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右膝が痛い、違和感がある……。こんなお悩みをお持ちの方は、ぜひご覧ください。なぜ右膝なのか、原因は何なのか、きっと見当がつけられるかと思います。
ここでは、膝専門の整形外科医やメディカルトレーナーが、右膝が痛い原因について考えたことをお話します。日常生活での行動など、どんな背景に右膝の痛みが関係しているのかに始め、膝の痛みを引き起こす代表的な疾患を年代別にピックアップ。読めばきっと、漠然と分からなかったことが見えてくるはずです。
右膝が痛い原因は? 専門家の3つの仮説
右膝に痛みが生じる背景には、どのような原因が隠れているのでしょうか? ひざの治療を専門に行う整形外科医やメディカルトレーナーが、これまでの経験から考えた仮説をお話します。
右膝が痛い仮説1:利き足が右
まず考えるのが、利き足によって痛くなる膝に左右差が出やすいのではないかということ。というのも、人は利き足で踏ん張るからです。つまり、右が利き足だと、踏ん張りで生じる負担が右膝にかかってくるというわけです。
シーンでお話すると、例えば階段を降りるとき。利き足である右から降りるため、足を着いた時には全体重を右足で支えていることになります。階段の下りで膝にかかると言われている負荷は、体重の3.5倍! さらに言えば、日本人の場合O脚が多いため、膝の内側にこういった負荷がかかりやすく、右膝の内側が痛くなることが想像できます。
こうお話すると「階段の上りだと左足で支えるのでは?」と疑問に思う方もいるかもしれません。確かに、この理論では左足が軸足になるため、左膝にも負荷がかかることになります。そのため、一概に利き足だけが右膝が痛い原因とは言えません。ただ、階段の話に限れば、上る際の膝への負荷は体重の3.2倍。微差ですが、ほぼ毎日行う行動という蓄積の度合いを考えると、右膝の方が大きな負荷ではないかと思えるのです。
右膝が痛い仮説2:腰回りのトラブル
膝の痛みは、腰や股関節とも関連の深い現象です。というのも、膝の痛みにはアライメント不良が影響するからです。アライメントとは、整形外科で言えば関節の配列のこと。まっすぐ正常な並びになっていればいいのですが、生活習慣やクセ、スポーツなどでの反復した動きによって歪みが生じることが多々あります。左右で高さが違ったり、正面から見て関節の位置が内側や外側にずれていたり、骨にねじれが生じていたり……。歪みと言っても様々です。
その中で、右膝が痛くなりやすいと考えられる歪みの例は、右の骨盤が下がっているというもの。右の骨盤が下がっていると、体の軸が右側に傾きます。つまり、右足への荷重が大きくなり、右足の筋肉への負担や右の膝関節の負荷が増すことに。右膝が痛くなる要因となるわけです。
右膝が痛い仮説3:スポーツの競技特性
スポーツを行っている人は、その競技特性によっても、膝の痛みに左右差が現れるのではないかと考えます。ジャンプやターン、急なストップにスプリント、コンタクトプレーや反復運動が多いかどうかなどなど。競技上の特徴的な動きはもちろん、フォーメーションを組むスポーツではポジション(左か右か)によっても変わってくるでしょう。
例えば、バスケットボールやバレーボール。統計を取ったわけではないのであくまで経験上の肌感ですが、左膝の前十字靭帯が多いような印象です。これは右利きが多いと仮定すると、ジャンプの際の左足での着地が関係しているとも考えられます。左足が痛い例になってしまいましたが、こういったスポーツごとの特性に、右足が痛い要因が隠れている可能性もあると思えるのです。
年代別に見る膝が痛くなる原因
とりわけ右膝が痛い理由についてお話しましたが、具体的にはどんなけがや病気の可能性があるのかまで気になりますよね。膝の痛みは子供から高齢者まで、幅広い年代に起こる症状です。ですので、年代別に代表的な膝痛原因をいくつかご紹介しておきましょう。
10代の膝が痛い原因
10代はまだ体が未発達だったり思春期などもあり、成長の具合に関係して膝の痛みが出やすいと言えるでしょう。ここでは代表的な原因を解説していますが、子供の膝痛について、さらに詳しくは子供の「膝が痛い」は成長痛じゃない場合も。原因と病院選びのコツにまとめています。
膝の痛みやひっかかりを感じる「円盤状半月」
円盤状半月とは、通常真ん中に空洞がありアルファベットのCの形をしてる半月板が、空洞なく円盤状になっている状態を言います。先天的な要因によるもので、円盤状半月でも必ず膝が痛くなるというわけではありません。ただ、通常より大きく厚みがあることで、損傷しやすいと考えられます。半月板損傷のきっかけは、スポーツや事故などの外的要因が主。10代やそれ以下の子供の場合、体が未発達ながら動きはとても激しかったりするため、円盤状半月だと損傷の可能性が高まるのです。
また、厚みがある分、損傷していなくても引っかかりのような、膝関節の動かしづらさを感じることがあります。
膝の前や内側に痛みが生じる「膝蓋骨亜脱臼」
特に10代女性に多い膝の疾患が、この膝蓋骨亜脱臼(しつがいこつあだっきゅう)です。膝蓋骨とは、膝のお皿のこと。これが外側にずれてしまうと亜脱臼、完全に骨のくぼみから逸脱してしまうと脱臼という診断となります。
脱臼する要因としては、先天的なもの、スポーツなどの外的な衝撃、長期的な膝への負担など様々。ただ、10代女子は思春期でのホルモンバランスの影響から靭帯や腱や筋膜が弛むことがあり、膝蓋骨亜脱臼が起こりやすいのです。
膝を曲げるとお皿の下が痛い「オスグッド病」
10〜15歳くらいに多く見られる疾患が、オスグッド・シュラッター病(以下、オスグッド病)。
これは、膝のお皿の膝蓋骨(しつがいこつ)の下に位置する膝蓋靭帯が、脛骨から剥離してしまう疾患です。10代前半の骨はまだ成長過程で、軟骨から骨になりきっていないことがあります。その状態で激しい運動を行うと、膝の曲げ伸ばしの負荷に耐えきれず、膝蓋靭帯が脛骨から軟骨ごとはがれてしまうのです。そのため、オスグッド病では、膝のお皿の下が硬く盛り上がることもあります。
20代の膝が痛い原因
きちんと統計をとったわけではありませんが、整形外科での診療の肌感として20代に多いのは、半月板や靭帯のトラブル。大学で部活をしている人はオーバーユースで、社会人になって久々にスポーツを始めた人は体力にまだ自信がある分、無理をして膝を痛めてしまう、ということが多いような印象を受けます。
20代に多い膝痛の原因として代表的なものは下記で言及しますが、さらに詳しくは20代のあなたに言える、膝が痛い原因と受診先【症状解説あり】で解説していますので、ご覧ください。
オーバーユースによる「膝の靭帯炎や筋炎」
膝の靭帯や筋肉の炎症は、オーバーユースが原因。ハードなトレーニングや、久々に動かすのに最初から激しい負荷がかかった場合に起こります。早く治すには、安静第一。ストレッチで関係する筋肉をほぐすことも有効です。
具体的な疾患として、次のようなものがあげられます。
- 腸脛靭帯炎……ランニングに多い疾患で、ランナー膝とも言う。膝の曲げ伸ばしの連続で靭帯と骨の摩擦が起こり、膝の外側が痛くなる。
- 鵞足炎……これもランニングに多い疾患。膝の内側に集まる3つの筋肉をつなぐ腱が、膝の曲げ伸ばしで摩擦による炎症を起こす。
- 膝蓋靭帯炎……ジャンプ動作による負荷の蓄積で、膝のお皿とすねの骨を結ぶ膝蓋靭帯が炎症する。ジャンパー膝とも言われ、膝下の痛みが多い。
- 大腿四頭筋炎……太もも前面の筋肉が、オーバーユースで蓄積された負荷や疲労によって炎症を起こす疾患。膝上が痛くなることが多い。
- 下腿三頭筋炎……ふくらはぎの筋肉の炎症。膝裏からふくらはぎに向かって指で押し、痛みを感じるようならこの疾患の疑いも。
膝の捻挫も含まれる「靭帯損傷」
膝の靭帯損傷は、スポーツでの動きや接触が原因となることが多いでしょう。そのため、20代にも多く見られる疾患なのです。
膝関節には4つの靭帯があります。
- 内側側副靭帯……損傷すると膝の内側に痛みが生じる。サッカーやラグビーの接触プレーや、スキーのターンなどでの受傷が多い。
- 外側側副靭帯……こちらは損傷で外側に痛みが生じる。十字靭帯や半月板損傷と合併して起こることが多い。
- 前十字靭帯……膝関節の中央で膝を支える十字靭帯のひとつ。損傷すると痛みの他に、膝が抜けるような感覚も。痛みは数日で落ち着くが、放置するのはNG。
- 後十字靭帯……十字靭帯のもう1本。接触プレーの他、膝を強く打ち付けるなどで受傷することも。お皿周辺、特に膝を伸ばすときに痛むのが特徴。
膝のロッキング現象が起こることも「半月板損傷」
20代のいたって普通の日常生活なら、簡単に半月板を損傷するようなことはまずありません。ただ、スポーツやをアクティブにこなしている人だと、接触プレーによって膝にかかる強いストレスで半月板が断裂してしまうこともあります。
半月板損傷における膝の痛み以外の症状には、次のようなものがあげられます。
- 膝のひっかかり感
- 膝が曲げ伸ばしづらい
- 急に膝の力が抜ける、膝が崩れる
- 膝が腫れる
- 膝が動かなくなる(ロッキング現象)
30代の膝が痛い原因
30代も基本的には20代と同じく、半月板損傷や靭帯損傷、靭帯炎などが多い印象です。強いて言えば、久々の運動で受傷する人が20代より多いのではと推測します。社会人になって運動しなくなり、ただ年齢的にも体を動かさないとという意識があるので、ランニングなどを始める人は多いのでは? また、昔やっていたスポーツを再開するという人も少なくないようです。そういったときに、はじめから頑張り過ぎてしまうと、膝を痛めることにもつながりかねません。体を動かさなかった間に筋肉は衰えているので、少しずつ筋力をつけながら行うことをおすすめします。
また、30代の場合、加齢による変化も痛みに関係している可能性があります。まだまだ若いと思っている人も、以下チェックしておきましょう。
変形性膝関節症につながることも「軟骨のすり減り」
膝の軟骨は様々な要因によって衰え、すり減っていきます。加齢がその原因のひとつ。軟骨の成分にはプロテオグリカンやコラーゲンがあり、弾力や軟骨の形状を保つためのつなぎ役を担っています。これらをつくるのは軟骨細胞なのですが、年をとると軟骨にかかる酸化ストレスがアップ。必要成分をつくる能力が低下して軟骨が劣化するため、軟骨はすり減り、膝に痛みが生じるのです。
30代だとまだまだと思っている人も多いでしょう。確かに、30代だと加齢だけでは起こりにくいかもしれませんが、職業や生活スタイルによって、軟骨にダメージがかかっていることがあります。例えば、次のような行動に心当たりがある人は、軟骨がすり減り始めている可能性が高いでしょう。
- 重いものを持つことが多い
- 階段を駆け上がることが多い
- 安定しない場所に立つことが多い
- 頻繁に曲げ伸ばす
- 膝をつくことが多い
40代の膝が痛い原因
40代になると、それ以前と膝痛の原因ががらっと変わります。運動されている人には靭帯のトラブルなども引き続き考えられますが、一般的には30代で見え隠れしていた加齢による要因が目に見えて現れるようになってくるのです。
疑われるのも、変形性膝関節症の予備軍になってはいないか、ということ。なぜなら、40代の膝の痛みでは「軟骨のすり減り」が、30代よりもグンと増えるからです。さらに、下記のような要素からも、変形性膝関節症の進行を懸念します。
膝軟骨のすり減りが進む「筋力の衰え」
膝は全身の重みを支えていると言っても過言ではありません。そればかりか、膝にかかる負荷は体重の2.5〜3.5倍と言われています。この負荷を軽減しているのが、膝周りの筋肉。つまり、太ももなどの筋肉量が低下すると、膝関節への負荷は大きくなり、弱っている軟骨への追い打ちとなるわけです。
また、筋肉の柔軟性も膝の痛みを引き起こす要因。硬い筋肉はオーバーユース(過使用)やマルユース(誤使用)を起こしやすいからです。
加齢で変形が大きくなる「O脚・X脚」
O脚は膝の内側、X脚は膝の外側に集中して負担がかかります。そのため、正常な関節の配列よりも、膝の痛みが生じやすいのです。
O脚やX脚はもともとの骨格なのでは? と思われるかもしれませんが、生活習慣などによる歪みも大きな要因。さらに、40代は軟骨や筋力の衰えに加え、骨も弱くなってきています。こういった背景も、O脚やX脚の変形を大きくすることに関係しているのです。特に女性は要注意。女性ホルモンが減少する40代は、骨の老化が進行する可能性も考えられます。
基礎代謝の落ち込みによる「肥満」
筋力の衰えの話でも触れたように、膝への負荷は体重とイコールではありません。体重が1kg増えるだけでも、2倍、3倍となります。つまり、体重が重ければ重いほど膝への負担は大きくなり、膝が痛くなりやすいと言えるのです。
下のグラフを見ると、女性肥満率は40代以降も増加傾向にありますが、男性だと40〜50代の肥満率が高いのが分かります。
50代以降の膝が痛い原因
50代は40代よりも色濃く、加齢の影響が膝の痛みに現れるでしょう。実際、変形性膝関節症の発症がぐんと増えるのも50代以降。その原因が、筋力低下や肥満、O脚・X脚などだからです。先に掲載した肥満率のグラフを見ると、50代以降もいぜん多いのが分かります。また、下のグラフからは、筋肉量が60代から急降下しているのが見て取れます。意識して動かしていなければ、膝への負担はかなり大きなものとなるでしょう。
とは言え、軟骨や骨の老化も進んでいるので、膝に負担の大きいスポーツはおすすめできません。そういった、アクティブなスポーツもこの年代の膝痛の原因になり得るからです。
まずは右膝が痛い原因を整形外科で確定診断
今回、右膝の痛みを取り上げてみましたが、実際にひざの診療をしていると、患者さまの訴えに左右の偏りはあまり感じません。実際に当院で片脚だけを治療された方の統計を見ても、右膝の治療43%、左膝は57%とほぼ同じ。明らかな左右差は確認できませんでした。
年代別にご紹介した膝が痛くなる原因も、右膝に限ったことではありません。疾患に加え、冒頭でお話した右膝に負荷がかかる背景が関わってくるのです。そのため、まずは整形外科を受診して、確定診断。右膝に症状が出やすいのであれば、体の誤使用や腰・股関節などの影響についても考える必要があるでしょうから、受診の際に医師や理学療法士に体の使い方も相談することおすすめします。