放送されているラジオ体操では、座位(座った状態)での体操方法も併せてレクチャーしています。こちらの座位の体操は、立って体操できない人や高齢者を対象としたもの。ご覧になった方はご存知かとは思いますが、ただ座ってラジオ体操をしているのではなく、立位(立った状態)で行う体操とは微妙に動きが異なります。下肢への負担をなくすだけでなく、他の負担も考慮された形が、座位のラジオ体操というわけです。

しかし座位では、上半身を動かすことはできても、下肢の運動はできません。つまり変形性膝関節症を現状より悪化させないことや、膝の痛みや違和感などの症状緩和といった目的においては、適していないと言えるでしょう。

 

【メディカルトレーナー推奨】変形性膝関節症のための体操

ラジオ体操を日課にされている方も少なくないようなので気落ちさせてしまったかもしれませんが、ご安心ください。お話したように、座位の体操でも血行改善や上半身の筋肉をほぐす効果は得られるので、体の健康面では有効と言えるでしょう。変形性膝関節症をすでに患っている方や、痛みや違和感から膝に不安のある方は、併せてこれからご紹介する下肢の体操も取り入れて、現在の膝の状態をできるだけ維持できるよう心掛けてみてください。

 

変形性膝関節症の人が体操するときの注意点

注意点

ラジオ体操でも「正しい動きをしないと逆効果」といった注意点があるように、変形性膝関節症のための体操でも、自分一人で行うときは留意すべきことがあります。まずは、下記のことを頭に入れておきましょう。

 

変形性膝関節症を治すことが目的ではない

まずは体操の考え方を明確にしておきましょう。変形性膝関節症が体操で治ることは残念ながらありません。自宅で行う場合は、あくまで「変形性膝関節症をこれ以上は悪化させない」「現状の疼痛を少しでも軽減させる」という考え方で取り組むことが健全でしょう。

 

膝に痛みが生じる動きは絶対にしない

次に体操の内容についてです。変形性膝関節症の4段階のグレード(レントゲン検査で判断する進行の段階)によっても違ってきますが、膝に疼痛の出る動きはNG。また、基本的には荷重のある体操もおすすめできません。症状を悪化させないために行う体操で膝関節がダメージを受けては、本末転倒ですからね。

 

「可動域」「柔軟性」「筋力」にアプローチする変形性膝関節症の体操

注意点をしっかり意識していただいた上で、おすすめの体操をご紹介したいと思います。

変形性膝関節症を患う方は、膝の可動域(曲げ伸ばす角度)の縮小によって、日常生活へ支障が出たり痛みを伴うことも多いでしょう。疼痛や膝への不安から運動量が減っていることがひとつの理由にあげられますが、同様の理由で筋肉が硬くなったり減少することも、この膝の病気の特徴です。今回はこういった点にアプローチする体操をご紹介します。

歩き出して15分くらいで膝が痛くなる。歩くスピードが遅い。痛みや恐怖から階段は1段ずつしか降りられない。当院でもそういったお悩みを持つ方に実践いただいている体操です。

 

膝の可動域制限を改善する体操

とてもシンプルな体操ですが、変形性膝関節症のリハビリとしては基本的なもので、当院でも自宅で行うリハビリ方法として推奨しているもののひとつです。膝の可動域制限を改善する他、太ももの筋肉、大腿四頭筋のトレーニングにもなるので、膝関節への負担軽減にも作用します。

方法は次の通り。動画もご覧いただき、くれぐれも正しい方法で行ってください。

  1. 椅子に深く腰掛け、2秒かけて膝を伸ばし、2秒かけて曲げる体操を行います。
  2. 片脚ずつ行い、1日あたり各100回を目標にしましょう。
  3. 膝が伸び切らない人や曲がりづらい人は、可能な範囲で行うことが大切です。

この他、膝の間にテニスボールを挟んで膝を曲げる練習や、湯船の中で膝立ちの姿勢をとり、疼痛がない範囲でお尻を落として膝を曲げていく訓練なども有効です。

 

膝周りの筋肉をほぐす体操

いわゆるストレッチがこの体操にあたりますが、マッサージも有効です。ターゲットとなる筋肉は、臀筋群(お尻)・ハムストリングス(太もも裏)・下腿三頭筋(ふくらはぎ)・前脛骨筋(すね)・大腿四頭筋(太もも前面)と様々ですが、今回はハムストリングスのストレッチをご紹介しておきましょう。膝が曲げづらい人やO脚気味の人には特におすすめです。

  1. 床に膝を伸ばして座り、ストレッチしない方の足を内側に折り畳みます。
  2. 股関節を折り畳むように体を倒し、太ももの裏側が伸びていることを意識しましょう。
  3. このとき、背中が丸まらないよう注意するのがポイントです。
  4. 膝が曲がってしまう場合は、体を倒す角度を浅く調整してください。

くれぐれも、膝に痛みが出るような無理な動きは避けましょう。

 

膝周りの筋肉を鍛える体操

体を支えているのは膝関節ですが、その負担を大きくならないよう膝関節をサポートする役割を担っているのが、膝周りの筋肉です。そのため、加齢や運動不足によって筋力が低下すると、膝関節への負担が大きくなり、変形性膝関節症が悪化することも……。そうならないためにも、筋肉を鍛える体操は、変形性膝関節症の人にとって重要です。ストレッチ同様、様々な筋肉へのアプローチがありますが、特に大きな役割を担っている大腿四頭筋の体操をピックアップしました。最初にご紹介した可動域改善の体操にプラス1で行えます。

  1. バスタオルを用意し、丸めたり畳んだりして厚みのある状態にします。
  2. 椅子に深く腰掛け、そのバスタオルを片方の太ももの下に敷きます。
  3. 姿勢を正して、バスタオルを敷いた足の膝を2秒かけて伸ばしましょう。このとき、つま先を手前に傾けるとより効果的です。
  4. 太もも前面に力が入っていることを意識しつつ、膝を伸ばした状態を10秒間キープします。
  5. その後、また2秒かけて膝を曲げ、足を下ろします。
  6. これを10〜15回、1日3セットほどを目安に行いましょう。

 

座位の体操を継続すれば、体にも膝にもメリットあり

ラジオ体操のお話からスタートしたので、今回は変形性膝関節症の患者さまや高齢者の人に適した、座位でのラジオ体操の延長で行える膝の体操をご紹介しました。ラジオ体操の血行改善の効果と、膝体操で期待できる変形性膝関節症の進行抑制や症状緩和。ダブルで得るために、これらの体操をセットで行う毎朝の新習慣、始めてみませんか?
※ただし、朝に膝の痛みがあるという人は、午後など痛みが落ち着いてから行ってください。

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