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膝が痛いけど、これって捻挫? 捻った、強打したなどの心当たりがある人は捻挫と思うかもしれませんが、そういった衝撃に覚えがない人は捻挫だと確信が持てずに不安だったりするのではないでしょうか。そんなあなたに、膝の捻挫の正しい知識をお届けします。
膝を捻挫したらどんな症状が出るのか、そもそも捻挫とは膝の組織がどうなっている状態なのかを始め、対処法、クセづけないためのアドバイスまでをまとめました。新しい治療法などトリビアな情報や、おすすめリハビリ動画もご紹介するので、膝の捻挫にお悩みなら今すぐチェック!
1 膝を捻挫したときに現れる症状
まずは、捻挫で生じる膝の様々な症状を整理して把握しておきましょう。どんな症状かによっても重症度が違ってきます。
膝の捻挫の症状① 痛み
捻挫の代表的な症状が、痛みでしょう。圧痛(圧迫したときの痛み)もしくは、曲げたり伸ばしたりといった動作で痛みが生じます。
膝の捻挫の症状② 腫れる
腫れは損傷部分の炎症によるものです。ただ、捻挫直後から腫れる場合は、膝関節内での出血が考えられます。
膝の捻挫の症状③ 赤み・熱感
赤みや熱っぽさが膝に現れることもあります。こちらは腫れと同じく、損傷によって起こる炎症が原因です。
膝の捻挫の症状④ 不安定性
痛みや腫れに続き、膝関節捻挫の代表的な症状が、膝の不安定性。ガクッと力が抜けたり、膝がぶれるような違和感です。中度以上の捻挫に見られることから、膝関節の組織が、膝を安定させられないほどダメージを受けていると考えられます。
膝の捻挫の症状⑥ 水がたまる
捻挫でも炎症がひどくなると、膝に水がたまることがあります。この水は、膝関節内を満たしている関節滑液(かんせつかつえき)。関節への衝撃吸収や動きを滑らかにしている液体です。強い炎症が起こると関節滑液が過剰に分泌されてしまい、膝に水がたまります。
膝の捻挫の症状⑦ 血液がたまる
腫れていると思ったら血液がたまっていた……。痛めた膝の組織によっては、そういういケースもあります。また、膝の捻挫とともに骨折も疑われるのがこの症状。注射針で抜いた血液の中に油滴があれば、どこかを骨折していることになります。
2 膝の捻挫と油断せずに病院へ行くべき理由
膝の捻挫の痛みは、1〜2ヵ月以内には落ち着いてくるので、日常生活レベルなら特に支障もなくなります。そのため、多くの人が「ただの捻挫」と思ってはいませんか? ただ、次のような理由からその考えは改めて、病院できちんと診断してもらうことをおすすめします。
膝の捻挫は靭帯損傷の一種
確かに、捻ったり強い衝撃を膝関節に受けた後、レントゲン検査で骨折や脱臼の異常が見られなければ、整形外科では捻挫と診断することがほとんどです。ただ、捻挫ではなく、靭帯損傷と聞くとどうでしょう。急に重症に思えてくる人もいるのではないでしょうか。実は捻挫は、骨折や脱臼はないものの、膝の靭帯や関節を包む関節包という組織に損傷が生じている状態。つまり言葉は違えど、靭帯損傷と大きな違いはありません。
骨以外の検査はMRIで行い、捻挫(靭帯損傷)の重症度は3つの段階に分類されます。どのレベルかによって治療法も変わってくるので、最初に程度を把握することが大切なのです。
グレード1の捻挫状態と回復期間
小範囲の靭帯が損傷している状態。ダメージを負った部分を押すと、痛みがあります(圧痛)。
テーピングで固定したり、サポーターで膝関節の制動をサポートしつつ無理を控えていれば、1週間ほどで良くなるでしょう。
グレード2の捻挫状態と回復期間
部分的に靭帯が断裂している状態です。押さなくても膝に痛んだり、腫れや熱感が生じます。30°くらい膝を曲げたときに左右にグラグラするという、不安定性を覚えることも。
アイシングや、低周波などの物理療法を受けること1〜2週間。それで良くなってきたら関係する筋肉のトレーニングを始めます。3週間ほどでテーピングしてのジョギングといった、軽い運動が可能に。スポーツ復帰をする場合は、6週間ほどが目安となります。
グレード3の捻挫状態と回復期間
完全に靭帯組織が断裂してしまっている状態。膝の痛みや腫れが強く現れ、膝をまっすぐにしていても左右にぐらつきます。骨折や他の靭帯損傷を併発している場合も。
膝の硬性装具(金属で膝を固定するサポーターのような器具)やギブスでの固定、場合によっては手術という選択になることも。スポーツ復帰まではリハビリ期間も含め、3〜4ヵ月ほどかかることもあります。
膝の捻挫を放置すると関節症のリスクが高まる
安静にするだけでも、しばらくすれば膝の痛みは落ち着いて、日常生活は問題なくできるようになるでしょう。ただ、痛めた組織によっては老後の寝たきりリスクを高めたり、若くして膝の関節痛に悩むことになってしまうかもしれません。なぜなら、捻挫で靭帯が損傷すると、そのぶん関節面の軟骨や半月板への負荷が増していると考えられるからです。つまり放置することで、半月板損傷や変形性膝関節症につながる恐れも……。捻挫と言えど、きちんと治療することが大切なのです。
豆知識:靭帯が伸びることはない!?
「靭帯が伸びる」という表現を耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか。そう言われると、ゴムのように伸びていることをイメージするかもしれませんが、そんなことはありません。靭帯は粘弾性(粘性と弾性の両方を合わせた性質)を持ち合わせていないため、実は伸びないのです。
本当は部分的な靭帯損傷なのですが、わかりやすく伝える表現として「伸びる」という言葉が使われています。
3 捻挫で損傷したのは膝のどこの靭帯?
膝関節は4つの靭帯によって、その動きの安定が保たれています。膝が内側や外側に外れないように支える、内側側副靭帯と外側側副靭帯。また大腿骨(だいたいこつ:太ももの骨)と脛骨(けいこつ:すねの骨)を前後にクロスする形でつないでいる十字靭帯です。このうち、外側側副靭帯は単独で受傷することはほぼなく、損傷する場合は他の靭帯との合併になります。
では、膝の捻挫を靭帯の損傷に絞った場合、これらのどこを痛めているのか。正確には、病院での診察やMRI検査で重症度も含めた診断が必要です。ただ、痛みの出方など症状の違いから見当をつけることは可能。それぞれの特徴や注意点を知っておいて損はないでしょう。
膝の捻挫で内側が痛いのは……内側側副靭帯損傷の可能性
膝関節で一番捻挫しやすい(捻挫として扱われやすい)靭帯が、内側側副靭帯です。膝関節の内側に位置し、急な方向転換などでも膝が内側に入り過ぎないようにする役目を果たしています。サッカーなどの接触プレーで受傷することが多いですが、スキーでの転倒も頻度の高い状況です。
血流のある膝関節の外にあるので、早くに適切な処置をすれば、比較的治りやすい靭帯と言えるでしょう。ただ、逆を言えば、放置してしまうと後からの治療は困難となります。
膝のお皿周辺が痛い捻挫は……後十字靭帯損傷の可能性
脛骨が大腿骨より後ろにずれないよう、膝関節を制動する役割を担っているのが後十字靭帯。つまり、スポーツ時の接触や事故で強く膝下を打つなど、後ろに向かう強い力が膝近くの脛骨に加わることで、痛めてしまう靭帯です。関節出血による腫れの症状が出やすいという特徴もあります。
側副靭帯と違い、血流のない関節内で骨をつなぐ膝十字靭帯。自然には治りにくいとされています。手術よりも保存療法をまず選択し、長期間かけて徐々に回復させていくことが多いでしょう。
膝の捻挫で力が抜けるような感覚は……前十字靭帯損傷の可能性
後十字靭帯と反対に、脛骨が大腿骨の前にずれないようにするのが、前十字靭帯の役目です。先の2つの靭帯損傷とまず異なるのは、主な原因がコンタクトストレス(接触による衝撃)ではないということ。スポーツ時であったとしても、ジャンプで着地したときや急にストップや方向転換した際に損傷することが多い傾向にあります。
痛みが他の靭帯ほど強く出ないというのが特徴的です。数日で落ち着くこともあるためそのままにされがちですが、それでは本来の役割を果たすまでに回復することが難しくなります。そうして捻挫がクセになったり、カクカクと膝崩れを起こすようになったりするリスクが上昇。半月板や関節軟骨の損傷につながり、変形性膝関節症を発症する危険性もアップしてしまいます。
4 膝の捻挫への対応は経過期間で異なる
膝を捻挫した場合、受傷直後の急性期か、それ以降かで対応が異なります。
捻挫初期の膝には「RICE」
捻挫の急性期(受傷後3日間)から2週間くらいは、応急処置が必要です。これには4つの処置の頭文字をとった、RICE法が基本とされています。
RICE法の4つの処置
- Rest(レスト)……膝を動かさず安静にする処置
- Ice(アイス)……氷嚢などで膝を冷やす処置
- Compression(コンプレッション)……膝を包帯などで圧迫する処置
- Elevation(エレベーション)……膝を心臓よりも高い位置にあげておく処置
急性期以降で手術が必要ない場合には筋トレでリハビリ
手術が必要ないケースで、膝を曲げづらい、伸ばしづらいなどの関節運動に問題が出ているのであれば、可動域訓練を行います。開始時期は、捻挫して2〜3週間後くらいの、症状が落ち着いてきた頃が目安です。また、膝周辺の筋力が弱さが捻挫の要因にあるようなら、筋トレも有効。それぞれのトレーニングで代表的なものをご紹介しておきましょう。
膝の捻挫後の可動域訓練
膝を蒸しタオルで温めてから、もしくは入浴後など、膝が温まった状態で行うのがおすすめ。可動域が広がりやすくなったり、膝への負担の軽減になります。
- 仰向けで寝そべった状態で行います。
- 可動域を広げたい側の足の膝を曲げつつ、上半身の方へ持ち上げます。
- バスタオルをすねに掛け、踵をお尻につけるように引き寄せましょう。
- 無理のないところで5秒キープする運動を、連続で5~10回。1日3セット行います。
膝の捻挫後の筋トレ
膝に加わる負荷をサポートする筋肉。なかでも、膝と密接な関係にある大腿四頭筋の筋トレ「タオルつぶし運動」をまずおすすめします。
- 捻挫した方の膝を伸ばして座ります。
- バスタオルを丸めて膝の下へ。膝が伸び切る人はお皿の少し上(太もも下)、伸び切らない人はお皿の少し下(ふくらはぎ下)に置きます。
- つま先を天井に向け、タオルをつぶすように膝を伸ばします。このとき、太もも前面の内側に力が入ることを意識しましょう。
- 無理のないところで5秒〜10秒キープする運動を、連続で5~10回。1日3セット行います。
豆知識:ストレッチをおすすめしない理由
膝を捻挫したときの対処法として、基本的にはストレッチは行いません。なぜなら、ストレッチすることによって、靭帯損傷が悪化する恐れがあるからです。ただし、手術後のリハビリとして取り入れることは、その限りではありません。
5 膝の捻挫の治療方法
膝の捻挫の治療において、基本的に第一選択は保存療法。一方で、職業や年齢、どのような生活を送っているかなどによっては手術での治療となるケースもあります。また、痛めた組織(靭帯や半月板など)や重症度によっても選択は違ってくるので、膝の捻挫で整形外科を受診すると、まずそれらを確認することになります。
例えば、前十字靭帯を損傷しているケース。前十字靭帯は自然に治ることが見込めず、また内側側副靭帯や後十字靭帯と違って、損傷したままでは支障が出やすい組織です。そのため、本格的にスポーツを行っている場合、再建手術を選択することがほとんど。ただ、リハビリをしっかり行うことが困難な高齢な方などでは、保存療法を選択することもあります。
保存療法
重症度によって、包帯やサポーターか、膝の装具か、はたまたギブスかといったように、方法は異なりますが、まずは固定して悪化しないように努めます。ギブスでの固定となった場合も、基本的にはずっとギブスというよりは、なるべく早く装具やサポーターの固定に切り替え、リハビリを取り入れることが推奨されています。
先にも触れたように、スポーツでも支障の出にくい内側側副靭帯や後十字靭帯を損傷した捻挫では保存療法で治療することがほとんどです。
手術療法
手術の適応だからといって、すぐに行うわけではありません。受傷後の炎症が治まるのを待って、4週間後くらいに手術となります。
手術方法は2つ。靭帯修復術と靭帯再建術があります。どちらも関節鏡を用いた手術で、その傷跡は1cmくらいのものが複数。また、靭帯再建術の場合は別に3cm程度切開して、自己組織を採取します。そのため靭帯再建術では、入院が約1ヵ月ほど、その後も3〜6ヶ月くらいはリハビリを継続することになります。
靭帯修復術
損傷した靭帯を縫合して修復する手術。靭帯がめくれかえっているような、保存療法では治らない内側側副靭帯損傷などのケースで選択されます。
靭帯再建術
自分の組織や人工靭帯を用いて断裂した靭帯を再建する手術。手術適応は前十字靭帯と後十字靭帯の損傷です。世界的に推奨されているのは、膝屈筋腱(ハムストリング腱)や膝蓋腱(お皿と脛骨をつなぐ腱)など自己組織で再建する方法で、人工靭帯は近年ではほとんど用いられなくなっています。
6 膝に捻挫のクセをつけないために
「捻挫はクセになる」とよく耳にします。実際、この記事を読んでいる中でも、何度も繰り返している人は少なくないでしょう。それには、次のような原因が考えられます。
- 修復段階だけど治ったと思い、無理をしてしまう
- 体の使い方やフィジカル面に問題がある
なかでも、2つ目の原因が大きいでしょう。なぜなら、じっくり治してもここに問題があれば捻挫を繰り返す可能性は高いからです。スポーツや事故で強い衝撃を受けて捻挫する場合は、なかなか防ぎようがありません。ただ、前十字靭帯損傷のようにノンコンタクトで起こる捻挫においては、改善の余地あり。関節のアライメント不良(O脚やX脚)を矯正したり、筋力を強化するなどで予防を試みることが可能です。